1. はじめに
内容証明郵便は、相手に強い意思表示を伝える有効な手段として広く活用されています。
しかし、せっかくの重要な意思表示も、作成時にある「ルール」を知らないと、思わぬトラブルに繋がることがあります。
東京深川行政書士事務所(東京都江東区)にも、「文章が長くなりすぎてしまった」「字数制限に引っかかってしまった」といったお悩みのご相談が多数寄せられています。これは、内容証明郵便特有のルールがあるためです。
この記事では、内容証明郵便の文字数制限とその注意点、そしてトラブルを防ぐための具体的な対策をわかりやすくご紹介します。
この記事でわかること
- 内容証明の文字数制限とは何か、どこに注意すべきか
- 字数オーバーで実際に起きたトラブルとその対処法
- 内容証明の作成を専門家に依頼するメリット
2. 内容証明郵便の基本と「文字数制限」の仕組み
内容証明郵便とは、誰が、いつ、どんな内容の文書を、誰に送ったかを日本郵便が公的に証明する制度です。特に金銭請求、契約解除、慰謝料請求などで使用され、法的な効力そのものではなく、後々の裁判などで「証拠」として扱われるため、強い意思表示として活用されます。
この制度には、用紙1枚あたりの「行数」と「1行あたりの文字数」に厳格な制限があります。
郵便局のルールでは、縦書きなら1枚26行以内、1行20文字以内。横書きなら1枚26行以内、1行20文字以内、または1枚20行以内、1行26文字以内、さらに1枚13行以内、1行40文字以内といったルールがあります。
一般的には、用紙1枚に26行以内、1行20文字以内がよく使われます。そして、1通につき3枚までが基本です。
つまり、最大で1通につき780文字(20文字×26行×3枚)という上限があるのです。
行政書士は、この内容証明郵便の作成の専門家です。内容証明郵便は、相手への意思表示として非常に重要である一方、その作成には専門的な知識と経験が求められます。特に、この文字数制限を意識した上で、伝えたい内容を過不足なく、かつ法的に意味のある形でまとめる作業は、一般の方には難しいものです。そのため、早い段階で専門家に依頼することで、不備なくスムーズな手続きを進めることができます。
この制限を超えた文書は、郵便局で受付を拒否されることがあるため、特に長文になりやすい契約トラブルや感情的な主張が含まれる文書では注意が必要です。
また、行頭に空白を設ける癖や、句読点や改行の使い方にも気を配る必要があります。これらの細かなルールを知らずに作成してしまうと、思わぬところで時間と手間がかかるだけでなく、最悪の場合、相手に適切な意思表示ができないといった事態に陥る可能性もあります。
3. 字数制限を超えてしまった3つの失敗事例
ここでは、実際に内容証明郵便の文字数制限で問題が発生した具体的な事例を3つご紹介します。
ご自身の状況に当てはまる部分がないか、確認してみてください。
【事例1】感情のまま長文を書いてしまい、受付拒否
40代男性が元配偶者に慰謝料請求の内容証明を出そうとしたケースです。ご自身で作成した文書は、日頃の不満や経緯を詳細に書き綴った結果、900文字を超える長文となってしまいました。郵便局に持ち込んだところ、文字数オーバーで受付を拒否されてしまいました。結局、再度要点を絞って書き直す羽目になり、時間も精神的な負担も大きくなってしまいました。
→ 要点を絞らず、感情に任せて書いてしまうと、文字数が超過し、郵便局での受付ができないという事態に繋がります。伝えたいことはたくさんあっても、内容証明郵便は「証拠」として有効であることに意味があるので、感情的な文章は控え、必要なことだけを記載することが重要です。
【事例2】契約解除通知で重要な条項を削除せざるを得なかった
不動産賃貸契約の解除通知で、賃借人が契約違反を指摘し、解除の根拠となる複数の条項を引用する必要がありました。しかし、作成した文書が600文字程度では、条項の引用や背景の説明がどうしても足りず、泣く泣く一部の重要な条項の引用を削除せざるを得なくなりました。後日、相手方から「契約解除の根拠が不明確だ」と反論され、トラブルがさらに長期化する結果となりました。
→ 行数と文字数の制限を意識せずに作成すると、伝えたい内容が伝えきれないだけでなく、重要な法的根拠が欠落する可能性があります。このような場合、専門家による精査が遅れると、後の交渉や訴訟で不利になるリスクが高まります。
【事例3】別紙対応でかえって混乱を招いたケース
内容証明での説明が足りず、別紙に詳細を記載して提出したケースです。しかし、相手方から「正式な通知ではない」との反論を受け、別紙の内容が内容証明として認められないという事態に発展しました。結果的に、内容証明郵便の有効性そのものが問われることになり、当初の目的を達成できない事態になりました。
→ 内容証明郵便は本文だけで完結する構成が求められることが多く、別紙を添付してもそれが内容証明の「一部」として認められない場合があります。安易な別紙対応は、かえって混乱を招いたり、法的効力を弱めたりする可能性があるため慎重に行う必要があります。
4. 字数オーバーを防ぐための対策と専門家の活用
内容証明郵便を作成する際は、以下の点を意識することが大切です。これらのポイントを押さえることで、文字数オーバーを防ぎ、より効果的な内容証明を作成することができます。
- 最初に「目的」と「伝えるべき要点」を紙に書き出す
- 漠然と書き始めるのではなく、まず「何を相手に伝えたいのか」「その結果、どうしてほしいのか」を明確にしましょう。これにより、不要な情報を削ぎ落とすことができます。
- 文章を簡潔に整える(冗長な接続詞や重複表現を削る)
- 「〜ということです」「〜といった状況です」など、冗長な表現は極力避け、ストレートな言葉で伝えましょう。同じ内容を何度も繰り返すことも避けてください。
- 句読点や改行の位置に注意し、改行しすぎないように調整する
- 句読点も文字数にカウントされます。また、改行を頻繁に行うと、それだけで行数を消費してしまいます。適度な改行を心がけましょう。
また、文章構成に自信がない場合は、行政書士などの専門家に依頼することが安全です。東京深川行政書士事務所では、事案の背景を丁寧に整理した上で、法的に意味のある文面を文字数内に収めて作成しています。専門家に依頼するメリットは、以下のような点にあります。
- 時間と手間の削減:ご自身で作成する手間と時間を大幅に削減できます。
- 適切な法的表現:法的に正確かつ有効な表現で、伝えたい内容を確実に相手に伝えることができます。
- リスクの回避:不備による受付拒否や、内容の不備による相手方とのトラブルを未然に防ぐことができます。
- 精神的負担の軽減:ご自身で慣れない書面作成に取り組む精神的な負担を軽減できます。
特に感情的な内容や複雑な契約が絡む場合、「自分で書くと冗長になる」「本当に伝えたいことが伝わらないかもしれない」**というリスクが高く、専門家の関与は非常に有効な手段となります。
5. まとめ:内容証明は「短く、強く、正確に」が鉄則です
内容証明郵便は、短い文面でしっかりとした意思表示を行う文書です。そのため、内容の整理と文字数管理は極めて重要になります。感情に任せて書き連ねたり、必要な情報が不足したりすると、せっかくの意思表示も無駄になってしまう可能性があります。
文字数オーバーのまま提出しようとすると、郵便局での受付拒否や、伝達ミス、誤解を招くリスクがあります。一度拒否された文書は、再提出に時間がかかり、結果的に問題解決の機会損失にもつながります。
「自分でなんとか書こう」とする前に、まずはご自身の状況や伝えたい内容を整理し、構成や内容の整理を含めて専門家に相談することをおすすめします。これにより、時間のロスや法的リスクを未然に防ぎ、スムーズに問題解決へと進むことができます。
東京深川行政書士事務所では、内容証明郵便の文案作成から郵送代行まで、スピーディかつ丁寧に対応しています。「内容が長すぎるかも」「これで大丈夫か不安」という方は、ぜひ一度ご相談ください。無料相談も受け付けていますので、まずはお気軽にこちら(https://ny-mail.jp/)お問い合わせください。
あなたの状況に合わせた最適なサポートをご提供いたします。