家賃滞納が続く入居者へ|内容証明での督促から契約解除までの流れ
「入居者の家賃滞納が何ヶ月も続いている…」
「電話しても居留守を使われ、まともに話ができない」
「強く言って退去されるのも困るが、このままでは経営が厳しい」
大家さん・オーナーにとって、家賃滞納は頭の痛い問題です。とはいえ、感情的に督促したり、勝手に部屋に入ったり鍵を交換したりすると、逆にこちらが法律違反に問われることもあります。正しい順序を踏むことが、結果的にいちばんの近道です。その第一歩として有効なのが内容証明郵便による督促です。
この記事では、家賃滞納への正しい対処法を、内容証明での督促から契約解除・明け渡しまでの流れに沿って解説します。やってはいけない対応もあわせてお伝えします。
「どの段階で何をすべき?」という相談もお気軽に。
家賃滞納でやってはいけないこと
まず大切なのは、「自力救済」は禁止されているということです。家賃を滞納されているからといって、次のような行動を取ると、大家さん側が損害賠償を求められるリスクがあります。
- 勝手に鍵を交換して締め出す
- 無断で部屋に入り、荷物を運び出す
- 勝手に荷物を処分する
- 大声で取り立てる・過度に督促する
どんなに正当な理由があっても、法的な手続きを踏まずに実力行使することはできません。だからこそ、記録に残る正しい手順で進めることが重要なのです。
対応の流れ|督促から明け渡しまで
| 段階 | 対応 |
|---|---|
| STEP1 | 電話・書面で支払いを促す(初期対応) |
| STEP2 | 改善されなければ内容証明で督促(連帯保証人にも通知) |
| STEP3 | 期限を区切って支払いを求め、応じなければ契約解除を通知 |
| STEP4 | それでも退去しない場合は明け渡し訴訟・強制執行 |
「信頼関係の破壊」がカギ
賃貸借契約では、1〜2ヶ月の滞納だけではすぐに契約解除が認められないのが一般的です。契約を解除するには、滞納が続いて貸主と借主の「信頼関係が破壊された」と言える状態であることが必要とされます。一般的には、3ヶ月程度以上の滞納が一つの目安になります。
内容証明による督促が効果的な理由
内容証明郵便で督促することには、大きく2つの意味があります。
- 心理的なプレッシャー:正式な書面が届くことで、入居者が「本気だ」と受け止め、支払いに応じやすくなる
- 証拠として残る:後で契約解除・明け渡し訴訟になったとき、「正式に督促し、期限を設けた」事実が証拠になる
📌 連帯保証人への通知も忘れずに
家賃滞納がある場合、連帯保証人にも支払いを求めることができます。内容証明で保証人にも同時に通知しておくと、回収できる可能性が高まります。
内容証明に書くべき主な内容
- 賃貸借契約の内容(物件名・契約日・月額家賃)
- 滞納している家賃の合計額・対象期間
- 支払期限と、支払先(振込口座など)
- 期限までに支払いがない場合は契約を解除する旨の予告
特に「期限までに支払わなければ契約を解除する」という予告(催告)は、その後の契約解除・明け渡しに進むうえで重要な意味を持ちます。文面の作り方一つで、後の手続きのスムーズさが変わってきます。
家賃滞納の督促状は行政書士にご相談ください
行政書士は、権利義務に関する書類作成の専門家として、家賃の督促状・契約解除通知(内容証明)の作成をお手伝いします。次のような大家さん・オーナーは、ぜひご相談ください。
- 督促状の正しい文面が分からない
- 感情的にならず毅然と意思を示したい
- 連帯保証人への通知も含めまとめて対応したい
- 後の契約解除・明け渡しを見据えて進めたい
📌 明け渡し訴訟が必要な場合は
督促しても退去せず、明け渡し訴訟・強制執行が必要になる場合は、提携する弁護士をご案内できます。まずは「今の段階で何をすべきか」をご相談ください。
家賃滞納の督促状(内容証明)の記載例
督促の段階では、滞納額・支払期限・支払いがない場合の対応を明確に示します。次の例を参考にしてください。
催告書
貴殿は、下記物件の賃料を令和○年○月分から滞納しており、滞納額は合計金○○○,○○○円に達しています。
物件名 ○○アパート○○号室
つきましては、本書面到達後○日以内に上記滞納賃料を全額お支払いください。
期限までにお支払いがない場合は、賃貸借契約を解除し、建物の明け渡しを求めますので、念のため申し添えます。
令和○年○月○日
賃貸人 ○○ ○○ ㊞
このように「期限内に支払わなければ契約を解除する」という条件付きの催告(催告解除)にしておくと、その後の手続きがスムーズになります。
連帯保証人にも請求できます
入居時に連帯保証人がいる場合は、保証人に対しても滞納家賃を請求できます。借主本人が支払いに応じないときは、保証人へ同時に通知することで回収できる可能性が高まります。ただし、2020年の民法改正により、個人の保証人については極度額(上限額)の定めがないと保証契約が無効になるため、契約書の内容を確認しておきましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 1か月の滞納でも契約を解除できますか?
1か月程度では「信頼関係が壊れた」とは認められにくく、解除は難しいのが一般的です。おおむね3か月程度の滞納が一つの目安とされますが、事情によります。
Q. 鍵を交換して入れないようにしてもいいですか?
絶対にやめてください。勝手な鍵交換や荷物の搬出は「自力救済」として違法で、逆に大家側が損害賠償を求められます。必ず正しい手順を踏みましょう。
Q. 入居者と連絡が取れません。
連絡が取れなくても、内容証明を送ることで「正式に催告した」記録を残せます。これが、後の契約解除や明け渡し手続きの土台になります。
Q. 最終的に出て行ってもらえますか?
話し合いで解決しない場合は、最終的に明け渡し訴訟・強制執行という流れになります。この段階では弁護士のサポートが必要ですが、その手前の督促・解除通知までは行政書士がしっかりお手伝いします。
まとめ|正しい順序が、解決への近道です
- 自力での締め出し・荷物の撤去は禁止
- まずは内容証明で督促し、記録を残す
- 契約解除には「信頼関係の破壊」が必要
- 連帯保証人への通知も有効
家賃滞納は、放置するほど損失が大きくなります。とはいえ、対応を誤ると逆にこちらが不利になることも。正しい手順で着実に進めるために、まずはお気軽にご相談ください。滞納の状況をお聞きして、最適な対応をご案内します。

