事例
交際中に、彼氏に280万円を貸した。交際終了後一切取れないのですが、どうすれば良いですか?
同棲解消という個人的な関係の終わりに、280万円という無視できない金銭的な問題が絡む事例です。
280万円を取り戻すために必要な詳細な手順と法的な裏付けを詳しく解説します。
1. 法的性質の詳細な分析:愛の献身ではなく「債務」であること
まず、この280万円が法的にどのような性質を持つのかを明確にすることが、全ての法的措置の基礎となります。
1.1. 契約の成立:金銭消費貸借契約と立替金債権
相談者様が元恋人本来が支払うべき生活費、家賃、光熱費などを継続的に負担し、その度に元恋人が「お金が入ったら返す」と約束していた事実は、民法上の金銭消費貸借契約の合意があったと見なす強力な根拠となります。
厳密には、元恋人に代わって費用を支払った部分は立替金という債権となりますが、いずれも相談者様に返還を求める権利(債権)が発生しています。
これは、相談者様が元恋人に対して金銭を贈与したわけではなく、あくまでも返済を前提とした一時的な提供であったため、元恋人は債務者として、この280万円を返済する義務を負います。
この「愛だから許す」という感情的な側面と、「借りた金は返すべき」という法的な義務の切り分けを明確にすることが、回収成功の第一歩となります。
1.2. 証拠の整理と立証責任
元恋人が別れ際に「280万円を返す」と口頭で認めたことは、債務の承認として非常に重要な事実です。しかし、口約束は証拠として弱いため、相談者様が保管している以下の記録を整理・補強する必要があります。
支出の記録:
家賃の振り込み履歴、クレジットカードの明細、生活費のメモなど。
通信記録:
「今月は厳しい」「すぐ返す」といった元恋人とのLINE、メールなどのやり取り。これらは金銭消費貸借契約の存在や債務承認の重要な補強証拠となります。
2. 回収手続きの詳細:口約束を「強制力」のある公的な記録へ
元恋人が現在連絡を避けているという状況を鑑みると、感情的な話し合いは難しく、法的な手続きによって回収を強制する段階に入っています。
2.1. 回収の第一歩:内容証明郵便による明確な意思表示
行政書士がサポートする最初の最も重要な手続きは、内容証明郵便の作成・送付です。
内容証明の目的:
相手に対し、以下の内容を明確に、かつ公的に証明できる形で通知します。
債権額の確定:
280万円の根拠と内訳。
履行の請求(催告):
いつまでに、どのような方法で支払うかという返済期限の設定。
法的措置の予告:
期限までに支払いがなかった場合、民事調停や少額訴訟・通常訴訟などの法的手続きに移行するという明確な警告。
法的効果:
この催告によって、債務の存在を強く認識させ、心理的なプレッシャーを与えるとともに、時効の完成猶予という法的な権利保全も同時に行います。
2.2. 最高のゴール:公正証書による「強制執行力」の確保
内容証明郵便に対し、元恋人が応答し、支払いに応じる意思を見せた場合、迷わず公正証書の作成に進むべきです。
公正証書作成の意義:
元恋人との間で債務承認弁済契約(債務の存在と支払い方法を定める契約)を締結し、それを公証役場で公証人に公文書として作成してもらいます。
執行力の付与:
この公正証書に「強制執行認諾約款」という条項を盛り込むことで、裁判所の確定判決を得ることなく、万が一、一度でも返済が滞った場合に、直ちに強制執行(元恋人の給与や銀行預金などの差押え)の手続きに移ることが可能になります。
この手段は、訴訟にかかる時間と費用を大幅に削減し、最も確実かつ迅速に債権を回収するための最善策となります。
3. 今後の選択肢と行政書士の役割
元恋人が内容証明郵便を無視するなど、非協力的である場合は、次の段階の法的措置を検討する必要があります。
行政書士の役割:弁護士・司法書士との連携:
ただし、元恋人との間で和解交渉が必要な場合や、実際に裁判所へ少額訴訟・通常訴訟の提起や民事調停の申し立てを行う場合は、弁護士または司法書士(一定額以下の場合)の専門業務となります。
そのため、まずは行政書士と連携しつつ、その後の本格的な法廷闘争を見据えて、弁護士等の専門家にも相談することが最善の道筋となります。
この経験は辛いものですが、感情に流されることなく、法的な証拠と手続きに基づいて行動することが、ご自身の未来を守り、失われたお金を取り戻すための鍵となります。
お問い合わせはこちらから!




