中絶後に慰謝料は請求できる?不誠実な対応への内容証明の書き方と手順を徹底解説

あなたは今、どれほど傷ついているでしょうか。
妊娠・中絶という経験だけでも、体も心も限界まで消耗します。それなのに、相手は話し合いにも応じない。費用も負担しない。暴言まで吐いてくる。

「こんな思いをしたのに、何もできないの?」

そう感じているなら、はっきりお伝えしたいのです。あなたには、法律が認めた正当な権利があります。
この記事では、不誠実な対応に対する慰謝料請求を「内容証明」を使って進める方法を、ひとつひとつ丁寧に解説します。難しい法律用語もできるだけ噛み砕いて説明しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

  • 中絶後の慰謝料請求が認められる具体的なケース
  • 請求前に集めておくべき証拠の種類
  • 内容証明郵便の仕組みと書き方・送り方
  • 相手に無視されたときの次の手
  • 弁護士に相談すべきタイミングと費用感


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第1章|まず知ってほしい:あなたには請求できる権利がある

「慰謝料請求」と聞くと、なんだか大げさとか、感情的すぎると思う方もいるかもしれません。でも、そうではないのです。慰謝料とは「精神的な損害に対する損害賠償」のことであり、民法第709条(不法行為)に基づく、きちんとした法律上の権利です。

ここで重要なのは、今回のテーマが「妊娠・中絶自体に対する慰謝料ではない」という点です。妊娠や中絶の選択そのものは、必ずしも慰謝料請求の対象にはなりません。問題なのは「その前後における相手の不誠実な言動や対応」です。

たとえば、以下のような行為は、法的に「精神的損害を与えた不法行為」として評価される可能性があります。

  • 話し合いに一切応じない・無視し続ける
  • 母体保護法上の同意書へのサインを拒否する
  • 中絶費用を一切負担しない
  • 手術後も話し合いを避け、連絡を断つ
  • 暴言を浴びせる・人格を傷つける言動をする

「でも、これって請求できるの?」と思う方も多いはずです。実際、過去の裁判例でも、妊娠・中絶に際した不誠実な対応に対して慰謝料の支払いが認められたケースは複数存在します。あなたが感じた痛みは、法律が認める損害なのです。


第2章|請求できる可能性が高い「不誠実な行為」5つ

それでは、具体的にどのような行為が「慰謝料の対象になり得るのか」を見ていきましょう。以下の5つは、特に請求の根拠として主張しやすいものです。

① 話し合いへの拒否・無視

交際関係にある相手と妊娠した場合、双方が誠実に話し合う責任があると考えられています。これは法律上「誠実協議義務」とも呼ばれる考え方であり、一方的に拒絶・無視し続ける行為は、相手の精神的苦痛を増大させる行為として評価されます。
LINEの「既読スルー」「返信拒否」「着信拒否」なども、継続的な無視の証拠として活用できます。

② 同意書へのサイン拒否

日本では、人工妊娠中絶手術を行うためには母体保護法に基づき「配偶者または相手の同意書」が必要とされています(未婚の場合は本人署名のみで認められるケースもありますが、医療機関によって異なります)。
相手が意図的にサインを拒否することで、手術が遅れたり精神的な圧迫を受けたりした場合、それ自体が不法行為となり得ます。特に「サインしてくれると言っておきながら直前に拒否」「何度お願いしても無視」といったケースは悪質性が高いと判断されやすいです。

③ 中絶費用の負担なし

中絶手術にかかる費用(初診・手術・術後検診など)は、一般的に10〜15万円程度かかることが多いです。法律上「費用を負担する義務がある」と明文化された規定はありませんが、双方の合意のもとで妊娠した場合、費用を折半または負担するのは道義的・社会的に当然とされています。
相手が全額負担を求め拒否した場合、その費用相当額を損害として請求できる可能性があります。実際の裁判例でも、費用相当額の賠償が認められたケースがあります。

④ 中絶後の話し合い回避

手術後は、心身ともに最も消耗している時期です。にもかかわらず、相手が連絡を断ったり、関係をなかったことにしようとしたりする行為は、精神的損害を継続・拡大させるものとして評価されます。
「手術翌日から既読無視」「LINEをブロックされた」「電話に出なくなった」といった事実は、しっかり記録に残しておきましょう。

⑤ 暴言・人格を傷つける言動

「勝手にしろ」「俺の子じゃない」「おろして当然」「お前のせいだ」など、心を傷つける言葉を浴びせられた場合は、名誉毀損や人格権の侵害として慰謝料請求の根拠になります。
LINEやメッセージでのやり取りが残っている場合は特に有力な証拠です。口頭での暴言であっても、日時・場所・内容をメモに残すことで証拠として使える可能性があります。


第3章|慰謝料の相場はどのくらい?

「実際にいくら請求できるの?」という疑問は、とても自然なことです。ただし慰謝料の金額は一律ではなく、さまざまな事情によって変わってきます。

要因 金額への影響
行為の悪質性・継続性 悪質・継続的なほど高くなる傾向
証拠の量と質 証拠が多いほど認められやすい
精神的苦痛の程度 診断書・カウンセリング記録で立証できると有利
交際期間・関係性 長期交際・婚約関係などは高く評価されやすい
負担した費用の実損額 領収書があれば実費として請求可能

一般的な相場感としては、数十万円〜150万円前後が多いとされていますが、事案の悪質性が高い場合や精神科への通院が認められる場合などは、それ以上になることもあります。

「相場よりも大事なこと」は、しっかりした証拠を揃えることです。証拠があれば交渉力が上がり、示談金額も現実的なものになります。逆に証拠がなければ、相場以下でも認めてもらえないこともあります。


第4章|請求前にやるべき「証拠収集」

内容証明を送る前に、まず「手元にある証拠を整理すること」が最優先です。証拠は後から集めようとしても消えてしまうことがあります。できるだけ早く、以下のものを確保しておきましょう。

集めるべき証拠リスト

  • LINEやメッセージのスクリーンショット(既読無視・暴言・拒否の内容を含むもの)
  • 通話記録・着信履歴(拒否・無視の証明として)
  • メール・SNSのやり取り(スクリーンショット+日付が分かる形で保存)
  • 病院の領収書・診断書(中絶手術・術後検診にかかった費用の証明)
  • 妊娠を示す検査薬や産婦人科の記録(妊娠の事実を証明)
  • 精神科・心療内科の診断書(PTSD・うつ状態など精神的損害の立証)
  • 日記・メモ(日付・時刻・場所・内容を詳細に記録したもの)
  • 第三者への相談記録(友人へのLINE・カウンセラーへの相談記録)

⚠️ やってはいけないこと

  • 相手の同意なしに会話を録音することは、場合によっては問題になる可能性があります(録音自体は一方的でも違法ではないとされる場合がほとんどですが、専門家への相談を推奨します)
  • SNSに相手の実名・顔写真・個人情報を投稿すること(名誉毀損・プライバシー侵害で逆に訴えられるリスクがあります)
  • LINEのメッセージを改ざん・編集すること(証拠の信用性が失われます)
  • 相手に対して過剰な接触・嫌がらせ行為をすること(ストーカー規制法に抵触するリスクがあります)

証拠収集は「量よりも質と保全の確実性」が大切です。スクリーンショットはクラウドやPC等にバックアップし、削除・紛失のリスクをなくしておきましょう。


第5章|内容証明とは何か?なぜ使うのか

「内容証明」という言葉を聞いたことはあっても、実際にどんなものか知らない方も多いのではないでしょうか。難しいことはありません。ここで分かりやすく解説します。

内容証明郵便とは?

内容証明郵便とは、「いつ・誰が・誰に・どんな内容の手紙を送ったか」を日本郵便が公的に証明してくれる郵便サービスです。
手紙の控えを郵便局が保管してくれるため、後から「そんな手紙は受け取っていない」「そんなことは書いていなかった」という言い逃れをされるリスクがなくなります。

慰謝料請求に内容証明を使う3つの理由

  1. 請求の記録が残る:「請求した・しない」の争いを防ぎ、証拠として機能します
  2. 時効の進行を一時止められる:内容証明を送ることで「催告」となり、時効の完成を一定期間猶予できます(その後6ヶ月以内に法的手続きが必要)
  3. 心理的プレッシャーを与えられる:相手に「本気で請求している」という意思を示すことで、任意の支払い・交渉に応じてくれる可能性が高まります

弁護士名義で送る効果

内容証明は自分で送ることもできますが、弁護士名義で送ると相手への心理的インパクトが格段に大きくなります。「弁護士が動いている=本格的な法的手続きが始まる」と相手が認識するため、無視されにくく、交渉に応じてくれる確率も上がります。
また、弁護士が作成した内容証明は、法的な観点から必要な要素が盛り込まれているため、後々の裁判でも有効な証拠として機能しやすいです。

「自分のケースで請求できる?」まず確認を

証拠が少なくても、まずは一度ご相談ください。状況を整理するだけでも次の一手が見えてきます。


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第6章|内容証明の書き方・送り方

実際に内容証明郵便を自分で作成・送付する場合の基本を解説します。ただし、慰謝料請求のような複雑なケースでは、弁護士に依頼することを強くおすすめします(理由は章末に説明します)。

内容証明に書くべき内容

  • 差出人・受取人の氏名・住所
  • 事実の経緯(いつ・何が起きたか。具体的かつ時系列で)
  • 請求の根拠(どの行為が不法行為にあたるか)
  • 請求金額(慰謝料額+中絶費用など実損額)
  • 支払い期限(通常は「〇年〇月〇日まで」と明記)
  • 振込先口座(銀行名・支店名・口座番号・名義)
  • 期限内に支払いがない場合の対応(法的措置を検討する旨)

書式のルール

項目 ルール
1行の字数 縦書き:1行20字以内/横書き:1行26字以内
1枚の行数 縦書き:1枚26行以内/横書き:1枚26行以内
用紙サイズ A4またはB5
必要部数 3通(相手用・郵便局保管用・自分の控え用)
訂正・修正 修正液・修正テープ不可。訂正は所定の方法で

送り方

  1. 3通すべてを窓口に持参し、内容証明郵便として差し出す
  2. 「配達証明」もあわせて付ける(相手が受け取ったことの証明になる)
  3. 「特定記録」オプションは配達証明とは別物なので注意
  4. 電子内容証明(e内容証明)という郵便局のオンラインサービスも利用可能

⚠️ 自分で書く場合のリスク

感情的な表現が入ってしまう、法的に不適切な主張をしてしまう、逆に弱い主張になってしまうなど、自己作成にはリスクがあります。また、内容によっては「脅迫・強要」とみなされる表現を使ってしまうケースも。
慰謝料請求の内容証明は、弁護士に依頼することで法的に正確・効果的に作成してもらえます。費用はかかりますが、成功率を大きく高める投資として考えましょう。


第7章|内容証明を送った後の流れ

内容証明を送ったら、それで終わりではありません。相手の反応によって、その後の対応が変わってきます。

パターン①:相手が支払いに応じた場合

最もスムーズな解決です。この場合も、必ず「示談書(合意書)」を作成しましょう。口頭での合意や振込だけでは、後から「脅されて払った」「金額が違う」などのトラブルになることがあります。示談書には、金額・支払い完了の事実・今後の請求権を放棄する旨などを明記します。

パターン②:相手が無視した場合

内容証明を無視されても、それで終わりではありません。次のステップとして以下の手続きが考えられます。

  • 民事調停:裁判所を通じた話し合いの場。費用が低く、比較的利用しやすい
  • 支払督促:裁判所から相手に督促状を送る手続き(相手が異議申し立てをすれば訴訟に移行)
  • 民事訴訟:本格的な裁判。証拠が揃っており弁護士が付いていれば有力な手段

パターン③:相手が否定・反論してきた場合

「そんなことはしていない」「慰謝料を払う必要はない」と反論してくることもあります。この場合は、あらかじめ収集した証拠が力を発揮します。感情的な言い合いではなく、証拠をもとに淡々と主張を続けることが重要です。弁護士に交渉を委任すると、こうした場面でも冷静・的確に対応してもらえます。


第8章|一人で抱え込まないために:専門家に相談するタイミング

「弁護士に相談するのはハードルが高い」「費用が心配」「本当に請求できるか自信がない」そんな声をよく耳にします。でも、一歩踏み出すことが、自分を守る最初の行動です。

こんな場合は早めに専門家へ

  • 相手が全く連絡に応じない・着信拒否をしている
  • 証拠はあるが、どれが有効かわからない
  • 相手から逆に「脅迫だ」などと言ってきた
  • 金額や内容で折り合いがつかない
  • 精神的に限界で、自分では動けない状態
  • 時効が近い可能性がある(詳しくは後述のQ&Aへ)

費用の目安

手続き 費用の目安
初回相談 無料〜1万円(事務所による)
内容証明作成・送付 3〜10万円程度
交渉代理(示談交渉) 着手金10〜20万円+成功報酬
訴訟 着手金20〜40万円程度+成功報酬
法テラス(経済的に困難な場合) 立替制度あり(審査が必要)

費用が心配な場合は、法テラス(日本司法支援センター)の「審査なし相談」や「弁護士費用立替制度」を活用できる場合もあります。また、成功報酬型の弁護士であれば、初期費用を抑えて依頼できるケースもあります。まずは相談だけでも、ぜひ踏み出してみてください。


第9章|よくある質問Q&A

Q. 証拠がほとんどない場合でも請求できますか?
証拠がなくても、相談・請求自体は可能です。ただし、証拠が少ないと認められる金額が低くなったり、相手に否定された際に対抗が難しくなります。「LINEのやり取りが消えてしまった」「日記がない」という場合でも、弁護士に相談することで証拠を補完する方法や戦略を考えてもらえます。諦める前に一度ご相談ください。
Q. 別れた後でも請求できますか?
はい、できます。慰謝料請求権は、交際関係が終了した後でも有効です。問題となる行為が存在し、時効が成立していなければ請求することができます。
Q. 時効はありますか?
不法行為に基づく損害賠償請求権の時効は、「損害および加害者を知った時から3年」または「不法行為の時から20年」のどちらか早い方です(民法724条)。中絶後の不誠実な対応であれば、基本的には行為があった日(または知った日)から3年以内に動く必要があります。時効が近い場合は、まず内容証明を送って時効を中断させることが重要です。
Q. 相手が既婚者だった場合は?
既婚者と知らずに交際・妊娠した場合、不法行為の成立可能性が高まります。既婚であることを隠していた+中絶を促した+不誠実な対応という要素が重なると、慰謝料が高額に認められるケースもあります。逆に、既婚者であることを知っていた場合でも、中絶前後の不誠実な対応についての慰謝料は別途請求できる可能性があります。
Q. 請求したら逆に訴えられることはありますか?
正当な根拠のある慰謝料請求を行うこと自体は、何ら問題ありません。ただし、脅迫的な表現・虚偽の事実を含む内容証明・SNSへの誹謗中傷投稿などは逆に法的リスクになります。弁護士を通じた適切な方法で進めれば、逆訴されるリスクは低いです。
Q. 費用はどのくらいかかりますか?
第8章の表をご参照ください。相談は無料で受け付けているケースも多くあります。成功報酬型であれば、回収額の一定割合を支払うだけで済むこともあります。まずは無料相談から始めて、費用感を確認されることをおすすめします。

まとめ|あなたが感じた痛みは、法律が認める損害です

この記事では、妊娠・中絶に際した相手の不誠実な対応に対する慰謝料請求について、内容証明を中心に解説してきました。最後に、大切なことをまとめます。

  • 慰謝料請求は「感情的な行為」ではなく、法律が認めた正当な権利です
  • 話し合い拒否・同意書サイン拒否・費用負担なし・暴言などは、不法行為として評価される可能性があります
  • 証拠収集は今すぐ始めることが重要です(LINEの消去・着信履歴の消去を防ぐため)
  • 内容証明は「請求の意思」を公的に残す重要な手段です
  • 一人で抱え込まず、まず専門家に相談することが最善の第一歩です

心も体も傷ついている今、「行動しなければ」というプレッシャーをかけたいわけではありません。でも、相談するだけで、次に何をすべきかが見えてきます。あなたが動き出す準備ができたとき、私たちはいつでもここにいます。

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