1 はじめに
現代のビジネスにおいて、Googleマップやその他のプラットフォームの口コミは、お客様が店舗や企業を選ぶ上で非常に大きな影響力を持っています。
しかし、残念ながら、時には事実に基づかない悪意のある書き込み、あるいは誹謗中傷によって、企業や店舗の評判、ひいては営業活動そのものに深刻な損害が及ぶことがあります。
このような悪質な口コミは、単なる感情的な批判ではなく、名誉毀損や信用毀損という重大な不法行為に該当する可能性があります。
口コミのプラットフォームに通報するだけでは対応が遅れたり、削除が認められなかったりすることも多いため、被害の拡大を防ぐためには、法的な根拠に基づいた確実な手段を用いて、書き込みの削除や、書き込んだ相手への責任追及を行うことが求められます。
この記事は、Google口コミによる名誉毀損の被害に遭われ、安易な対処ではなく、法的な効力を持つ文書を用いて、問題を迅速かつ確実に解決したいと考える事業者を対象としています。
法律の用語に多少馴染みのある方であれば、悪質な書き込みを不法行為として捉え、その責任を追及するための証拠づくりが、いかに重要であるかを深く理解していただけるでしょう。
行政書士が専門とする内容証明郵便が、このデジタル時代の名誉毀損問題に対して、どのように決定的な解決の糸口を提供できるのかを詳細に解説していきます。
2 悪質な口コミ被害からの回復と法的対策
この記事を読み進めることで、あなたは以下の点について具体的に理解し、悪質な口コミによる被害から事業の信用を守るための確かな対策を講じることができます。
- Google口コミにおける虚偽の書き込みが、法的に名誉毀損という不法行為にあたるかどうかを判断するための基本的な考え方。
- プラットフォームへの報告を超えて、法的な意思表示として口コミの削除や発信者情報開示を求める内容証明郵便の作成とその効力。
- 悪質な書き込みによる損害を証明し、将来的に書き込んだ相手(発信者)への損害賠償請求を行うための具体的な準備。
3 虚偽の悪評により集客に大きな損害を受けたN社の事例
これは、Google口コミの悪質な書き込みによって、集客と信用に大きな損害を受けた架空のN社(地域密着型の飲食店)の事例です。
あくまで事例であることをご承知おきください。
N社のGoogleマップのページに、ある日、星1つの評価と共に「この店は古くなった食材を使い回しており、食中毒になりかけた」「店主の対応が非常に悪く、客に対して罵声を浴びせた」といった虚偽の事実を断定的に記述した口コミが投稿されました。
N社は、直ちにGoogleに報告しましたが、プラットフォーム側からは「ポリシー違反が認められない」として削除が見送られました。
この口コミが投稿されて以降、N社の新規客の来店が大幅に減少し、売上にも深刻な影響が出始めました。
虚偽の書き込みであるにもかかわらず、それが事実としてインターネット上に存在し続けることで、N社の長年培ってきた信用が著しく傷つけられました。
N社の経営者は、「単なる感情的な書き込みではなく、営業妨害を目的とした悪質な不法行為である」と判断し、この書き込みを直ちに削除させるとともに、将来的に発信者を特定して損害賠償請求を行うことを決意しました。
そして、その要求をGoogleに対して公的な証拠として残し、強く削除を促すための手段として、内容証明郵便の利用を行政書士に相談されました。
この事例が示すのは、デジタル上の悪評は現実の営業活動に直結する深刻な問題であり、法的な裏付けを持って迅速に対応することが、被害拡大を防ぐ唯一の方法であるという点です。
4 悪質な口コミを法的に問題視するための三つの概念
N社の事例のように、悪質な口コミに対処し、その責任を追及するためには、以下の三つの法的概念に基づいて、その行為を明確に定義し、対処することが必要となります。
この明確な定義をもって、内容証明郵便を作成します。
- 名誉毀損(めいよきそん): これは、刑法や民法上の概念であり、公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損する行為を指します。
ここでいう「事実」には、虚偽の事実も含まれます。
N社の事例における「古くなった食材を使い回し」という書き込みは、たとえ虚偽であっても、公然とN社の社会的評価を低下させるものであるため、名誉毀損にあたる可能性が非常に高いです。
内容証明郵便で、この行為が名誉毀損という不法行為にあたることを指摘し、削除を要求することが、法的な対抗措置の第一歩となります。 - 不法行為(ふほうこうい)に基づく損害賠償請求: 民法第709条には、不法行為に関する重要な条文が定められています。
民法第709条:故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
この条文の解説の通り、Google口コミにおける虚偽の書き込みは、N社の名誉権や信用という法律上保護される利益を侵害する不法行為に該当します。
この不法行為によって、N社は「集客減」という具体的な損害を被っています。
内容証明郵便で、この民法709条を根拠として、書き込みが不法行為にあたり、直ちに削除しなければ損害賠償請求を行うことを明確に警告します。 - プロバイダ責任制限法(発信者情報開示請求): 悪質な書き込みを行った相手を特定し、損害賠償請求を行うためには、その発信者の情報(IPアドレスなど)を入手する必要があります。
この手続きを定めているのが「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」、通称プロバイダ責任制限法です。
Googleなどのプラットフォーム(特定電気通信役務提供者)に対し、この法律に基づいて発信者情報の開示を求めることになります。
内容証明郵便で、書き込みが名誉毀損にあたることを指摘し、発信者情報開示請求を行う準備があることを明確に通知することで、プラットフォーム側の対応を促します。
5 損害賠償請求の意思を伝える内容証明郵便の文案
N社がGoogleの運営元に対して送付する内容証明郵便には、以下の骨子を盛り込むことが考えられます。
これは、削除要求と同時に、法的措置の準備があることを明確に伝えるための文例です。
【内容証明郵便の記載例(骨子)
件名:[店舗名]に対する名誉毀損書き込みの削除要求及び発信者情報開示請求の予告通知
- 事実の特定と法的指摘
「貴社が運営するGoogleマップ上の[店舗名]のページに、[〇年〇月〇日]に投稿された[ユーザー名]による口コミ([口コミの具体的な内容])は、事実無根の虚偽情報であり、当社の名誉権および営業上の信用を著しく毀損するものです。この行為は、民法第709条に定める不法行為に該当します。」 - 削除の要求と期限
「つきましては、上記書き込みが当社の名誉権を侵害していることが明白であるため、本通知書到達後直ちに、遅くとも三日以内に当該口コミを削除されるよう、強く要求いたします。」 - 発信者情報開示請求の予告
「貴社が上記期限内に削除要求に応じない、あるいは削除が実行されない場合、当社はプロバイダ責任制限法に基づき、当該書き込みを行った発信者情報の開示を求める法的手続きに移行することをあらかじめ通知いたします。また、これによって生じた全ての損害について、発信者に対して損害賠償請求を行う所存です。」
この内容証明郵便は、N社の意思が単なる通報ではなく、法的根拠に基づいたものであることを示し、プラットフォーム側に対し、迅速な削除対応を促す強力な手段となります。
6 企業の信用を守るために、文書作成のプロの客観的な視点を活用する
Google口コミによる名誉毀損被害は、企業の信用に直接的な打撃を与え、回復には長い時間を要します。
この問題に対処する際、感情的な抗議や、形式的な報告だけに頼ることは、被害を拡大させるリスクを高めます。
悪質な口コミに対抗するための書類作成は、法的な正確性と客観的な論理構成が不可欠です。
口コミを不法行為として定義し、削除要求や損害賠償請求の意思を伝える内容証明郵便の作成は、手間や費用を惜しむべきではありません。
なぜなら、この文書作成にかかる費用は、企業の信用失墜による長期的な売上減少や、後の複雑な訴訟手続きを回避するための、最も確実で効果的なリスクマネジメントだからです。
行政書士のような専門家に依頼することで、お客様の主張を、感情論を排した法的用語と条文に基づいて構成し、プラットフォームや発信者に対して法的効力をもって提示することができます。
企業の信用という無形の財産を守るために、文書作成のプロである専門家の客観的な視点をぜひご活用ください。
7 名誉毀損の口コミ対策と発信者情報開示の準備を行政書士が支援します
Google口コミによる名誉毀損被害は、迅速かつ法的な裏付けを持った対応が求められる緊急性の高い問題です。
これは、内容証明郵便、契約書、事実証明に関する文書といった権利義務に関する文書作成を専門とする行政書士の最も得意とする分野です。
当事務所では、お客様の具体的な被害状況を深く理解し、名誉毀損という不法行為に基づいた削除要求、および将来的な発信者情報開示請求を見据えた内容証明郵便の作成を一貫してサポートいたします。
企業の信用という大切な財産を守るための法的準備を、行政書士に安心してお任せください。
お問い合わせは、お問い合わせフォームか、ラインですぐにお問い合わせができ、返信は早いこと。
秘密厳守で、お客様のご連絡には迅速な返信をお約束いたします。
あなたの事業の信用と権利回復を、法的な側面から力強く支援させていただきます。
心よりお待ちしております。
お問い合わせはこちらから!




