旅館業申請を自分でやる方法|行政書士に頼まず20〜40万円節約するための全手順

「旅館業の申請って、難しそう……」「行政書士に頼むとお金がかかるし、自分でできるのかな?」

そんな不安を抱えながら、民泊・簡易宿所の開業を検討されている方は多いのではないでしょうか。実際、旅館業(簡易宿所)の許可申請は、民泊新法の届出よりも手続きが複雑に見えますが、正しい手順と必要書類を把握すれば、自分でも対応できます。

この記事では、旅館業(簡易宿所営業)の申請から許可取得までの全フローを、費用・必要書類・審査のポイントまで含めて徹底的に解説します。民泊新法との違いも整理しますので、どちらで申請すべきか迷っている方もぜひ最後までお読みください。

まず整理:「旅館業」「民泊新法」「特区民泊」3つの違い

民泊を始めようとしたとき、最初に迷うのが「どの法律の枠組みで運営するか」です。主な選択肢は以下の3つです。それぞれのメリット・デメリットを正しく理解することが、開業後に後悔しないための第一歩です。

区分 法的根拠 営業日数 手続き 向いている物件
旅館業法(簡易宿所) 旅館業法 制限なし(365日可) 都道府県知事・保健所の許可(審査あり) 戸建て・古民家・郊外物件。年間を通じてフル稼働させたい場合
住宅宿泊事業法(民泊新法) 住宅宿泊事業法 年間180日以内(条例でさらに制限される場合あり) 都道府県知事への届出(審査なし) 自宅の空き部屋や賃貸物件。副業・試験的に始めたい場合
国家戦略特区民泊 国家戦略特別区域法 最低2泊以上の滞在が条件(日数上限なし) 特区指定自治体の認定(2026年5月以降、大阪市は新規受付終了) 特区エリアの物件のみ対象。現在は利用できる地域が限定的

3つの中で最も収益性が高いのは旅館業(簡易宿所)です。180日規制がなく年間365日の運営が可能なため、稼働率を最大化できます。手続きの難易度は上がりますが、開業後の収益ポテンシャルを考えると、許可取得にかける時間と労力は十分に回収できます。

2026年の重要変化:大阪市では2026年5月29日をもって特区民泊の新規受付が終了しました。今後大阪で新規に民泊を始める場合は、旅館業法か民泊新法の二択になります。また、東京都内では墨田区・豊島区などで上乗せ条例による日数制限が強化されています。旅館業許可の取得がより重要な選択肢になっています。

旅館業(簡易宿所)とはどんな業態か

旅館業法では、宿泊業を「旅館・ホテル営業」「簡易宿所営業」「下宿営業」の3種類に分類しています。民泊・ゲストハウス・古民家宿などが該当するのが「簡易宿所営業」です。

簡易宿所の定義は「宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設」とされており、ゲストハウス・ホステル・民宿・ペンション・山小屋・スキー小屋なども含まれます。一棟まるごと貸し出す「一棟貸し」スタイルも簡易宿所として申請できます。

旅館業(簡易宿所)の主なメリット

  • 年間365日の運営が可能:民泊新法の180日規制がなく、GW・夏休み・年末年始を含む繁忙期すべてで稼働できる。稼働率100%なら月120万円超の売上も射程内
  • 柔軟な客室管理:宿泊日数・価格・入退室ルールを自由に設定できる。レベニューマネジメント(時期による価格変動)との相性が良い
  • 信頼性と集客力:旅館業許可番号を持つことで、予約サイトでの掲載審査が通りやすくなり、ゲストからの信頼も得やすい
  • 法的安定性:民泊新法は条例改正で突然稼働日数が制限されるリスクがあるが、旅館業許可はより安定的な経営基盤になる
  • 将来的な収益物件としての価値:「旅館業許可取得済み・稼働実績あり」の物件は、不動産投資家への売却時に高値がつきやすい

▶ 申請について無料相談はこちら(LINE)

旅館業(簡易宿所)の許可申請に必要な3つの要件

旅館業の許可を取得するには、大きく分けて「構造設備基準」「衛生管理基準」「欠格事由に該当しないこと」の3つの要件をクリアする必要があります。

要件① 構造設備基準

旅館業法施行令で定められた構造設備の基準を満たす必要があります。主な基準は以下の通りです。

項目 基準の概要 補足・注意点
客室の床面積 1室あたり3.3㎡以上(ドミトリー形式の場合は1人あたり3.3㎡以上) 一棟貸しの場合は一般的にクリアしやすい。図面で確認が必要
採光・換気 外気に接する窓等の開口部があること 換気設備(機械換気)でも代替可能な場合あり。自治体に確認
洗面設備 宿泊者の需要を満たす規模の洗面設備があること 収容人数に応じた数の洗面台が必要。既存設備で対応できることが多い
便所 適当な数の便所があること 収容人数に応じた数が必要。男女共用可の場合あり
フロント・受付設備 旅館業法改正(2023年)により、ICT設備(顔認証等)による本人確認が認められ、無人運営が可能に スマートロック+顔認証カメラの組み合わせで対応できる
消防設備 消防法に基づく設備(自動火災報知設備・誘導灯・消火器等)が必要 消防署への事前相談が必須。設置費用が最もかかる項目の一つ

💡 実務のポイント:構造設備基準は自治体によって細部が異なります。申請前に必ず管轄保健所に事前相談(ほとんどの自治体で無料)を行い、「この物件で許可が取れるか」を確認してから本格的な準備を進めましょう。物件取得前に相談できれば、余計な出費を防げます。

要件② 消防法・建築基準法への適合

旅館業の許可申請と並行して、消防署への届出と建築基準法への適合確認が必要です。特に消防設備の設置は費用と時間がかかるため、早めに動くことが重要です。

法令 主な確認事項 担当窓口
消防法 自動火災報知設備・誘導灯・消火器・避難経路の確保。収容人数や建物の規模によって必要な設備が変わる 管轄消防署(予防課)
建築基準法 用途変更の要否(住宅→宿泊施設)。延べ床面積200㎡超の場合は用途変更確認申請が必要 市区町村の建築指導課
都市計画法 用途地域の確認。第一種・第二種低層住居専用地域では簡易宿所の営業が不可 市区町村の都市計画課

用途地域に注意:第一種・第二種低層住居専用地域では、旅館業(簡易宿所)の営業はできません。物件取得前に必ず用途地域を確認してください。一方、民泊新法(届出)であれば住居系の地域でも一定の運営が可能です。

要件③ 欠格事由に該当しないこと

旅館業法では、以下のような欠格事由に該当する場合は許可を受けられません(旅館業法第3条の2)。

  • 心身の故障により旅館業を適正に行うことができない者
  • 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  • 旅館業法・風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等に違反して刑に処せられ、執行終了から2年を経過しない者
  • 法人で、その役員のいずれかが上記に該当する場合

一般的な開業者が該当することはほとんどありませんが、法人で申請する場合は全役員が欠格事由に該当しないかを事前に確認しておきましょう。

許可申請に必要な書類一覧

申請書類は自治体によって多少異なりますが、標準的に必要なものは以下の通りです。保健所に事前相談した際に最新の必要書類リストをもらうことをお勧めします。

書類名 取得・作成方法 備考
旅館業許可申請書 保健所の窓口またはホームページからダウンロード 施設名・所在地・構造・客室数・収容人数などを記載
施設の平面図・配置図 自作またはCAD作成(縮尺1/100〜1/200程度) 客室・洗面所・便所・廊下等の配置と寸法を記載。これが最も手間のかかる書類
施設の立面図・断面図 自作または専門家に依頼 建物外観・構造がわかるもの
登記事項証明書(建物) 法務局またはオンライン申請 物件を借りている場合は賃貸借契約書のコピーも必要
水質検査成績書 保健所指定の検査機関で検査(要費用) 飲料水として使用する水の安全性を証明。1回3,000〜10,000円程度
消防法令適合通知書 消防署への届出後に交付 保健所への許可申請前に消防署への届出を先に済ませる必要がある
建築基準法適合通知書または確認 市区町村の建築指導課で確認 用途変更が必要な場合は確認申請が別途必要
住民票または登記事項証明書(申請者) 市区町村役所または法務局 個人の場合は住民票、法人の場合は登記事項証明書
申請手数料 保健所に現金または証紙で納付 都道府県・市区によって異なる。概ね16,500〜30,600円

💡 図面作成のコツ:平面図・配置図は手書きでも受理される自治体がほとんどです。方眼紙やWordの図形機能でも作成できますが、後で修正が発生しやすいため、最初から縮尺を正確に作ることを意識しましょう。CADソフト「Jw_cad」は無料で使えます。

▶ 書類作成・申請の進め方をLINEで相談する

許可申請の流れ——ステップバイステップ解説

旅館業(簡易宿所)の許可を取得するまでの標準的な流れを、ステップごとに解説します。

1
事前調査・用途地域確認
物件取得前に確認
2
保健所へ事前相談
無料・予約制
3
消防署への届出
設備設置→検査
4
書類作成・準備
図面・証明書類
5
保健所へ申請
手数料納付
6
審査・現地確認
数週間〜1ヶ月
7
許可書交付
営業開始可

1事前調査——用途地域・建物要件の確認

物件が決まったら(または候補が絞れたら)、まず用途地域を確認します。市区町村の都市計画課に問い合わせるか、国土交通省の「重ねるハザードマップ」や各自治体のGISマップで確認できます。

第一種・第二種低層住居専用地域では簡易宿所の営業ができないため、この段階でNG物件を早期に除外できます。建物の延べ床面積が200㎡を超える場合は用途変更確認申請が別途必要になります。

2保健所への事前相談——最重要ステップ

管轄保健所の担当部署(生活衛生課など)に事前相談の予約を入れます。この相談は無料で行えるところがほとんどです。相談時に持参するものは物件の図面(既存建物の場合)、建物の登記事項証明書、用途地域確認の結果などです。

事前相談では「この物件で許可が取れるか」「どの書類が必要か」「改修が必要な箇所はどこか」を具体的に確認できます。この段階での確認が、後の無駄な費用と時間を防ぐ最も重要なステップです。

3消防署への届出と設備設置

保健所への申請前に、消防署(予防課)への届出が必要です。消防署の担当者に物件の図面を持参して相談すると、「この建物に必要な消防設備のリスト」を教えてもらえます。

必要な設備の設置が完了したら消防署の検査を受け、「消防法令適合通知書」の交付を受けます。この通知書が保健所への申請に必要になるため、消防署への届出は早めに動き始めることが重要です。設備設置から検査まで1〜2ヶ月かかることもあります。

4申請書類の作成

事前相談で確認した必要書類を揃えます。最も時間がかかるのが平面図・配置図の作成です。客室・洗面所・便所・廊下の配置と寸法、採光・換気の状況などを正確に記載する必要があります。

水質検査(飲料水として使用する場合)は保健所指定の検査機関に依頼します。検査から成績書の交付まで2週間程度かかる場合があります。

5〜7保健所への申請・審査・許可書交付

必要書類が揃ったら保健所に申請書類を提出し、手数料(16,500〜30,600円程度)を納付します。審査期間は自治体によって異なりますが、概ね2週間〜1ヶ月程度です。審査中に保健所の担当者が現地確認に来ることがあります。

審査が完了し、基準を満たしていると認められれば「旅館業許可書」が交付されます。許可書の交付を受けた後、営業を開始できます。

費用はいくらかかる?——申請費用と開業コストの目安

費用項目 自分で申請する場合 行政書士に依頼する場合 備考
保健所申請手数料 16,500〜30,600円 同じ 都道府県・市区によって異なる
図面作成費 0円(自作)〜数万円 行政書士報酬に含まれることが多い 外注する場合は3〜10万円程度
水質検査費 3,000〜10,000円 同じ 飲料水として使用する場合
行政書士報酬 0円 20〜40万円程度 内製化すれば最大40万円の節約になる
消防設備設置費 10〜80万円 同じ 建物の規模・既存設備の状況による
建物改修費 物件による(0〜数百万円) 同じ 基準を満たすための改修が必要な場合
合計(申請関連のみ) 約3〜10万円 約25〜55万円

💰 内製化で最大40万円の削減:行政書士に依頼すると20〜40万円の報酬が発生しますが、申請フローを理解して自分で進めれば実費(3〜10万円程度)に抑えられます。2棟・3棟と展開するほどに内製化のメリットが大きくなります。申請ノウハウが社内に蓄積されることで、次の物件の申請スピードも上がります。

よくある失敗と対策——申請で躓かないために

失敗① 用途地域を確認せず物件を取得してしまった

第一種低層住居専用地域の物件を取得した後に「簡易宿所の営業ができない」と判明するケースは珍しくありません。物件取得の前に必ず用途地域を確認しましょう。用途地域の確認は無料でできます。

失敗② 消防設備の対応が遅れて開業が大幅に遅延した

消防設備の設置は、業者の手配から工事完了・消防検査まで1〜2ヶ月以上かかることがあります。保健所への事前相談と並行して、早めに消防署への相談を始めることが重要です。

失敗③ 図面の精度が低く、保健所に何度も修正を求められた

平面図の縮尺が合っていない、換気設備の記載が漏れているなど、図面の不備で何度も修正を求められると時間を無駄にします。事前相談時に「どのレベルの図面が必要か」をしっかり確認しておきましょう。

失敗④ マンションの管理規約を確認していなかった

用途地域・建築基準法は問題なくても、マンションの管理規約で「住宅宿泊事業の禁止」が定められている場合は営業できません。2018年の民泊新法施行後、多くのマンションで禁止規約が追加されています。区分所有のマンションでは必ず管理規約を確認してください。

郊外・地方での旅館業申請が今、狙い目の理由

2026年現在、東京都心や大阪市内では民泊規制が強化され、稼働日数の制限が厳しくなっています。一方で、郊外・地方エリアでは規制が緩やかで、かつ旅館業許可を取得できる物件も見つけやすい状況です。

🏙 都市部(東京23区等)の状況

上乗せ条例で稼働日数が84日・週末のみ等に制限されるエリアが拡大。特区民泊は大阪で新規終了。都市部での民泊新法の収益性は悪化傾向。

🌿 郊外・地方の状況

インバウンドの「ゴールデンルートを外れたい」需要が増加中。古民家・訳あり物件を安価に取得し、旅館業許可を取得することで高稼働・高単価運営が可能。

東武東上線・中央本線・東海道本線沿線などの郊外エリアは、都心へのアクセスが保たれながら訪日外国人向けの観光コンテンツも豊富です。訳あり物件を安く取得し、旅館業許可を取得して一棟貸し民泊として運営するモデルは、都市部の規制強化が進むほど相対的な優位性が高まっています。

📋 この記事のまとめ

  • 旅館業(簡易宿所)は民泊新法と違い、年間365日の運営が可能。稼働率最大化と収益物件としての売却価値向上の両方に有利
  • 許可要件は「構造設備基準(床面積・採光・洗面・便所・消防設備等)」「消防法・建築基準法への適合」「欠格事由なし」の3つ
  • 申請前の最重要ステップは「用途地域の確認」と「保健所への事前相談」。物件取得前に確認することでリスクを最小化できる
  • 申請手続きを内製化すれば、行政書士に依頼する場合と比べて20〜40万円のコスト削減が可能
  • 消防設備の対応は時間がかかるため、保健所相談と並行して早めに消防署へ相談を始めることが重要
  • 都市部の規制強化が進む2026年現在、郊外・地方での旅館業許可取得が収益化の観点から有利になっている

まとめ——旅館業許可取得の第一歩を踏み出すために

旅館業(簡易宿所)の許可申請は、手順を正しく理解すれば自分でも進められます。最初の一歩は「物件の用途地域を確認すること」と「管轄保健所に事前相談の予約を入れること」——この2つだけです。

「申請できるか不安」「どの物件が旅館業に向いているかわからない」「申請と並行して収益設計を相談したい」——そんな方は、ぜひLINEからお気軽にご連絡ください。物件の状況に応じた具体的なアドバイスをご提供します。

💬 旅館業申請・民泊開業について無料相談受付中
物件の可能性、申請手続きの流れ、収益試算まで丁寧にお答えします。秘密厳守でお答えします。

▶ LINEで無料相談する(費用一切なし)

物件オーナー・投資家・これから開業を検討している方もお気軽にどうぞ。