いじめの加害者の親から謝罪・誓約書を求めたい!書き方・要求の仕方・注意点を解説

はじめに|謝罪だけでは終わらせない。誓約書という選択肢

「いじめの加害者の親から謝罪の言葉はもらったが、また繰り返されるのではないかと不安」「口頭の謝罪だけで終わらせたくない。書面に残してほしい」「誓約書を求めてもいいのか、どう要求すればいいのかわからない」——そんな思いを抱えている保護者の方は多いのではないでしょうか。

いじめの被害を受けた側の保護者が、加害者の親に対して謝罪と誓約書の作成・署名を求めることは、法的に認められた正当な要求です。誓約書があることで、再発防止の抑止力になり、万が一再発した場合の証拠にもなります。

この記事では、誓約書とは何か・要求の仕方・誓約書の書き方と文例・法的効力・注意点まで、保護者が知っておくべきことをすべて解説します。

誓約書と謝罪書の違いを理解しよう

「謝罪書」と「誓約書」は別のものです。求める目的によって使い分けることが重要です。

謝罪書とは

謝罪書は、過去に行った行為について謝罪の意を表明する文書です。「〇〇という行為を行ったことを認め、深く謝罪します」という内容が中心になります。謝罪の事実を文書として残すことができますが、今後の行動を約束する要素はありません

誓約書とは

誓約書は、今後の行動について約束を記した文書です。「今後は〇〇の行為を一切行わないことを誓います」という内容が中心になります。再発防止の約束を文書として残すことができ、将来に向けた抑止力・証拠として機能します

最も効果的な組み合わせ

いじめのケースでは、謝罪書と誓約書を一つの文書にまとめた「謝罪兼誓約書」を求めることが最も効果的です。過去の行為への謝罪と今後の行動への約束が一つの文書に含まれることで、より強い証拠力を持ちます。

文書の種類内容効果
謝罪書過去の行為への謝罪事実認定・謝罪の記録
誓約書今後の行動の約束再発防止の抑止力・再発時の証拠
謝罪兼誓約書(推奨)謝罪+今後の約束上記両方の効果

誓約書の法的効力について

誓約書を求める前に、その法的効力を正確に理解しておきましょう。

誓約書で約束できること

  • いじめ行為を繰り返さないことの約束:再発した場合の証拠になります。
  • 謝罪の事実の確認:「謝罪を受けた」という事実を文書として残せます。
  • 損害賠償の支払い合意:発生した損害(治療費・物的被害など)の支払いを約束してもらえます。
  • 連絡・接触禁止の約束:加害者が被害者に近づかない・連絡しないことを約束してもらえます。

誓約書の限界

  • 強制力はない:誓約書は民事上の合意文書であり、約束を破っても刑事罰が科されるわけではありません。再発した場合は損害賠償請求の根拠になりますが、即座の強制力はありません。
  • 未成年者の署名の効力:加害者が未成年の場合、加害者本人の署名だけでは法的効力が不完全です。保護者(親権者)が署名・捺印することが重要です。
  • 公正証書にすると強制力が高まる:誓約書の内容(特に金銭の支払い)を公正証書にすると、支払いがない場合に強制執行が可能になります。

誓約書を求める前の準備

誓約書を求めるタイミング

誓約書の要求は、いじめの事実が学校・相手の親に認められた後に行うのが適切です。事実関係が争われている段階では、相手が署名を拒否する可能性が高く、かえって関係が悪化することがあります。まず学校・教育委員会を通じていじめの事実を認めさせてから、誓約書の要求に進みましょう。

学校を通じて求める方法

直接加害者の親と交渉することは、感情的なトラブルに発展するリスクがあります。学校・担任・スクールカウンセラーなどを通じて、誓約書の作成・提出を求める方が円滑に進む場合があります。学校に「誓約書の提出を加害者側に求めてください」と書面で依頼しましょう。

弁護士への相談を検討する

損害賠償の合意を含む誓約書・高額な損害が発生している場合・加害者側が弁護士を立てている場合は、こちらも弁護士に相談することをおすすめします。弁護士を通じた交渉・誓約書の作成により、法的に有効な文書を確実に作成できます。

誓約書の書き方|含めるべき項目

誓約書に含めるべき主な項目を解説します。状況に応じて必要な項目を選択してください。

必ず含める項目

  • タイトル:「誓約書」または「謝罪兼誓約書」
  • 誓約者(加害者・保護者)の氏名・住所
  • 宛先(被害者・保護者)の氏名
  • いじめ行為の具体的な内容:いつ・誰が・誰に・何をしたかを明記する
  • 謝罪の意思表明:行為を認め、深く謝罪する旨
  • 再発防止の誓い:今後一切同様の行為を行わないことの約束
  • 日付
  • 署名・捺印:加害者本人と保護者(親権者)両方の署名・捺印

状況に応じて追加する項目

  • 接触・連絡禁止:被害者に対して一切の接触・連絡をしないことの約束
  • SNS・インターネット上での誹謗中傷禁止:デジタルいじめがあった場合
  • 損害賠償の支払い合意:治療費・物的被害の修理費などの支払い
  • 違反した場合の措置:再発した場合の対応(損害賠償請求・刑事告訴など)
  • 学校生活上の約束:同じクラス・部活などで顔を合わせる場合の行動規範

【コピペOK】誓約書の文例3選

状況に合わせた文例を3パターン用意しました。【 】の部分を実際の情報に書き換えてください。

文例①【基本】謝罪兼誓約書(標準版)

いじめの事実を認め、謝罪と再発防止を約束する最も基本的な文例です。

謝 罪 兼 誓 約 書

【被害者の氏名】様
【被害者の保護者の氏名】様

 私(私どもの子)【加害者の氏名】は、【期間:例「令和〇年〇月頃から令和〇年〇月頃にかけて」】の間、貴殿(貴殿のお子様)【被害者の氏名】に対し、以下の行為を行いました。

【いじめ行為の内容】
・【具体的な行為1:例「暴言・侮辱的な発言を繰り返した」】
・【具体的な行為2:例「持ち物を隠・破損した」】
・【具体的な行為3:例「仲間外れにするよう周囲に働きかけた」】

 上記の行為により、【被害者の氏名】様に多大なご迷惑とご苦痛をおかけしたことを、深く認識し、心よりお詫び申し上げます。

 私(私ども)は以下のことを誓約します。

一、今後、【被害者の氏名】様に対し上記のような行為を一切行わないこと
一、【被害者の氏名】様およびそのご家族に対し、直接・間接を問わず一切の接触・連絡を行わないこと
一、第三者に対して【被害者の氏名】様の誹謗中傷となる言動を行わないこと

 本誓約に違反した場合は、損害賠償請求を含む法的手続きに異議を申し立てません。

【年 月 日】

誓約者(加害者)
住所:【加害者の住所】
氏名:【加害者の氏名】   印

保護者(親権者)
住所:【保護者の住所】
氏名:【保護者の氏名】   印

文例②【損害賠償あり】治療費・物的損害の賠償を含む誓約書

身体的被害・物的損害が発生しており、治療費や修理費の支払いも求める場合の文例です。

謝 罪 兼 誓 約 書

【被害者の保護者の氏名】様

 私どもの子【加害者の氏名】が、【被害者の氏名】様に対して行った下記の行為について、深くお詫び申し上げます。

【行為の内容】
【具体的ないじめ行為を記載】

 上記行為により生じた以下の損害について、私どもが責任をもって賠償いたします。

【損害の内訳】
・【内容1:例「治療費」】
  金【    】円
・【内容2:例「文房具・鞄の修理費」 】
  金【    】円
 合計 金【       】円

 上記金額を【年月日】までに下記口座へお振り込みいたします。
 振込先:【口座情報】

 また、私どもの子は以下を誓約します。
一、【被害者の氏名】様へのいかなる嫌がらせ行為も行わないこと
一、【被害者の氏名】様への接触・連絡を一切行わないこと

 本誓約に違反した場合の法的措置には一切異議を申し立てません。

【年 月 日】

誓約者(加害者)
住所:【住所】
氏名:【加害者の氏名】   印

保護者(親権者)
住所:【住所】
氏名:【保護者の氏名】   印

文例③【SNS・ネットいじめ】デジタルいじめへの謝罪と誓約書

LINE・SNS・オンラインゲームなどを通じたデジタルいじめに特化した文例です。

謝 罪 兼 誓 約 書

【被害者の氏名】様
【被害者の保護者の氏名】様

 私(私どもの子)【加害者の氏名】は、【期間】にわたり、以下のインターネット・SNS上の行為により【被害者の氏名】様に深刻なご迷惑とご苦痛をおかけしました。

【行為の内容】
・【内容1:例「LINEグループで侮辱的な発言を繰り返した」】
・【内容2:例「SNSに【被害者の氏名】様の個人情報・写真を無断で投稿した」】
・【内容3:例「グループチャットから意図的に除外し続けた」】

 上記行為について深くお詫び申し上げます。

 私(私ども)は以下を誓約します。
一、インターネット・SNS上において【被害者の氏名】様に関する投稿・発言・拡散を一切行わないこと
一、【被害者の氏名】様のアカウントへのアクセス・連絡を一切行わないこと
一、投稿済みの【被害者の氏名】様に関する投稿を【期日】までにすべて削除すること
一、第三者に対して【被害者の氏名】様の誹謗中傷を促す行為を行わないこと

 本誓約に違反した場合の法的措置には一切異議を申し立てません。

【年 月 日】

誓約者(加害者)
住所:【住所】
氏名:【加害者の氏名】   印

保護者(親権者)
住所:【住所】
氏名:【保護者の氏名】   印

誓約書を求める際の重要ポイント

① いじめの内容は具体的に記載する

「いじめをした」という曖昧な記載ではなく、具体的な行為(いつ・何をしたか)を記載することが重要です。具体的な記載があることで、文書の証拠力が高まり、再発時の判断基準にもなります。

② 保護者(親権者)の署名・捺印を必ず求める

加害者が未成年の場合、本人の署名だけでは法的効力が不完全です。必ず親権者(保護者)の署名・捺印も求めてください。保護者が署名することで、監督義務者としての責任も明確になります。

③ 学校への写しの提出を求める

誓約書を学校にも提出・保管してもらうことで、学校も再発防止の当事者として関与することになります。「学校にも写しを提出してください」と求めましょう。

④ 自分たちの署名は最後に行う

誓約書は加害者側が誓約する文書です。被害者側(あなた)の署名欄は不要です。被害者側が署名することで、「合意した」という誤解が生じたり、不利な条件を受け入れたとみなされるリスクがあります。署名は加害者・保護者のみとしてください。

⑤ 原本は必ず手元に保管する

署名済みの誓約書の原本は必ず手元に保管してください。学校や加害者側への提出用は写し(コピー)にしましょう。原本は今後の証拠として最も重要な書類です。

【潜在ニーズに応える】相手が誓約書への署名を拒否した場合

加害者側が誓約書への署名を拒否した場合でも、諦める必要はありません。以下の対応を検討してください。

署名拒否への対処法

  • 学校・教育委員会に署名を求めるよう圧力をかけてもらう:「加害者側が誓約書への署名を拒否している」という事実を学校・教育委員会に伝え、働きかけを依頼します。
  • 子どもの人権110番(法務局)への申告:署名拒否の事実も含めて申告することで、法務局から加害者側への働きかけが行われる場合があります。
  • 弁護士を通じた交渉:弁護士から加害者側に連絡・交渉してもらうことで、署名に応じるケースがあります。
  • 内容証明郵便での通知:誓約書への署名を正式に求める内容証明郵便を送ることで、法的な圧力をかけられます。
  • 署名拒否自体を証拠にする:署名を拒否した事実は、その後の調停・訴訟において加害者側の誠意のなさを示す証拠になります。

誓約書なしで進める法的手段

署名が得られない場合でも、以下の法的手段は誓約書なしで進めることができます。

  • 損害賠償請求訴訟:いじめによる身体的・精神的被害の賠償を加害者・保護者に請求できます(民法709条・714条)。
  • 学校・教育委員会への国家賠償請求:公立学校の不適切な対応に対して請求できます(国家賠償法)。
  • 刑事告訴:暴行・傷害・恐喝・名誉毀損などが含まれる場合は警察への被害届・告訴が可能です。

よくある質問(FAQ)

Q. 誓約書に法的強制力はありますか?

A. 誓約書は民事上の合意文書であり、約束を破っても直ちに刑事罰が科されるわけではありません。しかし、誓約書が存在することで再発した際の損害賠償請求の根拠になり、加害者側への心理的抑止力にもなります。金銭の支払いを含む内容は公正証書にすることで強制執行が可能になります。

Q. 加害者の子どもは小学生です。保護者だけの署名でいいですか?

A. 未成年者(特に小学生)の場合は、保護者(親権者)の署名・捺印が中心になります。子ども本人の署名も求めることは可能ですが、法的効力の観点からは保護者の署名が最も重要です。両方の署名があることが理想です。

Q. 誓約書を公証役場で公正証書にする必要はありますか?

A. 必須ではありませんが、損害賠償の支払いを含む内容は公正証書にすることで支払いがない場合の強制執行が可能になります。再発防止の誓約だけであれば、通常の誓約書でも十分な効果があります。高額な賠償が含まれる場合は弁護士に相談の上で公正証書化を検討してください。

Q. 誓約書を要求することで、加害者側との関係がさらに悪化しませんか?

A. その可能性はあります。しかし、口頭の謝罪だけで終わらせると再発のリスクが残ります。誓約書の要求は、子どもを守るための正当な権利の行使です。学校・第三者を通じて求めることで、直接対立を避けながら誓約書を得られる場合があります。

Q. 加害者側が誓約書に「自分たちは悪くない」という文言を入れようとしています。

A. 「自分たちに責任がない」「いじめではない」などの文言を含む誓約書には絶対に署名しないでください。そのような文言があると、加害者側の主張を認めたとみなされ、後の法的手続きで不利になります。内容に納得できない場合は署名を拒否し、弁護士に相談してください。

まとめ|誓約書は子どもを守るための正当な権利。確実に書面で残そう

いじめの加害者親への謝罪・誓約書の要求について振り返ります。

  • 謝罪書(過去の謝罪)と誓約書(今後の約束)を一つにまとめた「謝罪兼誓約書」が最も効果的
  • 誓約書は再発防止の抑止力・再発時の損害賠償請求の根拠になる。法的強制力は限定的だが重要な証拠文書
  • 未成年の加害者には本人と保護者(親権者)両方の署名・捺印を必ず求める
  • 誓約書にはいじめ行為の具体的な内容・謝罪の意思・再発防止の約束・接触禁止を明記する
  • 被害者側(自分)の署名は不要。署名すると合意したとみなされるリスクがある
  • 署名を拒否された場合は学校・法務局・弁護士を通じた交渉・内容証明郵便で対処する
  • 加害者側が不利な文言を入れようとした場合は絶対に署名しない。弁護士に相談する

子どもを守るために誓約書を求めることは、正当な権利の行使です。口頭の謝罪だけで終わらせず、書面として残すことで再発防止の実効性を高めましょう。一人で抱え込まず、学校・弁護士・法テラス(0570-078374)などの専門家・機関を積極的に活用してください。

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