接近禁止の警告書を個人で作成したい!書き方・文例・法的効力・送り方を徹底解説
はじめに|接近禁止の警告書は個人でも作れる
「元交際相手が自宅や職場に何度も来る」「近所の人から執拗につきまとわれている」「知人からの連絡・接触が止まらず、精神的に追い詰められている」——こうした状況で、相手に正式な形で「これ以上近づかないでほしい」という意思を伝えたい方は多いでしょう。
接近禁止の警告書は、弁護士に依頼しなくても個人で作成・送付することができます。内容証明郵便で送ることで、「いつ・誰が・誰に・どのような警告を行ったか」が公的に記録され、その後の法的手続き(ストーカー規制法の申請・接近禁止の仮処分・損害賠償請求など)においても重要な証拠になります。
この記事では、接近禁止警告書の法的効力・書き方・書式ルール・コピペで使える文例・送り方・送付後の対処法まで、個人で作成するために必要なことをすべて解説します。
接近禁止の警告書とはどういうものか
警告書の性質と目的
接近禁止の警告書とは、相手に対して「これ以上の接触・接近を行わないよう求める」という意思を正式に通知する文書です。内容証明郵便として送ることで、以下の目的を達成できます。
- 相手への心理的抑止力:「本気で法的措置を検討している」という意思を示すことで、相手の行動を抑止します。
- 接触拒否の意思表示の記録:「警告を受けた」という事実が記録されることで、その後も接触を続けた場合に「故意」であることの証拠になります。
- 法的手続きの事前準備:ストーカー規制法の申告・仮処分申請・損害賠償請求などを進める際の証拠として機能します。
警告書の法的効力の限界
個人が作成した警告書は、それ自体に強制力はありません。警告書を受け取っても相手が無視した場合、強制的に接近を止めさせることはできません。ただし、以下の点で重要な役割を果たします。
- 警告後も接触が続いた場合、ストーカー規制法・不法行為・脅迫罪等の法的手続きに進む際の証拠になる
- 裁判所への接近禁止仮処分申請の際に「事前に警告を行った」という証拠になる
- 相手が警告を無視したという事実が、悪意・故意の証拠として損害賠償請求で有利に働く
警告書を送る前に確認すること
① 相手の行為がどの法律に該当するか確認する
相手の行為が法律上どのように扱われるかを把握しておくことで、警告書に記載する内容が明確になります。
| 相手の行為 | 該当しうる法律・対処法 |
|---|---|
| つきまとい・待ち伏せ・監視 | ストーカー規制法(警察への申告・禁止命令) |
| 繰り返しの電話・メール・SNS連絡 | ストーカー規制法・不法行為(民法709条) |
| 自宅・職場への押しかけ | ストーカー規制法・住居侵入罪(敷地内に入った場合) |
| 暴言・脅し・精神的苦痛を与える言動 | 脅迫罪・名誉毀損罪・不法行為 |
| 身体的暴力 | 傷害罪・暴行罪・DV防止法 |
| SNS・インターネット上での誹謗中傷 | 名誉毀損罪・侮辱罪・不法行為 |
② 証拠を事前に収集・保存する
警告書を送る前に、相手の行為の証拠を収集・保存しておきましょう。後の法的手続きで必要になります。
- 着信履歴・メッセージ・メールのスクリーンショット
- 自宅・職場付近での目撃情報・防犯カメラの映像
- 被害の日時・状況を記録した日誌
- 精神的被害を受けた場合の医師の診断書
- 目撃者の証言
③ 自分の住所を相手に知られないよう注意する
内容証明郵便には差出人の住所が記載されます。相手に現住所を知られたくない場合は、弁護士・行政書士の事務所住所を差出人住所として使用してもらうことを検討してください。自分の住所で送ると、逆に居場所を教えることになるリスクがあります。
内容証明の書式ルール(基本)
| 項目 | ルール |
|---|---|
| 文字数(横書き) | 1行あたり26文字以内 |
| 行数(横書き) | 1枚あたり26行以内 |
| 作成通数 | 3通(相手用・自分用・郵便局保管用) |
| 訂正方法 | 修正液・修正テープ不可。二重線+訂正印 |
| 送付方法 | 郵便局窓口のみ。配達証明も合わせて依頼を強く推奨 |
【コピペOK】接近禁止警告書の文例4選
状況に合わせた文例を4パターン用意しました。【 】の部分を自分の情報に書き換えてください。すべて横書き1行26文字以内の書式ルールに準拠しています。
文例①【基本】つきまとい・接触への警告書(標準版)
つきまとい・繰り返しの連絡・自宅への押しかけなど、接触全般への警告書の基本文例です。
警 告 書
【相手の住所】
【相手の氏名】殿
私【自分の氏名】は、本書面により 貴殿に対し、以下の行為を直ちに停止 するよう警告します。
【貴殿の行為】
貴殿は【期間:例「令和〇年〇月頃 から現在に至るまで」】にわたり、以 下の行為を繰り返しております。
・【行為1:例「私の自宅前での待ち伏 せ・監視行為」】
・【行為2:例「電話・メール・SNSを 通じた執拗な連絡(【期間】の間に 【回数】回以上)」】
・【行為3:例「私の職場への押しかけ ・待機」】
上記行為は私の平穏な生活を著しく 侵害するものであり、精神的苦痛を与 えております。
本書面到達後、直ちに以下の行為を すべて停止することを求めます。
一、私の自宅・職場・その他私が訪れ る場所への接近・待機・監視
一、電話・メール・SNS・手紙等、あ らゆる手段による連絡
一、私の関係者(家族・友人・同僚等 )への連絡・嫌がらせ
本書面到達後も上記行為が継続した 場合は、ストーカー規制法に基づく申 告・接近禁止の仮処分申請・損害賠償 請求訴訟を含む法的手続きを取ること をここに警告します。
以上
【年 月 日】
【差出人住所(※注意事項参照)】
【自分の氏名】 印
文例②【元交際相手】別れた後のつきまとい・連絡への警告書
別れた後も連絡・接触が続く元交際相手への警告書です。交際終了の意思を明確に示す内容を含みます。
警 告 書
【相手の住所】
【相手の氏名】殿
私【自分の氏名】は、貴殿に対し以 下のとおり警告します。
私と貴殿の交際は【交際終了年月日 】をもって終了しており、私はこれを 明確に貴殿に伝えました。
しかし貴殿はその後も以下の行為を 継続しております。
・【行為1:例「1日に複数回の電話・ メッセージ送信(拒否後も継続)」 】
・【行為2:例「私の自宅周辺での待ち 伏せ(〇月〇日・〇月〇日等)」】 ・【行為3:例「私の友人・職場への連 絡」】
私は貴殿との交際を完全に終了して おり、今後いかなる形での関係の継続 も望みません。本書面到達後、以下の 行為を即時に停止することを求めます 。
一、あらゆる連絡手段による私への連 絡(一切不要)
一、私の生活範囲への接近・監視行為
一、私の関係者への接触・情報収集
本書面到達後も行為が続く場合は、 ストーカー規制法に基づく禁止命令の 申請・損害賠償請求訴訟を提起します 。
以上
【年 月 日】
【差出人住所(※注意事項参照)】
【自分の氏名】 印
文例③【近隣・知人】職場・近所からの嫌がらせへの警告書
近所の住民・職場の同僚など、日常的に顔を合わせる相手からの嫌がらせへの警告書です。
警 告 書
【相手の住所】
【相手の氏名】殿
私【自分の氏名】は、貴殿による以 下の行為について正式に警告します。
【貴殿の行為】
貴殿は【期間】にわたり、以下の行 為を繰り返しております。
・【行為1:例「私の自宅前での大声・ つきまとい行為」】
・【行為2:例「第三者への私に関する 虚偽の情報の流布」】
・【行為3:例「私宛に差出人不明の手 紙・物品を繰り返し送付」】
上記行為は私の平穏な日常生活を侵 害するものです。
本書面到達後、直ちに上記すべての 行為を停止し、今後一切同様の行為を 行わないよう求めます。
上記行為が継続した場合は、不法行 為に基づく損害賠償請求・刑事告訴を 含む法的手続きを取ります。
以上
【年 月 日】
【差出人住所(※注意事項参照)】
【自分の氏名】 印
文例④【DV・家庭内暴力】同居または別居後の接触禁止警告書
配偶者・パートナーからのDV・暴力後、別居または避難している状況での警告書です。
警 告 書
【相手の住所(または最後の居所)】
【相手の氏名】殿
私【自分の氏名】は、本書面により 貴殿に対し正式に警告します。
貴殿は【期間】にわたり、私に対し て以下の行為を行いました。
・【行為1:例「身体的暴力(暴行・傷 害)を複数回にわたり行った」】
・【行為2:例「精神的暴力(暴言・脅 迫・人格否定)を継続的に行った」 】
私は上記行為による被害から身を守 るため、現在貴殿と別居しております 。
本書面到達後、以下の行為を直ちに 停止することを求めます。
一、私および子ども【子の氏名】への 接触・連絡・接近
一、私の現在の居所・勤務先の調査・ 訪問
一、私の家族・知人等を通じた間接的 な接触・情報収集
本書面到達後も行為が続く場合は、 配偶者暴力防止法に基づく保護命令の 申請・接近禁止の仮処分・刑事告訴を 含む法的手続きを直ちに取ります。
以上
【年 月 日】
【差出人住所(弁護士等の事務所住所
の使用を強く推奨)】
【自分の氏名】 印
警告書を書くときの重要ポイント
① 行為を具体的・客観的に記載する
「つきまとわれている」という抽象的な表現ではなく、「〇月〇日〇時頃、自宅前で待ち伏せされた」「〇月〇日から〇月〇日の間に〇回電話があった」というように、日時・場所・行為の内容・頻度を具体的に記載してください。具体的な記述が文書の信頼性と証拠力を高めます。
② 感情的・脅迫的な表現は絶対に使わない
「絶対に許さない」「ひどい目に遭わせる」などの感情的・脅迫的な表現は、脅迫罪(刑法222条)として逆に自分が訴えられるリスクがあります。警告書は「法的手続きを取る」という合法的な措置のみを記載し、冷静・客観的なトーンを保ってください。
③ 次の法的手段を具体的に示す
「法的手続きを取る」という抽象的な表現より、「ストーカー規制法に基づく申告を行う」「接近禁止の仮処分を申請する」「損害賠償請求訴訟を提起する」と具体的な手続き名を記載する方が、相手への抑止効果が高まります。実際に実行する気がない手続きを書くのはやめましょう。
④ 事実と意見・感情を混在させない
「おそらくストーカーだ」「明らかに異常だ」などの主観的な評価・レッテルは記載しないでください。証明できる客観的な事実のみを記載することで、後の法的手続きで文書の信頼性を保てます。
郵便局での送付手順と費用
- 同じ内容の文書を3通用意する
- 最寄りの郵便局の窓口へ持参する(ポスト投函不可)
- 「内容証明郵便で送りたい」と伝え書式チェックを受ける
- 「配達証明」を合わせて依頼する(ただしDV・ストーカー被害者は差出人住所に注意)
- 料金を支払い、控えと追跡番号を受け取る
| 料金の種類 | 目安金額 |
|---|---|
| 基本郵便料金+書留料金 | 約555円〜 |
| 内容証明料金(1枚目) | 440円 |
| 内容証明料金(2枚目以降) | 260円追加 |
| 配達証明(推奨) | 320円 |
| 合計目安(1枚・配達証明あり) | 約1,300円〜 |
【潜在ニーズに応える】警告書を送っても無視された場合の次の手
警告書を送っても相手が無視し、接触・接近を続ける場合は、法的手続きへ移行します。状況に応じた手続きを確認しましょう。
① ストーカー規制法に基づく警察への申告
つきまとい・待ち伏せ・繰り返しの連絡などがストーカー規制法の要件を満たす場合、警察に相談・申告することで以下の対応が取られます。
- 警告:警察から相手に口頭・書面で警告が行われます。
- 禁止命令:警告に従わない場合、都道府県公安委員会が禁止命令を発令します。違反した場合は1年以下の懲役または100万円以下の罰金の対象になります。
- 緊急禁止命令:危険が差し迫っている場合、公安委員会の事前の審査なしに禁止命令が発令されます。
② 配偶者暴力防止法(DV防止法)に基づく保護命令
配偶者・元配偶者・生活の本拠を共にする交際相手からの暴力の場合、裁判所に保護命令を申し立てることができます。保護命令には接近禁止命令(6か月間・子どもへの接近禁止も含む)・退去命令などがあります。違反した場合は1年以下の懲役または100万円以下の罰金の対象になります。
③ 裁判所への接近禁止仮処分申請
ストーカー規制法の対象外のケースや、より迅速な法的保護が必要な場合は、裁判所に接近禁止の仮処分(保全処分)を申立てることができます。裁判所の命令により法的な接近禁止が実現し、違反した場合は間接強制(制裁金)が課される場合があります。この手続きは弁護士への依頼がほぼ必須です。
④ 損害賠償請求訴訟
つきまとい・嫌がらせによって精神的・身体的損害が生じている場合、不法行為(民法709条)に基づく損害賠償を請求できます。警告書を送った後も行為が続いたという事実が、故意・悪意の証拠として有利に働きます。
⑤ 刑事告訴
相手の行為が刑事犯罪(傷害・脅迫・住居侵入・名誉毀損・ストーカー行為の禁止命令違反など)に該当する場合は、警察への被害届・刑事告訴も選択肢になります。警告書を送った後も行為が続いた証拠(着信履歴・日誌・配達証明書)を持参して相談してください。
よくある質問(FAQ)
Q. 個人で作成した警告書と弁護士名義のものでは効果が違いますか?
A. 法的効力そのものは変わりませんが、弁護士名義で送ることで相手への心理的プレッシャーが大きくなる傾向があります。個人名義の警告書を「軽く見る」相手もいますが、弁護士名義だと「本当に法的手続きに進む」と受け取られやすくなります。個人での警告書を送っても無視された場合は、弁護士への依頼を検討してください。
Q. 警告書を送ることで、相手が逆上して危険になりませんか?
A. このリスクは否定できません。特にDV・ストーカー被害の場合、警告書の送付が相手を刺激してエスカレートするリスクがあります。危険を感じる状況では、警告書の送付より先に警察への相談・避難を優先してください。警告書の送付タイミングは弁護士と相談して決めることをおすすめします。
Q. 相手の住所がわかりません。警告書を送れますか?
A. 相手の住所が不明な場合は内容証明郵便の送付が難しくなります。相手の職場が判明している場合は職場宛に送付することも一つの方法ですが、プライバシーへの配慮が必要です。住所不明の場合は弁護士に相談し、住所調査・警察への申告・仮処分申請などの代替手段を検討してください。
Q. 警告書を送った後、相手から「訴える」と言われました。どうすればいいですか?
A. 警告書の内容が事実に基づき・脅迫的な表現を含まない正当なものであれば、それを理由に訴えられることはほとんどありません。相手の「訴える」という発言自体が脅迫にあたる場合もあります。冷静に対応し、相手の発言・行動を記録した上で弁護士に相談してください。
Q. 警告書を送った後、相手が一時的に止まりましたがまた始まりました。再送すべきですか?
A. 再送よりも次の法的手続き(ストーカー規制法の申告・仮処分申請など)に進むことを検討してください。一度警告書を送って一時的に止まった後に再発した事実は、相手が警告の内容を認識していながら再び行為に及んだという悪意の証拠になります。この証拠を持って弁護士や警察に相談する方が実効性があります。
まとめ|警告書は第一歩。状況に応じて法的手続きへ進もう
接近禁止の警告書を個人で作成・送付する方法を振り返ります。
- 接近禁止の警告書は個人でも作成・送付でき、内容証明郵便で送ることで公的な記録が残る
- 警告書自体に強制力はないが、その後の法的手続き(ストーカー規制法・仮処分・損害賠償)の重要な証拠になる
- DV・ストーカー被害者は差出人住所に注意。弁護士・行政書士の事務所住所から送付することを強く推奨
- 文例は行為を具体的・客観的に記載し、脅迫的表現は一切使わないことが重要
- 警告書を送っても無視された場合はストーカー規制法の申告→禁止命令→仮処分申請→損害賠償請求→刑事告訴の順で法的手続きへ進む
- 危険を感じる状況では警告書の送付より先に警察への相談・安全確保を優先する
自分の平穏な生活を守ることは、正当な権利の行使です。一人で抱え込まず、法テラス(0570-078374)・警察・弁護士などの専門家の力を積極的に借りながら、自分を守る行動を起こしてください。

