公証人になるには?資格・試験・実務のリアルを解説

1. はじめに

東京都江東区にある東京深川行政書士事務所では、日々さまざまな法律文書の作成や公正証書の相談を受けています。

その中で、「公証人ってどうやってなるの?」「行政書士から公証人になれるの?」というご質問をいただくことも少なくありません。

公証人は、私たちの生活に密接に関わる重要な公的文書を扱う専門家です。

もしあなたが、公的文書を取り扱う仕事に興味があるなら、この職業は魅力的に映るかもしれません。

この記事では、公証人という仕事の魅力から、その資格要件や道のり、実際の業務までを分かりやすく解説します。

この記事でわかること

  • 公証人という仕事の役割と必要性
  • 公証人になるための具体的な道のり
  • 行政書士として公証人に関わる方法

2. 公証人とは?制度と背景

公証人ってどんな仕事をする人?

公証人とは、法務大臣から任命され、公正証書などの公的文書を作成する専門家です。

特に、遺言書や金銭消費貸借契約書(お金を借りた時の契約書)など、皆さんの大切な約束事を公的に証明する役割を担っています。私たちが普段交わす契約書は「私的文書」ですが、公証人が関わることで「公的文書」として強い証明力を持つようになるのです。

公証人は、裁判官、検察官、弁護士など、法律の専門家として長年の経験を積んだ人の中から選ばれることがほとんどです。国家公務員とは少し異なり、「特別職の公務員」として、特定の地域で独立して業務を行っています。

行政書士や司法書士も書類作成をしますが、公証人の大きな違いは、中立公正な立場で文書を認証することです。

当事者の意向を尊重しつつも、法的な視点から公平な文書を作成するため、高い法律知識と実務経験が求められます。

なぜ公証人が必要なの?その重要性

公証人が作成する公正証書は、なぜ私たちの生活に必要なのでしょうか?

  • 争いを未然に防ぐため 例えば、遺言書を公正証書にしておけば、後から「本当に本人が書いたものか?」と争いになるリスクを大幅に減らせます。
  • 強い法的効力を持つため お金を貸し借りする際に公正証書を作成しておけば、万が一相手が約束を守らなかった場合でも、裁判なしで強制的に回収手続き(強制執行)ができるようにするなど、強い法的効力を持たせることが可能です。
  • 第三者が関わる安心感 当事者同士だけで契約書を作るよりも、中立な公証人が関わることで、その内容が法的に適切であると信頼性が高まり、安心して取引を進められます。

このように、公証人は、私たちが安心して社会生活を送る上で、非常に重要な役割を果たしているのです。

公証人に関するよくある誤解

「公証人は国家公務員だから、公務員試験に合格すればなれる」と考えている人もいるかもしれません。

しかし、公証人は、一般的な国家公務員試験を受けてなる職業ではありません。

また、「行政書士の資格があれば公証人になれる」という誤解もよく耳にしますが、直接的に行政書士の資格だけで公証人になる道はありません。

公証人になるためには、特定の専門的な経験が必要になります。

3. 公証人になるための実際の事例と流れ

事例1 元裁判官のAさんのケース

Aさんは、長年、裁判官として多くの民事事件や刑事事件に携わってきました。裁判官として15年以上の実務経験を積んだ後、定年退官を迎えました。ある時、法務局から公証人として推薦される機会を得て、任命されることになりました。

公証人になるための特別な試験はありませんが、公証人法という法律で、裁判官や検察官として15年以上の実務経験がある人や、弁護士として長年の実務経験を持つ人などが任命の対象とされています。Aさんのように、法律の専門家として豊富な経験を持つ人が、その知識と経験を活かして公証人になるというのは、よくあるケースです。

公証人として任命されたAさんは、研修を受けた後、公証役場で遺言書や金銭貸借の公正証書作成など、公正証書作成の業務に日々従事しています。

事例2 元弁護士のBさんのケース

Bさんは、弁護士として20年近く活動し、特に企業間の契約問題や個人のトラブル解決など、様々な民事事件に携わってきました。依頼者の話を聞き、法的な視点から解決策を導き出すことに長けていました。ある日、法務省から公証人候補者としての打診があり、検討の結果、公証人になることを決意しました。

弁護士も、長年の経験と実績が評価されれば、公証人として任命される道があります。Bさんは、弁護士時代に培った交渉力や、複雑な法的問題を分かりやすく説明するスキルを活かし、公証人として、公正証書作成を通じて多くの人の紛争予防に貢献しています。

特に、複雑な内容の遺言書を作成する際には、Bさんの丁寧なヒアリングと的確なアドバイスが、多くの依頼者から高く評価されています。

行政書士から公証人を目指す人の注意点

「行政書士として書類作成の経験があるから、公証人になれるかも?」と考える方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、現在の日本の制度では、行政書士の資格を持っているだけでは直接公証人になることはできません。

前述のAさんやBさんのように、裁判官、検察官、弁護士といった「法曹資格」を持ち、かつ長年の実務経験があることが、公証人に任命されるための基本的な条件となります。

行政書士として公証人に関わりたい場合は、直接公証人になるのではなく、公証役場で公正証書を作成する際のサポート業務に携わることができます。

例えば、公正証書作成の依頼者から事情を詳しく聞き取り、それをまとめる手助けをしたり、公正証書に記載する契約内容を事前に整理したりするといった形で、公証人業務の間接的なサポートを行うことが可能です。

このように、行政書士は、公正証書作成の準備段階で、依頼者と公証人との橋渡し役として重要な役割を果たすことができます。

4. 公証人を目指す方へのアドバイス

公証人になるための道のり

公証人になるためには、特別な「試験」があるわけではありません。

重要なのは、法律の専門家としての豊富な実務経験です。具体的には、弁護士、裁判官、検察官として15年以上の実務経験があることが、公証人に任命されるための主な条件となります。

もしあなたが公証人という職業に魅力を感じ、将来的に目指したいと考えているのであれば、まずはこれらの法曹資格(弁護士資格など)の取得を目指し、それぞれの分野で経験を積むことが第一歩となります。

行政書士として公証業務に関わる方法

行政書士の資格だけでは直接公証人になれないことはお伝えしましたが、行政書士として公証業務に全く関われないわけではありません。むしろ、公正証書作成のサポートを通じて、公証人や依頼者の方と密接に関わることができます。

例えば、以下のような形で関わることが可能です。

  • 公正証書作成の準備サポート 遺言公正証書を作成したい、金銭消費貸借契約書を公正証書にしたいという依頼者から、詳しく話を聞き、必要な情報を整理します。
  • 契約書作成のアドバイス 公正証書にする前の段階で、契約の内容をどのようにすれば良いか、法的に問題がないかといったアドバイスを行います。
  • 遺言執行者としての活動 遺言公正証書の内容に基づき、実際に遺産を相続人に分配する「遺言執行」を行う役割を担うこともあります。

このように、行政書士は公証役場へ行く前の準備段階や、公正証書作成後の手続きにおいて、依頼者の強力な味方となることができます。

専門家に相談することのメリット

公正証書の作成には、専門的な知識と正確な書類作成が不可欠です。

自分で作成しようとすると、必要な情報が不足したり、法的に不備が生じたりするリスクがあります。特に、遺言書などは、一度作成してしまうと後から内容を修正するのが難しい場合もあります。

行政書士のような専門家に事前に相談することで、あなたの状況に合わせた最適なアドバイスを受け、正確な書類作成をサポートしてもらうことができます。

これにより、後々のトラブルを防ぎ、安心して手続きを進めることが可能になります。

5. まとめと今できるアクション

この記事では、公証人の仕事内容から、その資格要件、そして行政書士としてどのように関われるのかについて解説しました。公証人という職業は、高い専門性と中立性が求められる、非常に重要な役割を担っています。

整理すると、以下のようになります。

  • 公証人は、法務大臣から任命される特別な公務員で、公正証書などの公的文書を作成します。
  • 原則として、裁判官、検察官、弁護士としての長年の実務経験がある人が任命の対象となり、行政書士の資格だけで直接公証人になることはできません。
  • しかし、行政書士は、公正証書作成の準備段階や、公正証書作成後の手続きにおいて、依頼者のサポートを行うことで、公証人業務に間接的に関わることができます。

東京深川行政書士事務所が公正証書の作成をサポートします

「公証人になるには?」という疑問から始まり、公正証書にまつわる様々な情報をお伝えしました。もしあなたが、契約書や遺言書を公正証書にしたいと考えているなら、その準備段階で専門家のアドバイスを受けることが、後のトラブルを防ぐ上で非常に重要です。

東京深川行政書士事務所では、公正証書の作成支援や、遺言書、契約書に関する事前相談を承っております。公正証書にすることでどのようなメリットがあるのか、どのような内容にすれば良いのか、あなたの疑問に丁寧にお答えし、最適なサポートをご提供いたします。

どうぞお一人で悩まず、お気軽にご相談ください!

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