Googleの口コミで訴えられたらどうなる?名誉毀損の事例・慰謝料相場・内容証明への対応まで行政書士が解説

「Googleの口コミを書いたら、店舗側から内容証明郵便が届いてしまった」「Googleから発信者情報を開示したという通知が来て、頭が真っ白になっている」——このような状況で、この記事にたどり着いた方も多いのではないでしょうか。結論からお伝えすると、訴えられたとしても、初動を誤らず冷静に対応すれば、刑事罰や高額賠償を回避できる可能性は十分にあります。本記事では、行政書士として日々書面業務に携わる立場から、訴えられた際の正しい対処法と、書面によるトラブル回避の実務をわかりやすく解説します。

① Google口コミで訴えられたら何が起こるのか

「訴えられた」と一口に言っても、ある日いきなり裁判所から訴状が届くケースは実は稀です。多くの場合、投稿から半年〜1年以上かけて、段階的に手続きが進行していきます。

発信者情報開示で身元が特定される仕組み

匿名で投稿したつもりでも、被害者側が法的手続きを踏めば投稿者は特定されます。流れは以下の通りです。

  • 被害者側が東京地方裁判所にGoogle LLC(米国法人)への発信者情報開示の仮処分を申し立てる
  • 裁判所の命令によりGoogleから投稿者のIPアドレスが開示される
  • IPアドレスからプロバイダを特定し、契約者情報の開示請求を行う
  • プロバイダから契約者(あなた)に「意見照会書」が届く

つまり、最初に手元へ届くのは訴状ではなく「意見照会書」であるケースが大半です。この段階での書面対応が、その後の流れを大きく左右します。

投稿者に届く3つの書面の意味

書面の種類 差出人 意味と緊急度
意見照会書 プロバイダ 情報開示への同意可否を問う。2週間程度で回答が必要
内容証明郵便 被害者側の弁護士 削除・謝罪・損害賠償の要求。交渉開始の合図
訴状 裁判所 民事訴訟の正式な開始。答弁書提出期限を厳守

② Google口コミで問われる可能性のある3つの罪

名誉毀損罪(刑法230条)

最も多いのが名誉毀損罪です。法定刑は3年以下の懲役・禁錮または50万円以下の罰金と定められています。成立要件は、①公然性、②事実の摘示、③社会的評価の低下、の3つです。Googleの口コミは誰でも閲覧できる場であるため、①の公然性は自動的に満たされてしまう点に注意が必要です。

侮辱罪(刑法231条)

2022年の法改正で厳罰化され、1年以下の懲役・禁錮または30万円以下の罰金となりました。「バカ」「無能」など事実に基づかない人格攻撃が該当します。

信用毀損罪・業務妨害罪(刑法233条)

虚偽の事実を流布して店舗の信用や営業を妨害した場合に成立し、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。「料理に虫が入っていた(虚偽)」などが典型例です。

加えて、民事上の損害賠償も別途発生します。慰謝料相場は個人で10〜50万円、法人で50〜100万円程度ですが、これに弁護士費用・調査費用が上乗せされるケースが一般的です。

③ 訴えられる口コミとセーフな口コミの境界線

訴えられる可能性が高いNG口コミ

  • 「料理に虫が入っていた」「不衛生な厨房だった」(虚偽の場合)
  • 「あの医師はヤブ医者だ」「医療ミスを隠している」
  • 「経営者に逮捕歴がある」「ブラック企業で違法労働をさせている」
  • 店員の実名を出した攻撃的なクレーム

セーフになりやすい口コミの特徴

  • ★1の評価のみで具体的な文章を書かない
  • 「私の好みではなかった」など主観的な感想にとどめる
  • 他の客や店員が写り込んだ写真を投稿しない

「本当のことを書いただけ」は通用するのか

名誉毀損には「違法性阻却事由」という例外規定があります。①公共の利害に関する事実であること、②公益目的であること、③真実であること(または真実と信じる相当の理由があること)、この3つを満たせば違法にはなりません。ただし、一般的な店舗レビューでこれらの要件を満たすのは容易ではなく、「事実だから問題ない」という自己判断は危険です。

④ 訴えられたときに絶対やってはいけない4つのNG行動

  1. 書面を無視する:訴状を無視すると欠席判決で全面敗訴となり、相手の請求額がそのまま認められます
  2. 感情的に反論メールを送る:文面が証拠として裁判で使われ、不利になります
  3. 相手の店舗に直接謝罪に行く:録音・録画され、不利な発言を引き出される恐れがあります
  4. 慌てて口コミを削除する:投稿事実はスクリーンショットで保存済みであり、責任は消えません。むしろ「証拠隠滅」と評価される可能性もあります

⑤ 訴えられた後に取るべき5つのステップ

STEP1 書面の種類と回答期限を確認する

意見照会書なら通常2週間、訴状なら答弁書の提出期限が明記されています。まずは期限を正確に把握しましょう。

STEP2 投稿内容と根拠資料を整理する

投稿日時、口コミ本文、根拠となる事実(レシート、写真、診察券など)を時系列でまとめておくと、後の対応がスムーズになります。

STEP3 内容証明郵便で冷静に意思表示する

ここが行政書士の専門領域です。被害者側からの内容証明に対し、感情的に反論するのでも、相手の要求を全面的に呑むのでもなく、「法的論点を整理した上で、訴訟ではなく協議による解決を希望する」旨を書面で明確に伝えることが重要です。書面の体裁・文言・送付方法ひとつで、相手の態度が硬化することも軟化することもあります。

STEP4 示談交渉で円満解決を目指す

刑事告訴される前に示談が成立すれば、前科を回避できる可能性が高まります。示談金は10〜100万円程度が一般的で、分割払いの交渉余地もあります。

STEP5 民事訴訟になった場合の対応

答弁書の提出、口頭弁論、和解勧告という流れで進行します。多くのケースでは判決まで行かず、途中で和解が成立します。

⑥ 行政書士に書面作成を依頼するメリット

「いきなり弁護士は敷居が高い」「費用が心配」という方も多いと思います。訴訟代理は弁護士の独占業務ですが、訴訟に発展する前の書面段階であれば、行政書士が以下のサポートを行えます。

  • 被害者側からの内容証明郵便に対する回答書面の作成
  • 事実関係を整理した陳述書・事情説明書の作成
  • 違法性阻却事由を主張する論理構成のサポート
  • 協議による解決を促す文書の作成と送付

感情的な反論ではなく、法的論点を踏まえた冷静な書面で意思表示することにより、訴訟への発展を回避し、和解交渉のテーブルにつかせる効果が期待できます。費用も弁護士に比べて抑えられるため、早期段階でのご相談をおすすめします。なお、相手方が既に訴訟を提起している場合や、刑事告訴された場合は、速やかに弁護士をご紹介いたします。

⑦ もう二度と訴えられないための口コミ投稿ルール

  • 事実と意見を明確に区別して書く
  • 店員の実名や個人を特定できる情報は記載しない
  • 写真投稿時は他の客やプライバシー情報の写り込みを確認する
  • 怒りに任せて投稿せず、24時間置いてから見直す

まとめ|冷静な初動対応が結果を大きく変えます

Google口コミで訴えられたとしても、無視せず、感情的にならず、適切な書面で対応すれば、訴訟や前科を回避できる道は残されています。最も避けるべきは「自己判断で動いてしまうこと」です。意見照会書や内容証明郵便が届いた段階で、まずは書面のプロにご相談ください。

当事務所では、Google口コミトラブルに関する内容証明郵便への回答書作成、事実関係を整理した陳述書の作成、協議解決を促す書面の送付などを承っております。「どう返事を書けばいいかわからない」「期限が迫っていて不安」という方は、お一人で抱え込まず、お早めにお問い合わせフォームよりご連絡ください。初回のご相談で、現状の整理と今後の対応方針を明確にいたします。