債務不履行とは?契約トラブルを防ぐために知っておくべき基本

1.はじめに 「契約したのにやってくれない…」そんなお悩みありませんか?

ビジネスの現場や日常生活の中で、「お願いした仕事が期日までに終わらなかった」「納品された内容が不十分だった」「約束通りに支払いがされない」といった経験はありませんか。こうした契約上の約束が守られない状況を、法律では「債務不履行(さいむふりこう)」と呼びます。

東京都江東区にある【東京深川行政書士事務所】では、こうした契約トラブルに関するご相談を多数いただいています。特にフリーランスや小規模事業者の方からは、「納期遅れ」「途中での業務放棄」「品質トラブル」「報酬未払い」など、債務不履行が疑われる場面での対応方法について多くのお問い合わせをいただいています。

この記事では、債務不履行の基本的な考え方から、よくある事例、実際に問題が起こった際の対処法まで、実務の視点でわかりやすくご紹介します。契約トラブルに備えたい方、すでにトラブルに巻き込まれてしまった方にとって、有益な内容となるはずです。

この記事でわかること

  • 債務不履行の種類と特徴
  • よくある契約トラブルの具体例
  • 債務不履行が起きたときの対処法

2.債務不履行の基本をおさえる

「債務不履行」とは、簡単に言えば契約で約束された義務を果たさないことです。民法第415条では、債務者がその義務を履行しなかった場合、債権者は損害賠償請求をすることができると定められています。

債務不履行は、大きく分けて以下の3つに分類されます。それぞれに該当する対応や主張の方法が異なるため、状況に応じた判断が重要です。

  • 履行遅延

納品や支払いなどの期限を過ぎても履行しないケースです。たとえば「納期までに納品されない」「支払いが約束の日を過ぎても行われない」といった場合が該当します。実行する意思や能力はあっても、期日を守れなかった点が問題になります。

  • 履行不能

約束された義務をそもそも履行することが不可能になったケースです。たとえば、制作途中で事業者が倒産してしまった、必要な素材が消失してしまった、外注先が撤退して作業継続ができないといった場合が考えられます。

  • 不完全履行

一応義務の一部は果たしたものの、契約内容と比べて明らかに不備がある場合です。たとえば「デザインは納品されたがクオリティが著しく低い」「数量が足りない」など、質的・量的な問題がある状態を指します。

このようなトラブルは、契約書の作成が不十分だったり、合意内容が曖昧だったりすると発生しやすくなります。トラブルを防ぐには、契約内容の明文化と、履行状況の可視化が欠かせません。

3.よくある債務不履行トラブル事例

以下は、実務でよく見られる3つの事例です。

事例1 納期遅延でサイト公開ができなかった

Web制作会社に新規ホームページの制作を依頼。契約書には「公開予定は○月末」と明記されていたが、納品が大幅に遅れ、イベントや広告スケジュールに大きな影響が出た。

【ポイント】 納期を過ぎた時点で「履行遅延」に該当する可能性あり。メールや打ち合わせ記録、進捗報告書などを証拠として残しておくことで、後の請求に備えることができます。損害が発生した場合には、賠償請求の対象にもなります。

事例2 依頼した業務が途中で放棄された

業務委託契約でSNS運用を依頼していたが、途中で連絡が取れなくなり、投稿や分析レポートも停止。問い合わせにも反応なし。

【ポイント】 履行が不可能になった場合は「履行不能」とされる可能性があります。途中放棄は契約違反であり、損害賠償の対象になることも。催告の上で契約解除を行い、業務の再委託費用などを請求する流れが一般的です。

事例3 納品された印刷物が誤字だらけ

チラシ制作を発注。納品はあったが、校正されていない誤字が多数含まれており、そのままでは配布できない状態だった。

【ポイント】 このようなケースは「不完全履行」に該当します。契約内容に「校正チェック込み」などの記載があれば、責任を問う根拠になります。修正費用や機会損失を含む損害を請求することも可能です。

4.債務不履行が起きたときの対応策

実際に債務不履行が起きたとき、慌ててしまうのは当然です。しかし、冷静に対処することで相手との関係悪化を避けながら、きちんと責任を問うことができます。

以下のステップで対応しましょう。

  1. まずは履行を求める旨を明確に伝える(催告)。文書で通知するのが望ましいです。
  2. 記録(メール、契約書、納品物、見積書、進捗報告書など)を整理し、証拠として保全。
  3. 履行がなければ契約解除や損害賠償請求を検討。可能であれば、第三者(行政書士など)を介した交渉が有効です。
  4. 書面での請求が必要な場合は、行政書士による内容証明郵便の活用も有効。証拠性が高く、相手への心理的圧力にもなります。

ポイントは、「言った言わない」にならないよう、できるだけ書面でやり取りすることです。また、請求のタイミングを逃すと、信頼関係が悪化したり、損害が拡大したりする可能性もあるため、早期対応が大切です。

5.まとめ トラブルを防ぐために契約書と証拠を味方につけよう

債務不履行は、事前の契約書の内容、履行状況の把握、そして冷静な対応によって、ある程度リスクをコントロールできます。特に近年ではフリーランスや中小事業者との取引が増加しており、契約リスクは他人事ではありません。

トラブルの発生を未然に防ぐためには、納期・業務範囲・報酬などの条件を明確に文書化しておくことが不可欠です。また、進捗ややり取りをメールやチャットなどで記録に残すことが、いざというときの備えになります。

さらに、トラブルが発生した際には、自分ひとりで抱え込まず、早めに専門家に相談することが解決の近道です。行政書士は、契約書の作成・チェックだけでなく、内容証明郵便の作成や簡易な法的アドバイスまで対応可能です。

東京深川行政書士事務所では、契約トラブルに関する予防・対応支援を実務経験をもとに丁寧に行っております。内容証明郵便や契約書作成などのご相談はオンラインでも承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

▼ ご相談はこちらから https://panda-gy.com/

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