不倫の示談書を自分で作る方法|必須7項目・ひな形・失敗しないコツを行政書士が解説
結論からお伝えすると、不倫の示談書は自分で作成することができます。ただし、書き方を間違えると、相手に支払いを踏み倒されたり、示談後に追加請求されたりと、深刻なトラブルになるリスクがあります。
この記事では、行政書士として数多くの示談書作成に携わってきた経験をもとに、自分で示談書を作るための必須項目・ひな形・よくある失敗パターンまで、実務目線でわかりやすく解説します。最後まで読めば、今日からすぐに動き出せます。
不倫の示談書は自分で作れる?【結論と注意点】
結論:法的には自分で作成できる
示談書は「当事者間の合意を文書化したもの」であり、法律上、特定の書式は定められていません。弁護士や行政書士が作成したものでなくても、当事者双方が署名・押印した私文書として有効です。
実際に、当事務所に相談に来られる方の中にも「一度自分で示談書を作って相手に渡した」というケースは少なくありません。それ自体は問題ではないのですが、「有効に機能する示談書かどうか」は、記載内容次第でまったく変わってきます。
自分でやるメリット・デメリット
- ✅費用をかけずに手続きを完結できる
- ✅相手との関係を穏便に保ちやすい
- ✅スピーディーに対応できる
- ❌記載漏れや表現の甘さで、後々もめるリスクがある
- ❌相手側に有利な内容になってしまう可能性がある
- ❌公正証書にしないと不払い時に裁判が必要になる
自分で作ることはできる。でも、「正しく機能する示談書」を作るためには、押さえるべきポイントがあります。次のセクションで、その核心をお伝えします。
示談書に必ず入れるべき7つの必須項目
行政書士として実務上、数え切れないほどの示談書を確認してきました。その経験から断言できますが、後でトラブルになる示談書には必ず「記載漏れ」があります。以下の7項目を必ず盛り込んでください。
① 当事者の特定
氏名・住所・生年月日を正確に記載します。後日、強制執行(差し押さえ)が必要になったとき、当事者を特定できないと執行できなくなるからです。ニックネームや旧姓のままにしないよう注意してください。
② 不倫の事実の確認
「いつ・誰と・どのような関係があったか」を文書に残します。曖昧な表現は禁物です。「交際関係」「不貞行為」など、事実を明確に記述することで、後から「そんな関係ではなかった」と言い逃れをされるリスクを防げます。
③ 慰謝料の金額と支払い方法
慰謝料の金額、一括払いか分割払いか、支払期日、振込先口座を明確にします。分割払いの場合は「期限の利益喪失条項」を必ず入れてください。これは「1回でも支払いが遅れたら残額を一括請求できる」という条項で、支払い逃げを防ぐ重要な文言です。
④ 不倫関係の解消・接触禁止条項
今後、不倫相手との連絡・接触を禁止する文言を入れます。「連絡しない」という抽象的な表現ではなく、電話・メール・SNS・LINEなど媒体を具体的に列挙することで、抜け穴をなくします。
⑤ 口外禁止条項(秘密保持)
本件の内容を第三者に漏らさないことを約束させます。「第三者」の範囲も明確にしておきましょう。SNSへの投稿、職場の同僚への告知なども明示的に禁止しておくのが実務上のポイントです。
⑥ 清算条項(これが最重要)
「本件に関し、本合意書に定めるもののほか、甲と乙の間には何らの債権債務も存在しないことを相互に確認する」——この一文がなければ、示談後に追加の慰謝料請求をされる可能性があります。必ず入れてください。
⑦ 違約金条項
各条項に違反した場合の罰則(例:違反1件につき金○○万円を支払う)を定めておきます。これは実際に支払わせるためだけでなく、「守らなければペナルティがある」という心理的な抑止力として機能します。
LINEでいつでも無料相談できます
行政書士が丁寧にサポートします。
示談書のひな形・文例【コピペで使えるテンプレート】
以下は、被害者側(配偶者)が不倫相手に対して作成する示談書の基本ひな形です。必ず個別の事情に合わせて修正してからご使用ください。
示 談 書
甲(被害者・請求する側):住所 ○○、氏名 ○○○○(生年月日:○年○月○日)
乙(不倫相手・請求される側):住所 ○○、氏名 ○○○○(生年月日:○年○月○日)
甲と乙は、以下のとおり合意する。
第1条(不貞行為の確認)
乙は、○年○月から○年○月にかけて、甲の配偶者である○○○○と不貞行為に及んだことを認める。
第2条(慰謝料の支払い)
乙は甲に対し、慰謝料として金○○万円を支払うことを約する。
支払方法:○年○月○日までに、下記口座へ一括振込にて支払う。
(分割払いの場合:第○回・○年○月○日 金○○万円、以下同様に記載)
第3条(期限の利益喪失) ※分割払いの場合のみ
乙が分割金の支払いを1回でも怠ったときは、乙は当然に期限の利益を失い、残債務全額を直ちに支払うものとする。
第4条(接触禁止)
乙は今後、甲の配偶者○○○○に対し、電話・メール・LINE・SNS・対面その他いかなる方法によっても接触しないことを誓約する。
第5条(口外禁止)
甲および乙は、本件の内容および本合意書の存在を、正当な理由なく第三者に開示・漏洩しないものとする。
第6条(違約金)
乙が第4条または第5条に違反した場合、乙は甲に対し、違反1回につき金○○万円の違約金を支払うものとする。
第7条(清算条項)
甲と乙は、本合意書に定めるもののほか、本件に関して互いに何らの債権債務も存在しないことを確認する。
以上の内容に合意し、本書2通を作成し、各自1通を保有する。
○年 ○月 ○日
甲 署名 ㊞
乙 署名 ㊞
このひな形はあくまでも参考例です。慰謝料の相場(不倫期間・子どもの有無・悪質性など)や個別の事情によって、記載内容は大きく変わります。「このまま使えば大丈夫」とは考えず、専門家への確認を強くおすすめします。
示談書を「紙」で終わらせるな|公正証書にすべき理由
私文書のままだと「払わなければ終わり」になる
自分で作った示談書(私文書)は、相手が支払いを拒否したとき、すぐに差し押さえができません。強制執行(給与・預金の差し押さえ)をするには、まず裁判所に訴訟を提起して判決を得る必要があります。訴訟には数十万円の費用と、1年以上かかる場合もある時間が必要です。
公正証書にすると「すぐ差し押さえ」できる
これに対し、「執行認諾文言付き公正証書」にしておくと、支払いが遅れた時点で、裁判なしに即座に強制執行が可能になります。これは私文書との決定的な違いです。相手にとっても「支払わないと差し押さえられる」というプレッシャーになり、支払い遵守の効果があります。
公正証書の作り方・費用の目安
公正証書は公証役場で作成します。手順は以下のとおりです。
- ① 示談書の原案を作成する
- ② 最寄りの公証役場に予約を入れる
- ③ 当事者双方が公証役場に出頭する(代理人も可)
- ④ 公証人が内容を確認・作成、双方が署名押印
費用は慰謝料の金額によって異なります。
| 慰謝料の金額 | 公証人手数料の目安 |
|---|---|
| 100万円以下 | 約5,000円 |
| 100万円超〜200万円以下 | 約7,000円 |
| 200万円超〜500万円以下 | 約11,000円 |
| 500万円超〜1,000万円以下 | 約17,000円 |
数千円〜数万円の費用で、万一の際の「差し押さえ権」を手に入れられると考えれば、公正証書化は必須の選択といえます。
自分でやる際の3大失敗パターンと対処法
行政書士として相談対応をしている中で、特によく見かける失敗が3つあります。自分で示談書を作る前に、必ず確認してください。
示談が成立して慰謝料を受け取ったあと、「やっぱり金額が少なかった」と相手から追加請求されるケースです。清算条項(第7条)がないと、理論上は追加の損害賠償請求が可能になります。
→ 対処法:必ず「本件に関しこれ以外の請求はしない」旨の清算条項を入れること。
「口頭では合意した」「LINEで了承された」という状態のまま、相手の直筆署名・押印のない示談書を持っているケースです。これでは合意の証拠として弱く、「そんな内容に合意した覚えはない」と言われるリスクがあります。
→ 対処法:必ず当事者双方の直筆署名と押印のある書面を2通作成し、各1通を保持する。
怒りや悲しみのまま文章を書くと、「脅迫があった」「強迫によって合意させられた」として、示談書の取消しを主張される可能性があります。感情表現が先走ったり、過度に強い言葉を使ったりするのは逆効果です。
→ 対処法:感情的な言葉は使わず、淡々とした法的な文言に徹すること。
自分でやるのが難しいケース|行政書士・弁護士に頼むべき判断基準
以下に当てはまる場合は、無理に自分でやろうとせず、専門家への相談をおすすめします。
- 相手が示談に応じない、または逃げている場合
相手と直接交渉が難しい状況では、専門家が間に入ることで円滑に進みます。 - 慰謝料の適正額がわからない場合
不倫の慰謝料相場は50万〜300万円程度ですが、不倫期間・頻度・子どもの有無・悪質性などによって大きく変わります。適正額の見極めには専門知識が必要です。 - 配偶者と不倫相手の両方に請求したい場合
共同不法行為として複数人に請求する場合、示談書の内容や合意の取り方が複雑になります。 - 相手が弁護士をつけてきた場合
相手側に弁護士がいる場合、素人が直接交渉すると著しく不利な内容で合意させられるリスクがあります。
示談書の作成・書面の整備は行政書士の業務範囲です。一方、相手との交渉(代理交渉)や訴訟は弁護士のみが対応できます。「書類は整えたい、でも費用は抑えたい」という方は行政書士への相談が費用対効果の高い選択肢です。
まとめ
- 不倫の示談書は自分で作成できるが、7つの必須項目を必ず入れること
- 特に清算条項・期限の利益喪失条項・違約金条項は絶対に忘れずに
- 私文書のままでは不払い時に裁判が必要。公正証書化が強力な保険になる
- 感情的な文言・署名押印の漏れ・清算条項の欠如が3大失敗パターン
- 相手が弁護士をつけた場合・複数人への請求は専門家への依頼を検討する
「示談書を自分で作る」という選択は、費用を抑えながら問題を解決する有効な方法です。ただし、一度合意した示談書は、後から簡単には覆せません。「後悔しない一枚」を作るために、少しでも不安があれば専門家に確認を取ることを強くおすすめします。
当事務所では、不倫示談書の作成サポートを行っています。ひな形へのアドバイスから公正証書化の手続き代行まで、あなたの状況に合わせて丁寧にサポートいたします。まずはLINEからお気軽にご相談ください。ご相談は無料です。
一人で悩まないでください
行政書士が丁寧にサポートします。
秘密厳守・LINEなら夜間でもお問い合わせいただけます。

