容証明郵便の書き方・出し方を完全解説|テンプレート・料金・送り方まで
「相手に請求したことを証拠として残したい」「本気で動いていると伝えたい」「でも弁護士に頼む前に、まず自分でできることをしたい」——そんな方が最初に選ぶ手段が、内容証明郵便です。
内容証明郵便は、慰謝料請求・借金の返済催告・契約解除・クレームなど、あらゆるトラブルの場面で使える強力な法的ツールです。しかし、「書き方がわからない」「書式ルールが難しそう」「郵便局でどう手続きするの?」と、ハードルを感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、内容証明郵便の基本知識から書き方・書式ルール・文例テンプレート・郵便局での送り方まで、はじめての方でも迷わず作成・送付できるよう、丁寧に解説します。
📋 この記事でわかること
- 内容証明郵便とは何か・どんな効力があるか
- 書き方・書式ルール(文字数・行数・使える文字)
- シーン別の文例テンプレート
- 郵便局での手続きの流れと料金
- 送付後の対応と注意点
内容証明郵便とは?基本知識をおさえよう
内容証明郵便の定義
内容証明郵便とは、「いつ・誰が・誰に・どのような内容の文書を送ったか」を郵便局(日本郵便)が公的に証明してくれる郵便制度です。
通常の郵便は「手紙を送った」という事実は記録されますが、中身の内容は証明されません。内容証明郵便では、郵便局が文書の内容を謄本として保管し、後日「確かにこの内容の文書が送られた」と証明することができます。
内容証明郵便が持つ4つの効力
① 請求・意思表示の証拠になる
「そんな請求は受けていない」「連絡は来なかった」という言い逃れを防げます。請求した日付・内容が公的に記録されるため、後の交渉・裁判で強力な証拠になります。
② 相手への心理的プレッシャーになる
内容証明郵便が届いた相手は「本気で法的措置を検討している」と受け取ります。任意での解決(支払い・謝罪・対応)が進むケースも少なくありません。
③ 時効の完成猶予(6ヶ月間)
内容証明で「催告」を行うと、その日から6ヶ月間は消滅時効の完成が猶予されます(民法150条)。時効が迫っている場面では特に重要な手段です。
④ 契約解除・意思表示の到達証明
解約通知・契約解除・退去通知など、「到達した日付」が重要な場面でも効果を発揮します。配達証明を付ければ、相手に届いた日も証明できます。
内容証明郵便が使われる主なシーン
| シーン | 具体的な内容 |
|---|---|
| 金銭トラブル | 借金の返済催告、売掛金の回収、損害賠償請求 |
| ハラスメント被害 | パワハラ・セクハラ・ストーカー行為への慰謝料請求・警告 |
| 不倫・離婚 | 不倫相手への慰謝料請求、離婚意思の通知 |
| 賃貸・不動産 | 退去通知、敷金返還請求、賃料値下げ交渉 |
| 契約・取引 | 契約解除通知、クーリングオフ、代金未払いの催告 |
| 誹謗中傷・名誉毀損 | ネット投稿の削除要求、損害賠償請求の警告 |
内容証明郵便の書き方|書式ルールを完全解説
内容証明郵便には郵便局が定めた書式ルールがあります。このルールを守らないと受け付けてもらえない場合があるため、作成前に必ず確認しておきましょう。
基本の書式ルール
| 項目 | 縦書き | 横書き |
|---|---|---|
| 1行の文字数 | 20字以内 | 26字以内 |
| 1ページの行数 | 26行以内 | 26行以内 |
| 用紙サイズ | 制限なし(A4が一般的) | |
| 使用できる文字 | 日本語・アラビア数字・一般的な記号(外字・特殊記号は不可) | |
| 訂正方法 | 二重線+訂正印。修正液・修正テープは不可 | |
| 複数枚の場合 | 各ページに契印(割印)が必要 | |
・句読点(。、)も1文字としてカウントします
・改行しても行数としてカウントされます
・パソコン作成の場合もフォントサイズや余白で文字数が変わる場合があります。提出前に必ず確認しましょう
文書の基本構成
内容証明郵便の文書は、以下の順番で構成します。
- 宛名(受取人の住所・氏名):文書の冒頭または末尾に記載。「殿」や「様」をつける
- 差出人(自分の住所・氏名):宛名の近くに記載
- タイトル:「通知書」「請求書」「催告書」「解除通知書」など内容を表すタイトル
- 本文(事実経緯・請求内容):いつ・誰が・何をしたか、何を請求するかを具体的に記載
- 要求事項・期限:「本書面到達後〇日以内に〇〇してください」と明記
- 作成日・署名(押印):末尾に記載。押印は任意だが、あった方が信頼性が増す
法的効果を高める文章の書き方
内容証明の文面で特に重要なのは、感情的にならず、事実を客観的・具体的に記述することです。
- 「〇年〇月〇日」と具体的な日付を必ず記載する
- 「大変つらかった」などの感情表現より「精神的損害を被った」などの法的表現を使う
- 請求金額は明確な数字で記載する(「相当額」などの曖昧な表現は避ける)
- 「本書面到達後14日以内に」と期限を設ける
- 法的措置への言及は「法的手続きを含む相応の措置を検討いたします」程度にとどめる
シーン別・文例テンプレート集
よく使われるシーン別に文例テンプレートを紹介します。そのまま使わず、必ず自分の実際の状況に合わせてカスタマイズしてください。
【文例①】金銭(貸金)返還請求
返還請求書
請求者 ○○県○○市○○町○丁目○番○号
氏名 山田 太郎
被請求者 ○○県○○市○○町○丁目○番○号
氏名 田中 次郎 殿
私は貴殿に対し、以下のとおり金銭の返還を請求いたします。
第1 貸付の事実
私は令和○年○月○日、貴殿から「○○のために資金が必要だ」との申し出を受け、金○○万円を、返済期日を令和○年○月○日と定めて貸し付けました。
第2 返済の不履行
しかし、貴殿は上記返済期日を過ぎた現在も、一切の返済を行っておりません。再三にわたる口頭での催促にも応じていただけない状況です。
第3 請求内容
つきましては、貸付金○○万円の全額を、本書面到達後14日以内に下記口座へお振り込みくださいますよう請求いたします。
〇〇銀行 〇〇支店 普通預金 口座番号:〇〇〇〇〇〇〇
口座名義:ヤマダ タロウ
上記期日までにご対応がない場合は、法的手続きを含む相応の措置を検討いたします。
令和 年 月 日
山田 太郎 ㊞
【文例②】売掛金(代金未払い)催告
売掛金支払催告書
請求者 ○○県○○市○○町○丁目○番○号
○○株式会社 代表取締役 鈴木 花子
被請求者 ○○県○○市○○町○丁目○番○号
株式会社○○ 代表取締役 ○○ ○○ 殿
当社は貴社に対し、以下のとおり売掛金のお支払いを催告いたします。
第1 取引の概要
当社は令和○年○月○日付契約に基づき、貴社に対し○○(商品名・役務名)を納品・提供いたしました。これに対する代金○○万円(税込)の支払期日は令和○年○月○日でした。
第2 未払いの事実
しかし、支払期日を過ぎた現在に至っても、上記代金のお支払いをいただいておりません。担当者への連絡にも誠実なご対応をいただけない状況です。
第3 催告内容
本書面到達後7日以内に、下記口座へお支払いくださいますよう催告いたします。
〇〇銀行 〇〇支店 普通預金 口座番号:〇〇〇〇〇〇〇
口座名義:スズキ ハナコ
期日までにご対応がない場合は、法的手続きに移行いたします。
令和 年 月 日
○○株式会社 代表取締役 鈴木 花子 ㊞
【文例③】賃貸・敷金返還請求
敷金返還請求書
請求者 ○○県○○市○○町○丁目○番○号
氏名 佐藤 一郎
被請求者(賃貸人) ○○県○○市○○町○丁目○番○号
氏名(または法人名) ○○ ○○ 殿
私は貴殿に対し、以下のとおり敷金の返還を請求いたします。
第1 賃貸借契約の概要
私は令和○年○月○日から令和○年○月○日まで、○○県○○市○○町○丁目○番○号所在の居室(以下「本物件」)を賃借しており、賃貸借契約締結時に敷金として金○○万円をお預けしました。
第2 退去および敷金未返還
私は令和○年○月○日に本物件を退去し、鍵を返却しましたが、退去後○ヶ月が経過した現在も、敷金の返還を受けておりません。退去時の物件状況は通常の使用によるものであり、原状回復費用として控除される事由はないと考えております。
第3 請求内容
つきましては、敷金○○万円全額を、本書面到達後14日以内に下記口座へご返還くださいますよう請求いたします。
〇〇銀行 〇〇支店 普通預金 口座番号:〇〇〇〇〇〇〇
令和 年 月 日
佐藤 一郎 ㊞
【文例④】契約解除通知(クーリングオフ含む)
契約解除通知書
通知者 ○○県○○市○○町○丁目○番○号
氏名 中村 美咲
被通知者 ○○県○○市○○町○丁目○番○号
○○株式会社 代表取締役 ○○ ○○ 殿
私は貴社に対し、以下のとおり契約解除を通知いたします。
第1 契約の概要
私は令和○年○月○日、貴社との間で○○(商品・サービス名)に関する契約を締結し、代金○○万円を支払いました。
第2 解除の意思表示
本書面をもって、上記契約を解除いたします。解除の理由は、○○(具体的な理由:説明と相違する内容だった・クーリングオフ期間内のため、等)です。
第3 返金の請求
解除に伴い、支払済みの代金○○万円を、本書面到達後14日以内に下記口座へご返金くださいますよう請求いたします。
〇〇銀行 〇〇支店 普通預金 口座番号:〇〇〇〇〇〇〇
令和 年 月 日
中村 美咲 ㊞
内容証明郵便の送り方|郵便局での手続きを解説
必要な書類の部数
内容証明郵便を送るには、同じ内容の文書を3部用意する必要があります。
| 部数 | 用途 |
|---|---|
| 1部目 | 相手(受取人)に送付される文書 |
| 2部目 | 郵便局(日本郵便)が5年間保管する謄本 |
| 3部目 | 差出人(あなた)の控え。大切に保管すること |
郵便局での手続きステップ
- 文書3部・封筒・認印を持参し、郵便局の窓口(本局・集配局推奨)へ行く
- 窓口で「内容証明郵便で送りたい」と伝える
- 郵便局員が文書の書式(文字数・行数)を確認する
- 問題がなければ3部すべてに認証印が押される
- 「配達証明」も同時に申請する(相手に届いた日付の証明になるため、強く推奨)
- 料金を支払い、手続き完了。控えと認証済み謄本を受け取る
料金の目安
| 項目 | 料金(目安) |
|---|---|
| 基本郵便料金(25g以内) | 110円 |
| 内容証明料(1枚目) | 440円 |
| 内容証明料(2枚目以降、1枚ごと) | 260円追加 |
| 書留料金 | 480円 |
| 配達証明料(推奨) | 320円 |
| 合計(文書1枚・配達証明付き) | 約1,350円〜 |
e内容証明(電子内容証明)という選択肢も
日本郵便のウェブサービス「e内容証明」を利用すれば、パソコンから24時間365日、内容証明の送付手続きができます。
- 郵便局に行く時間がない方、遠方の方に便利
- 文書の作成・送付・保管まですべてオンラインで完結
- 利用にはサービスへの利用登録が必要
- 料金は窓口とほぼ同額
送った後どうなる?相手の反応別・次のアクション
内容証明郵便を送ったら、あとは相手の反応を待ちます。相手の出方はさまざまなので、それぞれの対応を事前に把握しておきましょう。
① 相手が応じた場合(支払い・対応あり)
最も望ましいケースです。ただし、口頭や電話での約束だけで安心しないようにしましょう。
- 示談書(合意書)を必ず書面で作成する
- 「本件に関する一切の請求を放棄する」旨の清算条項を入れる
- 入金確認後に示談書を取り交わすか、同時交換にする
- 示談書は2部作成し、双方が署名・押印したものを1部ずつ保管する
② 相手が無視・拒否した場合
残念ながら無視や拒否をする相手もいます。この場合は法的手続きへの移行を検討します。
| 手続き | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 民事調停 | 裁判所を介した話し合い。費用が安い | 相手が話し合いに応じる可能性がある場合 |
| 支払督促 | 裁判所が相手に支払いを命じる簡易手続き | 金銭の支払いを求める場合(相手が争う可能性が低い) |
| 少額訴訟 | 60万円以下の請求。1回の期日で判決 | 少額・証拠が明確なケース |
| 通常訴訟 | 本格的な裁判。確実な解決を図れる | 金額が大きい・相手が強く争う場合 |
③ 相手から反論・反請求が来た場合
「そんな事実はない」「むしろこちらが被害者だ」などと反論してくる場合があります。この場合は一人で対応せず、速やかに専門家に相談することを強くおすすめします。
内容証明郵便の注意点とよくある失敗
やってしまいがちな失敗TOP5
-
失敗① 書式ルールを守っていない
文字数・行数オーバーは郵便局で受け付けてもらえません。作成後は必ず確認しましょう。 -
失敗② 事実の記載が曖昧・感情的
「ひどいことをされた」などの表現だけでは証拠として弱くなります。日時・場所・具体的な言動を明記しましょう。 -
失敗③ 配達証明をつけ忘れた
内容証明のみでは「相手に届いた日」が証明できません。必ず配達証明も同時に申請しましょう。 -
失敗④ 控えを紛失した
差出人控えは後の交渉・裁判で重要な証拠になります。スキャンしてデジタルでも保管しましょう。 -
失敗⑤ 時効を過ぎてから送った
内容証明での催告は時効の完成を6ヶ月猶予しますが、時効が完成した後では意味がありません。時効期限は早めに確認しましょう。
専門家(行政書士・弁護士)に依頼すべきケース
内容証明郵便は自分で作成・送付することもできますが、以下のようなケースでは専門家への依頼を強くおすすめします。
- 相手が会社・法人・または複数名である
- 請求金額が大きく、相手の反論が予想される
- 証拠の整理・法的根拠の確認が必要な複雑なケース
- 精神的なダメージが大きく、自分で手続きするのが辛い
- 時効まで時間がない、または時効が複雑なケース
- 示談書・合意書の作成まで一括してサポートしてほしい
専門家が作成した内容証明郵便は、法的な説得力が増し・記載漏れや書式ミスのリスクがなくなり・相手への心理的プレッシャーも強まります。費用はかかりますが、それ以上の安心感と確実性を得られます。
まとめ|内容証明郵便で、あなたの権利を守ろう
この記事では、内容証明郵便の基本から書き方・テンプレート・郵便局での手続き・送付後の対応まで解説しました。重要なポイントをまとめます。
- 内容証明郵便は「いつ・誰が・誰に・何を請求したか」を公的に証明できる郵便制度
- 慰謝料請求・金銭回収・契約解除・ハラスメント警告など、幅広いトラブルに使える
- 書式ルール(文字数・行数)を守って作成し、必ず配達証明とセットで送る
- テンプレートはあくまで参考。自分の事実に合わせて具体的に記載することが重要
- 相手が無視した場合は民事調停・訴訟などの法的手続きに移行できる
- 複雑なケース・精神的な負担が大きい場合は専門家への相談が近道
トラブルをひとりで抱え込まないでください。内容証明郵便を送るという「最初の一歩」が、問題解決への大きな前進になります。
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