【準委任契約の解除】トラブルを防ぐ全知識|30日前予告と損害賠償のルール

はじめに|「明日から来なくていい」と言われたら、どう動くべきか

「来月から予算の関係で、今の準委任契約を終了させたいと言われた」

「あまりに過酷な現場。今すぐ辞めたいけれど、損害賠償を請求されるのが怖い」

「納品物がない準委任契約。解除されたら、これまでの作業分はどうなるの?」

エンジニア、クリエイター、コンサルタントなど、多くのフリーランスや副業ワーカーが結んでいる「準委任契約」。成果物の完成を保証するのではなく、一定の事務(稼働)を提供することに対して報酬が支払われる契約です。

しかし、この契約には「解除」にまつわる特有のトラブルが後を絶ちません。特に2024年11月に施行された「フリーランス新法」により、2026年現在の契約実務は大きく変わっています。

結論からお伝えします。準委任契約は、原則として双方から「いつでも解除」が可能ですが、そこには「30日前予告」や「不利な時期の賠償」といった厳格なルールが存在します。

本題|準委任契約の解除を支配する「民法」と「新法」の二重ルール

準委任契約の解除を理解するには、まず「民法」という土台と、「フリーランス新法」という最新の盾の両方を知る必要があります。

1. 民法の大原則|「いつでも解除」と「損害賠償」のバランス

民法第651条第1項には、「委任(準委任)は、各当事者がいつでもその解除をすることができる」と定められています。これは、信頼関係が崩れた状態で仕事を続けるのはお互いにとってマイナスである、という考え方に基づいています。

しかし、自由には責任が伴います。同条第2項では、以下のケースで「相手方の損害を賠償しなければならない」と規定されています。

  • 相手方に不利な時期に解除したとき: 代わりの要員がすぐに見つからない繁忙期や、納期直前の解除など。
  • 委任者の利益を目的とする委任を解除したとき: 相手がその契約に強く依存している場合など。

2. フリーランス新法の「30日前予告」義務

2024年に施行されたこの法律は、企業からフリーランス(従業員なし)への発注において、より強い保護を与えています。

6ヶ月以上の継続的なプロジェクトの場合、企業側が契約を解除(または更新しない)ときは、「少なくとも30日前」に予告しなければなりません。このルールにより、「明日から契約終了」という即日解雇のような扱いは、明確に法律違反となりました。

契約解除された時に主張できる「既履行分の報酬」

「契約解除になったら、今月働いた分はタダ働きになるのか?」という不安を抱く方が多いですが、その心配はありません。民法第648条の2(準用)により、中途終了した場合でも、すでに行った業務の割合に応じて報酬を請求する権利が認められています。

例えば、月額報酬が50万円の契約で、月の半分まで稼働して解除された場合、以下のような考え方で報酬を計算します。

$$\text{請求額} = \text{月額報酬} \times \frac{\text{実際の稼働日数}}{\text{当月の所定稼働日数}}$$

「成果物がないから払わない」という主張は、準委任契約においては通りません。あなたは「稼働した時間やプロセス」に対して報酬を請求できるのです。

【実践】タイプ別・トラブル回避のチェックリスト

状況に応じて、あなたが確認すべきポイントを整理しました。

ケースA:企業から解除を言い渡された場合

確認項目 チェックポイント
予告期間 6ヶ月以上の契約なら30日前に通知があったか?(新法遵守)
解除の理由 正当な理由があるか?理由の開示を求めたか?
報酬の確定 最終稼働日までの報酬を日割り計算で提示したか?
契約書の特約 「解除時には1ヶ月分を支払う」などの条項がないか?

ケースB:自分(フリーランス)から解除したい場合

  • 「やむを得ない事由」があるか: 自身の病気、家族の介護、相手方のハラスメント、報酬未払いなどがあれば、損害賠償なしで即時解除できる可能性が高まります。
  • 引継ぎの誠実さ: 「不利な時期」とみなされないよう、引継ぎ資料を作成し、後任への配慮を見せることが賠償リスクを最小限にします。
  • 通知の証拠: 電話ではなく、必ずメールやチャットなど「日付」が残る形で解除の意思を伝えてください。

事例|準委任契約の中途解除を巡るリアルな解決策

現場でよく起こる事例を、シンプルにまとめました。

【事例1:即日解除への対抗】
1年以上継続したプロジェクトで、突然「来週から予算が切れるので終了」と言われたエンジニア。新法の30日前予告義務を指摘し、結果として1ヶ月分の報酬相当額を補償金として受け取ることで合意した。

【事例2:激務による自己都合解除】
月160時間契約のはずが250時間を超える激務になり、体調を崩したコンサルタント。契約書には「3ヶ月前予告」とあったが、過重労働を理由とした「やむを得ない事由」として、即時解除を申し出。医師の診断書を添えることで、賠償なしでの円満終了となった。

Q&A|準委任契約の解除でよくある「現場の疑問」

Q.「契約期間中」は、絶対に辞めることができませんか?

いいえ、前述の通り民法上は「いつでも解除」が可能です。ただし、契約書に「解除は◯日前までに申し出ること」とあれば、基本的にはそれに従う必要があります。それを無視して突然消えると「不利な時期の解除」として損害賠償(代替要員の確保費用など)を請求されるリスクが生じます。

Q.「解除した場合は違約金を支払う」という条項は有効ですか?

公序良俗に反するような過大な違約金(例:報酬の1年分など)は、裁判で無効とされる可能性が高いです。ただし、実際に相手が被る損害を予定した妥当な金額であれば、有効とされるケースもあります。不安な場合はサインする前に専門家に相談しましょう。

Q.相手が「解除の理由」を教えてくれないのですが。

フリーランス新法の対象であれば、解除の理由を「書面(メール可)」で回答するよう求める権利があります。企業がこれを拒むことは法律違反の可能性があります。

専門家を活用するメリット|「感情の対立」を「法的整理」へ

契約解除の局面では、お互いに感情的になりがちです。「裏切られた」「もう顔も見たくない」という思いが、建設的な話し合いを妨げます。

そこで、行政書士などの専門家が作成した「合意解除書」「通知書」を活用することには大きなメリットがあります。

  • 言った・言わないの防止: 残りの報酬、機密情報の返還、競業避止義務などを明確に文書化できます。
  • 賠償リスクの封じ込め: 「本契約に関し、今後一切の債権債務がないことを確認する(清算条項)」を入れることで、後からの法的請求を防ぎます。
  • 相手への心理的抑止: 専門家の名前で書類を送ることで、相手方の理不尽な要求(タダ働きや不当な減額)をストップさせることができます。

まとめ|今回は「準委任契約の解除ルール」についてでした

準委任契約の解除は、フリーランスにとって大きな転機です。それが突然の「宣告」であっても、あなたからの「決断」であっても、法律というルールを知っているかどうかが、その後の生活とキャリアを大きく左右します。

「準委任はいつでも辞められる。でも、誠実な引継ぎと30日前予告が基本。」

この原則を胸に、理不尽な扱いには毅然と立ち向かい、自分から離れる時はプロとしての責任を果たす。その積み重ねが、フリーランスとしてのあなたの信頼を作っていきます。

もし、今まさに「不当な解除で報酬が未払い」「辞めたいのに引き止められていて困っている」という状況であれば、一人で悩まずに私を頼ってください。

契約書の内容を精査し、あなたの権利を最大限に守るためのサポートを全力で行います。

今回は「準委任契約 解除」にまつわる法的な守り方についてのお話でした。

詳しくは こちら もご覧ください

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