「泣き寝入り」は絶対に不要です
「これまで毎月振り込まれていた養育費が突然途絶え、元配偶者(養育費を支払う義務がある人)と連絡が全く取れなくなってしまいました。
このまま子どもの生活が立ち行かなくなるのではないかという不安でいっぱいです。
感情的に催促しても無意味だと聞きましたが、子どもたちの将来のために、私はこの無責任な『逃げ』を許し、諦める(泣き寝入りする)しかないのでしょうか?」
この状況は、子どもたちの『生きていく権利』と『教育を受ける権利』を脅かす深刻な問題です。
断言します。決して泣き寝入りする必要はありません。日本の法律は、子どもたちの権利を守るために、非常に強力な手段を用意しています。
第一段階:相手の「逃げ」を許さないための「正式な通知」
相手と連絡が取れない状況で、私たちがまず行うべきことは、単なる私的な手紙ではなく、公的な証拠として残る「内容証明郵便」を送ることです。
1. 内容証明郵便とは?(法律で効力を持つ手紙)
これは、「いつ」「誰から」「誰に」「どのような内容」の文書が送られたかを、郵便局という国の機関が証明してくれる特別な郵便です。この文書は以下の2つの重要な役割を果たします。
- 請求の確定と通告(正式な意思表示):
- 「あなたが、いつからいつまでの養育費を滞納しているか」という未払いの金額と、今後支払うべき金額を明確にします。
- 「指定した期日までに支払いがなければ、裁判所を通じた法的手段に移行する」というあなたの強い決意を正式に相手に伝えます。
- 時効の完成を防ぐ(時間稼ぎ):
- 養育費の請求権(債権)は、原則としてそれぞれの支払い日(期日)から5年で時効にかかって消滅します。
- 内容証明による請求(催告)を行うと、その時点から6ヶ月間だけ、時効の成立を一時的にストップ(完成を猶予)させることができます。これは、次の裁判所での手続き(調停や訴訟)の準備をするための重要な時間稼ぎとなります。
行政書士は、この文書を法的に間違いのない形式で作成し、あなたの強い意思を公的に記録するサポートをします。
第二段階:裁判所を舞台に「強制力」の根拠(債務名義)を得る
内容証明で定めた期限が過ぎても支払いがなく、かつ、離婚時に公正証書など強制執行ができる書類を作っていない場合、次のステップは家庭裁判所での手続きに移ります。これが「養育費請求調停」の申立てです。
1. 養育費請求調停とは?(裁判所で話し合い、決定する手続き)
- 話し合いの場を設定する:裁判官と、家族の問題に詳しい調停委員が間に入り、当事者同士の話し合いをサポートし、合意(納得)を目指す手続きです。裁判とは違い、非公開で進められ、お互いの意見を尊重しながら柔軟な解決を目指します。
- 場所:原則として、相手方(元配偶者)の住所地を管轄する家庭裁判所で行われます。
- 目的:調停が成立すると、その内容が「調停調書」という書類にまとめられます。この調停調書は、裁判の判決と同じだけの強力な法的効力(債務名義)を持ち、これがなければできない「強制執行」を行うための決定的な根拠となります。
2. 調停申立書で何をすべきか?(準備と主張のポイント)
調停を成功させるには、裁判所に提出する申立書を完璧に作成することが非常に重要です。
- 請求額の根拠を明確にする:
- 単に「もっと払ってほしい」という感情論ではなく、裁判所が公表している「養育費算定表」に基づき、「あなたと相手の収入から見ると、適正な金額はいくらになる」という具体的な金額(根拠)を算出して主張します。
- 未払い分については、正確な滞納総額を計算して請求します。
- 状況を法的に整理する:
- 離婚時の約束(合意内容)はどうだったか、その後の支払いがどのように滞ったか、そしてその滞納が子どもたちの生活にどれほど深刻な影響を与えているかを、冷静に法的な視点で整理して記載します。
- 必要な証拠を添付する:
- 申立書には、あなたの戸籍謄本、住民票、収入がわかる資料(源泉徴収票など)、そして前の段階で送った内容証明郵便の控えなど、あなたの主張を裏付ける客観的な証拠を漏れなく添付する必要があります。
行政書士は、この申立書の作成を支援し、裁判所での手続きをスムーズに進めるためのサポートを行います。
第三段階:相手の「逃げ場」を完全になくす最終手段
無事に調停が成立し、「調停調書」という強制力を持つ公的な書類(債務名義)を手に入れた後、もし相手が再び支払いを滞らせた場合の対策です。
1. 裁判所からの「履行の催促」
調停調書ができた後に支払いが滞った場合、家庭裁判所は、以下のような強い手段で相手に支払いを促します。
- 履行勧告(裁判所からのお願い):
- 裁判所が職権(公的な権限)で元配偶者に対し、「調停で決めた通りに支払いをしなさい」と自主的な履行を促すことです。
- 履行命令(裁判所からの命令):
- 勧告にも従わない場合、裁判所が「支払いなさい」という命令を正式に出すことができます。
- 過料の制裁(罰金):
- この履行命令にも正当な理由なく従わない場合、裁判所は相手に対して過料(罰則金)という制裁(罰)を科すことが可能になります。これは、単なるお願い以上の強い圧力となります。
2. 最終手段:強制執行(給料や預金を差し押さえる)
それでも相手が支払いに応じない場合、あなたが手に入れた「調停調書」という債務名義を使って、最終的かつ最も強力な手段である強制執行を申し立てることができます。
- 差押えの対象:相手の給料、銀行の預金口座などを差し押さえる手続きです。
- 養育費の特例:特に養育費の場合、給料に対する差し押さえが強力に認められています。通常、給料の4分の1しか差し押さえられませんが、養育費の場合は手取りの2分の1まで差し押さえが可能になるなど、子どもを守るための特別な保護があります。
この強制執行により、相手は会社を通じた給料の差し押さえをされることになり、逃げも隠れもできない状況となります。
まとめ
養育費の不払いは、あなたの心を深く傷つけますが、法的な手続きは、感情論を排して、子どもたちの権利を確実に守り抜くための道筋です。
調停や強制執行の手続きは複雑ですが、弁護士などの法的な伴走者と共に、一つ一つのステップを正確に進めることで、無責任な「逃げ」を許さず、子どもたちの安定した未来を取り戻すことができるのです。
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