内容証明の文字数と書き方の注意点

はじめに

日々の生活やビジネスの現場において、予期せぬトラブルに巻き込まれることは誰にでもあることです。相手方に対して自分の主張を明確に伝えたい、あるいは金銭の支払いを強く求めたいと考えたとき、真っ先に思い浮かぶ手段が内容証明郵便ではないでしょうか。

しかし、いざ筆を執ってみると、何をどこまで書けばよいのか、どの程度の分量にまとめるべきなのかという問題に直面します。この記事では、内容証明における文字数の考え方や、書面を構成する上での本質的な注意点について詳しく解説していきます。

この記事でわかること

内容証明を発送しようとする際、多くの方が気にされるのが形式上のルールです。一行あたりの文字数や一枚あたりの行数といった制度上の決まりはもちろん大切ですが、それ以上に重要なのが内容自体の分量です。この記事を読んでいただくことで、一般的に推奨される500字から2,000字程度のボリュームがなぜ最適なのか、そして、それを大幅に超える4,000字以上の書面がどのようなリスクを孕んでいるのかを理解していただけます。また、感情的な言葉が法律的な請求にどのような悪影響を及ぼすのか、その具体的な理由についても掘り下げていきます。

実際にあった失敗の事例

ここで、ご自身で内容証明を作成したことで、かえって事態が複雑化してしまった架空の事例をご紹介します。これはあくまで一つの例ですが、多くの方が陥りやすい傾向を反映しています。

ある個人の方が、知人に対して貸し付けた費用の返済を求めるために、自ら内容証明を作成しました。その方は、相手への怒りやこれまでの裏切られたという思いをすべて伝えようと考え、パソコンで何枚にもわたる長大な文書を作成しました。その文字数は4,000字を超え、幼少期からの付き合いや、どれほど自分が困っているかといった心情的な記述が全体の八割を占めていました。さらに、相手の家族に対する不満や、過去の無関係なトラブルについても事細かに記載してしまったのです。

結果として、この内容証明を受け取った相手方は、法的な請求内容を理解するよりも先に、その攻撃的で感情的な文章に強く反発しました。相手方は恐怖と不快感を感じ、弁護士を通じて、威圧的な言動による精神的苦痛を理由とした抗議を行ってきました。本来の目的であった貸金の返済という論点は後回しになり、双方が感情をぶつけ合う泥沼の紛争へと発展してしまいました。

もし、この方が最初から要点を絞り、法律的な根拠に基づいて簡潔に通知を行っていれば、早期の解決が望めたかもしれません。情報を詰め込みすぎることは、時として相手を硬化させ、解決の出口を塞いでしまうことがあるのです。

専門用語の解説

内容証明に関連してよく耳にする言葉に、確定日付というものがあります。これは、その日にその文書が存在していたことを公的に証明する日付のことです。内容証明郵便を利用すると、郵便局がいつ、どのような内容の手紙を、誰から誰に送ったのかを証明してくれます。この際、郵便局が書面に日付スタンプを押印しますが、これが確定日付としての役割を果たします。これにより、後日になって相手方がそのような手紙は受け取っていない、あるいは内容が書き換えられているといった反論をすることを防ぐことができます。法的な証拠能力を高めるためには、この確定日付が非常に重要な意味を持ちます。

内容証明の文字数における合理的な判断

内容証明を作成するにあたって、文字数の目安を把握しておくことは極めて重要です。一般的に、法的効果を適切に発揮しつつ、相手方にこちらの意図を正確に伝えるための分量は、500字から2,000字程度に収めるのが理想的とされています。なぜなら、この範囲内であれば、請求の根拠となる事実関係と、具体的な請求内容、そして期限を明示した回答の要求を、過不足なく記載できるからです。

しかし、ご自身で作成される事例を拝見すると、不必要な内容が多く盛り込まれ、結果として4,000字を超えるような大作になってしまうケースが散見されます。書き手としては、詳細に書けば書くほど自分の正当性が伝わると信じていることが多いのですが、マーケティングや法律の視点から見ると、これは逆効果になるリスクが高いと言わざるを得ません。

情報量が多すぎる書面には、いくつかの大きな弊害があります。まず、最も危険なのが、不用意な記述によって自らの弱点や隙を露呈させてしまうことです。長文になればなるほど、前後の記述で矛盾が生じたり、本来であればこちらに不利になるはずの事実まで丁寧に説明してしまったりすることがあります。相手方がその矛盾を見逃さず、反論の材料として利用してくれば、こちらの立場は一気に苦しくなります。

また、感情的な文言を並べることも避けるべきです。内容証明は、あくまで法的な意思表示の手段であり、感情の発散場所ではありません。恨み言や非難を連ねることは、相手方の対抗心を煽るだけであり、円滑な交渉を妨げる要因となります。紛争を早期に解決するためには、相手方がこちらの請求を受け入れやすい環境を作ることが大切です。そのためには、伝えるべきことと請求内容を極めてシンプルにし、論理的な構成に徹することが求められます。

行政書士に早い段階で依頼するメリット

内容証明の作成を早い段階で行政書士に依頼することには、多大なメリットがあります。専門家は、まずご依頼者様の話の中から、法的に意味のある事実とそうでないものを厳密に切り分けます。ご自身では重要だと思っているエピソードでも、法的な判断においては不要であったり、むしろ主張を弱めてしまったりすることがあります。行政書士は、それらを整理し、必要最小限かつ最大の効果を発揮する文面に仕上げるプロフェッショナルです。

行政書士が介入することで、書面は客観的で冷静なトーンに保たれます。これにより、相手方に対してこちらの本気度を伝えつつも、不必要な対立を回避することが可能になります。また、行政書士の名前が入った書面が届くこと自体が、相手方に対して心理的な圧力を与え、誠実な対応を引き出すきっかけにもなります。

さらに、将来的な裁判を見据えた場合でも、行政書士が作成した内容証明は有力な証拠となります。要点が整理された簡潔な書面は、裁判所にとっても内容を把握しやすく、こちらの主張が一貫していることを示す強力な武器になります。最初から専門家の視点を取り入れることで、情報の出し過ぎによる自滅を防ぎ、最短ルートでの解決を目指すことができるのです。

まとめ

内容証明は、文字数が多ければ多いほど良いというものではありません。むしろ、500字から2,000字程度の適切な範囲内で、いかにシンプルに、かつ力強く主張をまとめるかが鍵となります。感情に任せた4,000字以上の長文は、法的紛争をさらに複雑化させ、予期せぬリスクを招く恐れがあります。

もし、今あなたが相手方への通知を検討しており、伝えたいことが多すぎて整理がつかないのであれば、それは専門家の助けが必要なサインかもしれません。早い段階で行政書士に相談することで、隙のない、そして相手に響く適切な書面を作成することができます。トラブルの解決を第一に考えるのであれば、まずは一度、専門的な見地からのアドバイスを求めてみてはいかがでしょうか。適切な分量と論理的な言葉によって、事態が良い方向へ動き出すことを願っております。

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