フリーランスの落とし穴?準委任契約の基本とトラブル回避法

1.はじめに

「納品物がないのに報酬を請求するのはおかしい」――そんな言葉に心当たりはありませんか?実は、それはすべての契約に当てはまるわけではありません。フリーランスとして働くうえで、契約形態によっては報酬が「成果物」ではなく、「業務の遂行そのもの」に対して発生する場合があります。

東京都江東区にある【東京深川行政書士事務所】では、こうした契約上の誤解から報酬未払いなどのトラブルに発展した相談を多数受けてきました。特に「準委任契約」に関する知識の不足が、トラブルの温床となっているケースが目立ちます。

本記事では、フリーランスの現場で多く用いられる「準委任契約」の基本的な考え方と、誤解やトラブルを防ぐための対策についてわかりやすく解説します。

この記事でわかること

  • 準委任契約と請負契約の違い
  • よくあるフリーランスの契約トラブル事例
  • トラブルを防ぐための契約書チェックポイント

2.準委任契約とは?フリーランスとの関係

準委任契約とは、民法上の「委任契約」に準じた契約形態で、特定の事務処理や業務遂行を依頼する際に結ばれます。委任契約が「法律行為」のみを対象とするのに対し、準委任契約は「法律行為以外の事務処理」も対象になります。たとえば、情報収集、資料作成、カスタマーサポート、IT保守、SNS運用などが典型例です。

請負契約と混同されやすいですが、両者には決定的な違いがあります。請負契約では「成果物の完成」が報酬の条件です。一方、準委任契約では「業務を遂行すること」自体に報酬が発生します。そのため、完成した成果が目に見えづらい業務においては、準委任契約が適している場合が多いのです。

フリーランスとして活動する多くの方が、実態としては準委任契約に基づく業務をしているにもかかわらず、クライアントがそれを理解していないことで、「仕事をしたのに報酬が支払われない」「突然契約を打ち切られた」といったトラブルに発展してしまうのです。

3.よくある準委任契約トラブル

事例1 「成果がない」と報酬をカットされたデザイナー

月額制でブランディング支援を行っていたフリーランスのグラフィックデザイナー。定期的なミーティングへの出席、資料の作成、デザイン提案などを継続していたにもかかわらず、クライアント側から「売上が上がっていない」「目に見える成果がない」として一方的に報酬を打ち切られました。

【ポイント】 準委任契約では、「業務の遂行」に対して報酬が発生することが基本です。契約時に「業務内容」および「報酬の支払い基準」を明確にし、実施した作業の記録を日々残すことが大切です。

事例2 契約途中で一方的に打ち切られたITエンジニア

週3日常駐してシステムの保守運用を担当していたフリーランスエンジニアが、突然「契約を終了したい」と言われて出社を止められました。その際、残りの契約期間の報酬も支払われませんでした。

【ポイント】 準委任契約は原則としていつでも解除が可能ですが、突然の契約解除によりフリーランスが不利益を被る場合、損害賠償の対象となることがあります。契約書に「解除の通知期限」や「途中解約に伴う清算方法」などを記載しておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。

事例3 毎日の業務報告が「成果ではない」と否定された事務代行

あるフリーランスが、毎日メール対応やデータ入力、スケジュール管理などの業務を行い、報告書をクライアントに提出していました。しかし契約満了時に「完成した成果物がない」として報酬の支払いを一部拒否されました。

【ポイント】 業務範囲や内容を事前に明文化し、毎日の業務報告を蓄積しておくことが重要です。「業務内容の履行証拠」として役立ちます。

4.契約書を見直そう!トラブル回避の3つのポイント

  • 準委任契約であることを明記

契約書の冒頭に「本契約は準委任契約である」と明記することで、後から「これは請負契約だ」と主張されるリスクを回避できます。

  • 業務内容と報酬の対象を具体的に書く

「月○時間までの対応」「○曜日はリモート、その他は出社」など、業務の範囲・頻度・手段を明確にしましょう。抽象的な表現だけでは、後に「やっていない」と主張される可能性があります。

  • 報酬が発生する基準を明確にしておく

たとえば「月末締め翌月10日払い」「業務報告提出をもって業務完了とする」など、報酬発生の基準を明示しておくと、トラブル時の主張根拠となります。

5.まとめ 成果より「働いた証拠」を残そう

フリーランスが安心して業務を遂行するためには、「契約形態を正しく理解すること」と「働いた証拠を残すこと」が非常に重要です。特に準委任契約においては、業務の遂行が報酬の対象であるため、「何を、どれだけ、どう行ったか」を記録として残しておくことが未払いリスクの回避につながります。

また、契約書の文言一つで立場が大きく変わることもあるため、契約締結時には専門家によるチェックを受けることを強くおすすめします。

東京深川行政書士事務所では、準委任契約に関する契約書作成やチェック、トラブル対応の相談にも対応しております。フリーランスの方が法的に安心して業務に集中できるよう、全力でサポートいたします。オンラインでのご相談も可能ですので、どうぞお気軽にご連絡ください。

▼ ご相談はこちらから https://panda-gy.com/

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