民泊の収益シミュレーション完全版|稼働率40〜100%別・物件タイプ別の収支を徹底解説

「民泊って実際いくら稼げるの?」「稼働率が低かったら赤字にならない?」

これから民泊を始めようとしている方の多くが、まず気になるのが収益の現実です。ネットには「月収100万円!」という記事もあれば、「思ったより稼げなかった」という声もあり、何が正しいのか判断しにくい状況です。

この記事では、民泊・旅館業の収益を決める3つの要素(宿泊単価・稼働率・コスト)を正確に理解した上で、物件タイプ別・稼働率別の収支シミュレーションを数字で徹底解説します。「儲かる物件の条件」も具体的にお伝えしますので、物件選びの参考にしてください。

民泊の収益を決める「3つの数字」

民泊・旅館業の収益は、シンプルな計算式で表せます。

📐 収益の基本式:
月間収入 = 宿泊単価(1泊あたり) × 稼働日数(月間)
月間粗利 = 月間収入 - 月間運営コスト
年間粗利 = 月間粗利 × 12

この式の中で、収益を左右する3つの変数を深く理解することが、儲かる民泊経営の第一歩です。

変数① 宿泊単価——物件タイプと立地で大きく変わる

宿泊単価は、物件タイプ・立地・ターゲット客層によって大きく変わります。観光庁の調査データと業界実態を踏まえた単価の目安は以下の通りです。

物件タイプ 客層 単価目安(1泊) 特徴
都市部マンション1室(民泊新法) 個人旅行者・カップル 8,000〜15,000円 稼働率は上がりやすいが価格競争に陥りやすい。競合が多い
郊外・地方の戸建て一棟貸し(民泊新法) ファミリー・グループ(4〜6名) 20,000〜50,000円 広さの差別化が効く。稼働率は都市部より低めだが高単価で補う
古民家・歴史的建物の一棟貸し(旅館業) インバウンド・特別体験を求める層 40,000〜120,000円 「ここでしか体験できない」希少性が高単価を実現。稼働率も安定しやすい
リゾート地・観光地近くの一棟貸し(旅館業) 富裕層・長期滞在インバウンド 50,000〜150,000円 繁忙期の単価設定に上限がなく、ハイシーズンに一気に稼ぐモデルが成立

重要なのは、「広さ」と「希少性」が単価の天井を決めるという点です。都市型の1室民泊は競合が多く単価を上げにくい一方、一棟貸し・古民家は「5名が同じ空間に宿泊できる」という体験的価値で、ホテルの複数室を予約するよりも割安に見せながら高収益を確保できます。

変数② 稼働率——月平均はどれくらいか

業界データによると、2024〜2025年の民泊の平均稼働率は43〜45%程度とされています。これは月間30日のうち約13〜14日稼働している計算です。ただしこれは全国平均であり、物件の立地・タイプ・運営クオリティによって大きな差があります。

43%
2025年の民泊平均稼働率(業界推計)
40%
損益分岐点の目安(訳あり物件・低コスト取得の場合)
57%
180日規制物件の上限稼働率(年間換算)

民泊新法(180日規制)の物件は、物理的に年間稼働率が最大57%(180日÷365日)に制限されます。この制約を超えるには、旅館業許可の取得か、残り185日をマンスリーマンション・長期滞在で埋めるハイブリッド運用が必要です。

変数③ 運営コスト——削れる費用と削れない費用を把握する

収益を最大化するには、コストの構造を正確に把握することが不可欠です。主な運営コストは以下の通りです。

コスト項目 目安(月額) 内製化による削減可能性
清掃・リネン費 4〜12万円(チェンジ回数×1〜2万円) ◎ 自社スタッフで対応すれば半額以下に削減可能
水道光熱費 3〜8万円 △ 節電・節水は可能だが一定額は固定費として発生
OTA手数料(Airbnb等) 宿泊収入の12〜20% ○ 自社サイト・直接予約を増やすことで削減可能
保守管理・設備修繕費 3〜7万円 △ 定期点検で大規模修繕を防ぐことはできる
損害保険料 5,000〜2万円 × 必須費用。省くと大きなリスク
消耗品・アメニティ補充 1〜3万円 ○ 一括購入・仕入れルート確保で削減可能
鍵管理・システム費 0.5〜2万円 ○ スマートロック導入で無人化→人件費ゼロに

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物件タイプ別・稼働率別 収支シミュレーション

モデル①:郊外一棟貸し(民泊新法)×インバウンドファミリー向け

📋 物件概要:東武東上線沿線の戸建て4LDK(訳あり物件・低コスト取得)

設定単価:1泊4万円(ハイシーズンは6〜8万円)

月間稼働パターン:民泊15日 + マンスリー15日のハイブリッド運用

収支項目 金額 計算根拠
【収入】
民泊収入(月15日) + 60万円 4万円 × 15日。5名以上グループ向け。ハイシーズンは6〜8万円設定
マンスリー収入(月15日) + 15万円 1万円/泊換算 × 15日。移住体験・リモートワーク需要
月間総収入 75万円
【支出】
清掃・リネン費(内製化) ▲ 8万円 1回2万円 × 月4回。自社清掃スタッフで対応
水道光熱費 ▲ 5万円 季節変動あり
OTA手数料 ▲ 9万円 民泊収入60万円の15%
保守管理費 ▲ 5万円 設備点検・消耗品等
月間総支出 ▲ 27万円
【粗利】
月間粗利 48万円 75万円 − 27万円
年間粗利 576万円 48万円 × 12ヶ月

モデル②:古民家一棟貸し(旅館業許可取得)× 稼働率別シミュレーション

📋 物件概要:中央本線沿線の古民家(旅館業許可取得・365日運営可能)

設定単価:1泊5万円(平均。ハイシーズンは8〜12万円)

月間想定支出:約30万円(清掃・光熱費・手数料・管理費)

稼働率 月間稼働日数 月間売上 月間粗利 年間粗利
40% 約12日 60万円 30万円 360万円
50% 約15日 75万円 45万円 540万円
60% 約18日 90万円 60万円 720万円
70% 約21日 105万円 75万円 900万円
80% 約24日 120万円 90万円 1,080万円
100%(満稼働) 約30日 150万円 120万円 1,440万円

💡 ハイシーズン効果:3〜5月(桜・GW)・7〜8月(夏休み)・12月(年末)は単価を1.5〜2倍に引き上げられます。年間平均単価が7〜8万円で稼働率60〜70%を維持できれば、年間粗利1,000万円超も現実的な目標になります。

モデル③:5棟同時運営のスケールメリット

1棟での運営コストの大部分(清掃スタッフの固定費・管理システム費等)は、2棟・5棟と増やしても比例的には増加しません。規模が拡大するほど1棟あたりのコストが下がり、収益率が向上します。

運営棟数 年間粗利(1棟576万円ベース) 内製化コスト削減効果(想定) 実質年間粗利
1棟 576万円 0円(基準) 576万円
3棟 1,728万円 +100万円(清掃効率化) 1,828万円
5棟 2,880万円 +300万円(スタッフ最適化・仕入れ一括) 3,180万円
10棟 5,760万円 +800万円(管理システム・ブランド力) 6,560万円

損益分岐点——何%稼働すれば赤字にならないか

「稼働率が低い月でも赤字にならない」ことが、長期的な民泊経営の安定につながります。損益分岐点の考え方を正確に理解しておきましょう。

📊 損益分岐点の計算:
損益分岐点稼働率 = 月間固定費 ÷ 1泊あたり収入(手数料差引後)
例)月間固定費27万円 ÷ 1泊あたり手取り3.4万円(4万円×85%)= 約8日(稼働率27%)
月に8日以上稼働すれば赤字にならない計算

訳あり物件・古民家など「仕入れコストの安い物件」の最大の強みは、この損益分岐点の低さにあります。市場価格で取得した物件では稼働率50〜60%が必要なケースが多いのに対し、割安に取得した訳あり物件では稼働率30〜40%程度でも赤字にならない収益構造を作れます。

季節・時期別の価格設定——レベニューマネジメントで収益を最大化

同じ物件でも、時期によって単価を柔軟に変えることで年間収益を大幅に改善できます。

🌸 3〜5月(桜・GW)
6〜12万円/泊
最高繁忙期。早期満室を狙って早め設定
☀ 7〜8月(夏休み)
5〜8万円/泊
欧米ファミリーの長期滞在需要。1週間以上の連泊が多い
🍁 10〜11月(紅葉)
4〜7万円/泊
中〜高需要。安定した稼働が見込める中間シーズン
🎄 12月(年末)
4〜6万円/泊
欧米旅行者の年末年始需要。ホテル逼迫で割高でも予約が入る
❄ 1〜2月(閑散期)
マンスリーへ切替
民泊単価を下げるより、マンスリーで固定費をカバーする戦略
☔ 6月(梅雨)
マンスリーへ切替
稼働が読みにくい時期。リモートワーカー向けに安定収入を確保

ハイシーズンに高単価で稼ぎ、閑散期はマンスリーで赤字を出さない——この「攻守切り替え」が、年間を通じた収益安定の鍵です。旅館業許可を取得した物件は180日規制がないため、この戦略をフルに活用できます。

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儲かる物件の5つの条件

収益性の高い民泊物件には、共通する条件があります。物件選びの際のチェックリストとして活用してください。

  • 3LDK以上の広さがある:5名以上のグループが一棟に泊まれる広さが最大の差別化要素。都市型ホテルには絶対に提供できない「家族全員が同じ空間で過ごせる」体験が実現できる
  • 日本らしさを感じられる建物:縁側・土間・囲炉裏・和室・古民家的な外観など、インバウンドが「authentic Japan」を感じられる要素があると高単価が維持しやすい
  • 都心へのアクセスが保たれている(電車で2時間以内):東武東上線・中央本線・東海道本線・京成本線沿線など。観光コンテンツとの組み合わせができる立地
  • 仕入れコストが低い(訳あり物件・瑕疵物件):市場価格の50〜70%で取得できる物件は損益分岐点が下がり、稼働率が低い月でも赤字になりにくい。これが最も重要な条件
  • 旅館業許可が取れる(または取れる見込みがある):用途地域・建物構造・消防設備の観点から旅館業許可が取得できる物件は、180日規制なしで運営できるため収益ポテンシャルが格段に高い

避けるべき物件の特徴:第一種・第二種低層住居専用地域(旅館業不可)、マンション管理規約で民泊禁止の物件、消防設備の改修に数百万円かかる物件、エリアの稼働率データが著しく低い物件(競合民泊のレビュー件数・評価で確認できる)

運営代行に頼ると収益はどう変わるか

「全部任せたい」という理由で運営代行を利用する方は多いですが、代行費用が収益に与える影響を事前に理解しておくことが重要です。

🏢 運営代行に全面委託した場合

代行手数料は売上の20〜30%が相場。月間収入75万円の場合、代行費だけで15〜22万円。清掃・OTA手数料も別途かかれば、粗利が大幅に圧縮される。稼働率が40〜50%程度では赤字になる可能性もある。

🔧 主要業務を内製化した場合

清掃・行政手続き・カスタマーサポートを自社で担うことで、代行費15〜22万円を削減。年間で180〜264万円のコスト削減が1棟あたりで実現できる。3〜5棟の規模になると、スタッフを雇用して内製化する方が有利になる。

業界では「民泊を運営代行に完全に丸投げしていると、儲からない民泊になりやすい」と言われています。全部委託する場合でも、OTA手数料・清掃費・代行手数料の3つのコスト構造を把握した上で収支を試算することが大切です。

📋 この記事のまとめ

  • 民泊収益を決める3変数は「宿泊単価」「稼働率」「コスト」。単価と稼働率を上げながらコストを下げる構造を作ることが基本
  • 郊外一棟貸し(民泊新法×マンスリーハイブリッド)の試算では月間粗利48万円・年間576万円が目安
  • 旅館業許可取得の古民家では、稼働率60〜70%・単価5〜8万円で年間粗利720〜900万円が視野に入る
  • 訳あり物件・低コスト取得の最大のメリットは損益分岐点の低さ。稼働率30〜40%でも赤字にならない構造が作れる
  • 儲かる物件の最重要条件は「広さ(3LDK以上)」「日本らしさ」「都心アクセス」「低コスト取得」「旅館業許可取得可能」の5つ
  • 5棟規模になると内製化のスケールメリットが生まれ、実質年間粗利3,000万円超の試算も現実的になる

まとめ——数字で考えてから動く、それが成功する民泊経営の第一歩

「とりあえず始めてみる」では、思ったより稼げなかったという結果になりがちです。物件取得前に収益シミュレーションを行い、「この物件で損益分岐点を下回るリスクはどれくらいか」を把握した上で動くことが、長期的に儲かる民泊経営の基本です。

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