働き方の多様化が進む現代において、フリーランスという働き方は多くの人にとって魅力的な選択肢となっています。
自由な働き方の裏側には、会社員にはない責任やリスクが伴います。特に、契約書に関するトラブルは、フリーランスが直面しやすい問題の一つです。
本記事では、フリーランスの方々が、契約書に関するトラブルを未然に防ぐための基礎知識と、実際にトラブルに巻き込まれた際の対処法について、東京都江東区にある東京深川行政書士事務所が分かりやすく解説していきます。
この記事を読めば、あなたが安心してフリーランスとして活動できるよう、具体的なヒントと対策が見つかるはずです。
基礎知識 フリーランスの契約書トラブルを未然に防ぐために
フリーランスとして活動する上で、契約書に関する正しい知識を持つことは、自身の身を守り、ビジネスを円滑に進めるために不可欠です。
なぜフリーランスに契約書が必要なのか?
「口約束でも大丈夫」と安易に考えていると、後々大きなトラブルに発展する可能性があります。契約書は、あなたとクライアントの間で合意された内容を明確に記録する「証拠」となります。
契約書がないことで、報酬の未払いや一方的な条件変更、業務範囲の認識のズレなど、様々なリスクに直面する可能性があるのです。
書面での契約は、お互いの権利と義務を明確にし、予期せぬ紛争を未然に防ぐための重要なツールです。
契約書の種類とそれぞれの役割
フリーランスが関わる可能性のある契約書には、いくつかの種類があります。
業務委託契約書
フリーランスが企業などから特定の業務を請け負う際に締結する、最も一般的な契約書です。業務内容、報酬、期間など、業務に関する基本的な事項を定めます。
秘密保持契約書(NDA)
業務を通じて知り得たクライアントの秘密情報を外部に漏らさないことを約束する契約書です。プロジェクトの性質上、機密性の高い情報を扱う場合に締結されることが多いです。
知っておきたいその他の契約書
「請負契約」は、特定の成果物の完成を目的とする契約で、ウェブサイト制作や記事執筆などが該当します。
一方、「準委任契約」は、業務の遂行そのものに対して報酬が支払われる契約で、コンサルティングやシステム保守などが該当します。自身の業務内容に合わせて、適切な契約書の種類を理解することが重要です。
契約書で特に確認すべき3つのポイント
契約書の内容は多岐にわたりますが、特に以下の3つのポイントは細心の注意を払って確認しましょう。
報酬と支払い条件 曖昧な記載はトラブルの元
報酬額、支払い時期、支払い方法(銀行振込など)が具体的に明記されているかを確認します。源泉徴収の有無についても確認し、記載されている場合はその取り扱いを理解しておく必要があります。
曖昧な表現は避け、「〇〇円を〇月〇日までに〇〇銀行〇〇口座へ振り込む」といった具体的な記載が望ましいです。
業務内容と範囲 どこまでが自分の仕事?
契約書には、具体的な業務内容と範囲を詳細に記載することが重要です。
例えば、「ウェブサイトのデザイン」だけでなく、「トップページと下層5ページのデザインおよびコーディング」といったように、明確に定義します。
もし業務の途中で変更が生じた場合の対応(追加費用や納期調整など)についても、事前に取り決めを記載しておきましょう。
納期と納品物の定義 認識のズレを防ぐ
具体的な納期の設定はもちろんのこと、納品物の定義(例えば、ファイル形式、完成基準など)と、クライアントによる検収方法(検収期間や修正対応の有無など)も明確にしておく必要があります。
これらが曖昧だと、納品後に「思っていたものと違う」といった認識のズレからトラブルに発展する可能性があります。
実際にあった!フリーランスの契約書トラブル事例3選とその対策
ここでは、フリーランスが実際に直面しやすい契約書トラブルの事例を3つご紹介し、それぞれの未然に防ぐための対策を解説します。
事例1 報酬が一方的に減額された!
口頭での合意のみ、または契約書に「状況に応じて変更あり」といった曖昧な記載があったケースで、依頼主側の都合や、当初の認識のズレから報酬が一方的に減額されるトラブルが発生することがあります。
未然に防ぐには
報酬額、支払い時期、支払い方法を具体的に明記することが不可欠です。報酬の変更が生じる可能性がある場合は、その条件(例えば、追加業務が発生した場合のみ、双方の合意を得た上でなど)を明確に契約書に記載しましょう。
契約書にサインする前には、必ず全ての項目を最終確認し、不明な点があれば質問して解消することが重要です。
事例2 追加業務を無償で依頼された!
契約書に業務範囲が明確に記載されておらず、追加業務が発生しても別途の報酬について触れられていなかったケースで、業務範囲の認識のズレや、追加業務に対する費用が発生するという認識がクライアントにないことから起こるトラブルです。
未然に防ぐには
業務内容と範囲を詳細に記載することが最も重要です。例えば、ウェブサイト制作であれば、サイトマップやページ数、機能などを具体的にリストアップします。
もし、当初の契約範囲外の追加業務が発生した場合には、別途報酬や納期を協議する旨を契約書に明記しましょう。業務の変更は、口頭ではなく必ず書面(メールなども含む)で合意し、記録を残すことが重要です。
事例3 納品後、なかなか支払われない!
支払い期日が明確でなかったり、請求書の発行が遅れたりしたケースで、支払い遅延に対する明確なペナルティが設定されていないことが原因で起こるトラブルです。
未然に防ぐには
支払い期日を契約書に明確に記載しましょう。「納品後〇日以内」や「〇月〇日」といった具体的な日付を設定します。
支払いが遅延した場合に備えて、遅延損害金に関する条項(例えば、年〇%の遅延損害金を請求できるなど)を契約書に設定しておくことも有効です。
また、請求書の発行日と支払い期日を意識し、期日通りに請求書を送付することも、スムーズな支払いを促す上で重要です。
もしもの時の対処法 トラブルに巻き込まれたらどうする?
万が一、契約書トラブルに巻き込まれてしまった場合でも、適切な対処法を知っていれば、冷静に対応することができます。
まずは冷静に 初期対応が重要
トラブル発生時、感情的にならず、まずは事実確認に徹することが大切です。
関係する資料(契約書、メール、チャット履歴、作成した成果物など)を整理し、何が問題であるのか、具体的な状況を把握しましょう。これらの証拠は、今後の交渉や専門家への相談時に非常に重要となります。
相手との話し合いを進める
証拠を基に、相手に具体的な問題点を明確に伝え、解決策を提案し、合意形成を目指します。
この際の話し合いは、口頭だけでなく、メールなどで記録を残すようにしましょう。議事録を作成し、相手にも確認してもらうことも有効です。
感情的にならず、論理的に、そして建設的に話し合いを進めることが重要です。
一人で抱え込まず、専門家に相談する
話し合いがうまくいかない場合や、法的な判断が必要な場合は、一人で抱え込まずに専門家に相談しましょう。
- 行政書士に相談するメリット
私たち行政書士は、契約書の内容確認や修正、トラブル解決に向けた具体的なアドバイス、内容証明郵便の作成など、契約書に関する幅広いサポートが可能です。
トラブルが法的な紛争に発展する前に、適切な対処法を提案し、早期解決をサポートします。 - 弁護士に相談するケース
もしトラブルが法的な紛争(訴訟など)に発展してしまった場合は、弁護士に相談することを検討しましょう。
弁護士は、依頼者の代理人として法廷で主張を行うことができます。
内容証明郵便の活用
内容証明郵便は、「いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたか」を郵便局が公的に証明してくれる郵便のことです。
これは、相手に対して正式な意思表示をしたという客観的な証拠を残すことができ、後のトラブル解決の際に有効な手段となります。
行政書士に依頼することで、内容証明郵便の作成から送付までをスムーズに進めることができます。
まとめ
契約書はフリーランスの「お守り」
マッチングビジネスは、現代社会において非常に大きな可能性を秘めた魅力的な事業です。しかし、その成長の陰には、常に法的リスクが潜んでいることを忘れてはなりません。
私たち東京深川行政書士事務所では、フリーランスの皆様が安心してビジネスに取り組めるよう、契約書の作成からトラブル予防、そして実際にトラブルが起きてしまった際の相談まで、幅広くサポートしています。
「こんなこと、相談してもいいのかな?」と迷うようなことでも、どうぞお気軽にご連絡ください。あなたの疑問や不安に寄り添い、最適な解決策を一緒に見つけます。