【例文付き】セクハラ被害の内容証明郵便の書き方・送り方を徹底解説
「上司から体を触られた」「毎日性的な発言を繰り返される」「断っても止まらない…」
そんなセクハラ被害に遭い、「もう限界。きちんと抗議したい」と思っているあなたへ。
この記事では、セクハラ被害に対して内容証明郵便を送る方法を、例文・書き方・注意点まで丁寧に解説します。
読み終えたら、今日中に行動に移せます。ぜひ最後までご覧ください。
そもそも内容証明郵便とは?セクハラ被害との関係
「内容証明」という言葉は聞いたことがあっても、具体的にどんなものか分からない方も多いかと思います。まずは基本的なところから確認しておきましょう。
内容証明郵便とは
内容証明郵便とは、「いつ・誰が・誰に・どんな内容の文書を送ったか」を郵便局が公的に証明してくれる郵便サービスです。
通常の手紙とは異なり、差出人・受取人・郵便局の3者が同じ文書を保管します。そのため、後から「そんな手紙は受け取っていない」「そんなことは書いていなかった」といった言い逃れを防ぐことができます。
法的手続きの証拠として裁判所でも認められており、トラブル解決における「本気度」を相手に伝える最も効果的な手段のひとつです。
セクハラ被害で内容証明を送る意味
セクハラ被害における内容証明郵便には、主に以下の目的があります。
| 目的 | 内容 |
|---|---|
| 抗議・申し入れ | 加害者や会社に対して、セクハラ行為をやめるよう正式に要求する |
| 証拠の確保 | 被害事実と抗議の日付を公的に記録し、後の交渉・裁判に備える |
| 損害賠償請求 | 慰謝料等の支払いを相手に正式に請求する |
| 時効の中断 | 損害賠償請求権の時効進行を一時的に止める効果がある(催告) |
📌 ポイント:内容証明を送ることで、相手に「本格的に法的手続きを検討している」と伝わります。これだけで加害行為が止まったり、示談交渉がスムーズに進むケースも多くあります。
セクハラ内容証明を送るタイミング・送り先
どんなセクハラで送るべきか
内容証明は、次のようなセクハラ被害で有効です。
- 上司・同僚から繰り返し体を触られた(身体的セクハラ)
- 「付き合ってほしい」「体の関係を持とう」などと迫られた(性的強要)
- 容姿や体型に関する発言を繰り返しされた(言葉によるセクハラ)
- 性的な画像・動画を送り付けられた(デジタルセクハラ)
- 断っても行為をやめず、無視や嫌がらせに発展した(複合型)
- 会社に相談したが適切な対応をしてもらえなかった
「これくらいで大げさかも…」と遠慮しなくて大丈夫です。不快に感じた行為は、程度に関わらずセクハラです。まずは専門家に相談することをおすすめします。
内容証明の送り先:加害者?会社?
内容証明は状況によって、加害者個人・勤務先の会社・または両方に送ることができます。
| 送り先 | 内容 | 適したケース |
|---|---|---|
| 加害者個人 | 行為の停止要求・慰謝料請求 | 個人への直接請求を求める場合 |
| 勤務先の会社 | 会社の使用者責任追及・環境改善要求 | 会社が適切に対応しない場合 |
| 両方 | 個人責任+使用者責任の同時追及 | 被害が深刻・退職を余儀なくされた場合 |
📌 ポイント:会社は「職場環境配慮義務」を負っており、セクハラを放置した場合は会社自体が法的責任を問われます。会社への内容証明は、この義務を果たしていないことを正式に指摘する意味があります。
内容証明の書き方:基本ルールとポイント
基本フォーマットのルール
| 項目 | ルール |
|---|---|
| 文字数(縦書き) | 1行20字以内・1枚26行以内 |
| 文字数(横書き) | 1行13〜26字・1枚13〜26行(段組なし) |
| 用紙 | A4またはB4のサイズ(手書き・PC印刷いずれも可) |
| 部数 | 同じ内容のものを3部用意(差出人・受取人・郵便局保管用) |
| 訂正 | 訂正印が必要。修正液・修正テープは使用不可 |
記載すべき内容(必須項目)
- タイトル:「通知書」「抗議書」「損害賠償請求書」など目的に応じた題名
- 差出人の氏名・住所:あなた自身の情報(印鑑は任意)
- 受取人の氏名・住所:加害者や会社の正式な情報
- 日付:作成・差出日
- 被害事実の説明:いつ・どこで・誰が・何をしたか(具体的に)
- 要求内容:行為の停止、謝罪、慰謝料の支払いなど
- 期限の明示:「〇日以内に回答を求める」など
- 期限内に対応がなかった場合の措置:法的手続きを検討することを示す
書き方の注意点
- 感情的な表現は避け、事実を客観的に記載する
- 「〜だと思う」「〜かもしれない」などの曖昧表現は使わない
- 日時・場所・行為の内容はできるだけ具体的に(例:「2024年4月15日 会議室にて」)
- 複数回の被害がある場合は、箇条書きで時系列に整理する
- 要求内容は明確に。「やめてほしい」だけでなく「○○円の慰謝料を支払え」と具体的に書く
【例文①】加害者個人へ送る内容証明(行為の停止+慰謝料請求)
以下は、職場の上司から繰り返しセクハラを受けた被害者が、加害者に送る内容証明の例文です。実際に送る際はご自身の状況に合わせて変更してください。
通 知 書
私(以下「通知人」といいます)は、下記のとおり、貴殿のセクシャルハラスメント行為について正式に通知するとともに、その即時停止および損害賠償を請求します。
記
第1 被害事実
貴殿は、通知人が勤務する株式会社○○において上司の立場にあり、以下のようなセクシャルハラスメント行為を繰り返しました。
(1)令和○年○月○日頃、社内の○○室において、通知人の肩および腰部分に無断で触れた。
(2)令和○年○月○日から同年○月○日にかけて、複数回にわたり「体のラインがきれいだね」「もっと仲良くしようよ」などの性的な言動を行った。
(3)令和○年○月○日、業務終了後に通知人に対し「二人で食事をしよう、断ったら査定に影響する」などと述べ、性的な関係を強要しようとした。
上記行為は、通知人の意に反するものであり、著しい精神的苦痛を与えるものです。通知人はこれらの行為により不眠・抑うつ症状を発症し、現在も通院治療中です。
第2 請求内容
以上の事実に基づき、通知人は貴殿に対して下記を請求します。
(1)通知人に対するいかなるセクシャルハラスメント行為も、直ちに停止すること。
(2)通知人に対して、誠意ある謝罪を行うこと。
(3)通知人が受けた精神的損害に対する慰謝料として、金○○○万円を支払うこと。
(4)上記(3)の支払いは、本通知書到達後14日以内に、下記口座へ振り込むこと。
【振込先】
○○銀行 ○○支店 普通預金 口座番号:○○○○○○○
口座名義:○○ ○○
第3 回答期限
本通知書到達後14日以内に、上記請求に対する書面による回答をお願いします。期限内にご回答がない場合、または誠意ある対応が見られない場合には、労働局への申告、民事訴訟の提起など、法的手続きを検討することを申し添えます。
以上
令和 年 月 日
住所:○○県○○市○○町○-○
氏名:○○ ○○ ㊞
○○ ○○ 殿
【例文②】会社(使用者)に送る内容証明(環境改善+損害賠償請求)
会社がセクハラの報告を受けながら適切な対応をしなかった場合、使用者責任として会社に対して損害賠償を請求できます。以下はその例文です。
抗 議 書 兼 損害賠償請求書
私(以下「請求人」といいます)は、貴社に対し、下記のとおりセクシャルハラスメント被害に関する適切な対応を怠ったことを抗議するとともに、損害賠償を請求します。
記
第1 被害の経緯
請求人は、令和○年○月より貴社○○部門に勤務する従業員です。直属の上司である○○○○(以下「加害者」といいます)より、令和○年○月頃から繰り返しセクシャルハラスメントを受けてきました。
請求人は令和○年○月○日、貴社の人事部○○課長(○○○○氏)に対し、上記被害について口頭で相談しました。しかし、同担当者は「気にしすぎでは」「本人に直接言えばいい」などと述べるのみで、適切な調査・指導・再発防止措置を講じませんでした。その後も加害者による行為は継続し、請求人は精神的に追い詰められ、令和○年○月○日より休職を余儀なくされています。
第2 貴社の法的責任
貴社は、労働契約法第5条および男女雇用機会均等法第11条に基づき、従業員がセクシャルハラスメントを受けないよう職場環境を整備する義務を負っています。しかし貴社は上記の義務を著しく怠り、請求人に多大な損害を与えました。貴社は民法第715条(使用者責任)に基づく損害賠償責任を免れません。
第3 請求内容
(1)加害者に対する適切な処分(降格・解雇等の懲戒処分を含む)を速やかに実施すること。
(2)請求人が安心して職場復帰できる環境を整備すること。
(3)請求人に生じた精神的・経済的損害の賠償として、下記金額を支払うこと。
① 慰謝料 金○○○万円
② 休職による逸失利益(令和○年○月〜現在) 金○○万円
③ 治療費 金○○万円
合計 金○○○万円
第4 回答期限
本書面到達後14日以内に、書面にてご回答ください。ご回答がない場合または誠意ある対応がない場合には、労働局・厚生労働省への申告、民事訴訟の提起等を検討します。
以上
令和 年 月 日
住所:○○県○○市○○町○-○
氏名:○○ ○○ ㊞
株式会社○○
代表取締役 ○○ ○○ 殿
内容証明を送った後の流れ
パターン①:相手が誠意ある対応をしてきた場合
加害者・会社から謝罪の連絡や、示談交渉の申し出がくる場合があります。示談で解決する場合は、必ず書面(示談書・合意書)を作成してください。口頭だけでは後のトラブルの原因になります。
示談金の相場は被害の内容・期間・精神的損害の程度によって異なりますが、数十万円〜数百万円以上になるケースもあります。金額交渉は専門家に依頼すると有利に進められます。
パターン②:無視・拒否された場合
相手から連絡がない、または請求を拒否された場合は、以下の法的手続きに進むことになります。
- 都道府県労働局への申告:無料で利用できる「機会均等調停」制度がある
- 民事調停:裁判所を通じた話し合いで費用が比較的低い
- 民事訴訟:損害賠償を求めて裁判所に提訴する
- 刑事告訴:強制わいせつ等の刑事事件として警察に告訴する
📌 ポイント:内容証明を送った段階で「催告」としての法的効果が発生し、損害賠償請求権の時効を6ヶ月間止めることができます(民法第150条)。この期間内に訴訟等を提起すれば、時効の問題を回避できます。
パターン③:さらなる嫌がらせを受けた場合
内容証明送付後に報復的な嫌がらせや不当な解雇・配置転換があった場合は、それ自体が新たな違法行為となります。証拠(日時・言動の記録、メール・メモ等)をしっかり保存した上で、専門家に相談してください。
内容証明を自分で書く場合の注意点・よくある失敗
よくある失敗①:感情的な表現を使ってしまった
「最低な人間」「絶対に許さない」など、感情的・侮辱的な表現は逆効果です。相手に「こちらが名誉毀損で訴えてやる」などと言われるリスクがあります。事実のみを冷静に、客観的に記述するのが鉄則です。
よくある失敗②:証拠のない事実を書いてしまった
証拠がない内容を断定的に書くと、名誉毀損・虚偽の申告として問題になることがあります。記載する事実は、自分が証明できるもの、または証拠を持っているものに限定しましょう。
よくある失敗③:請求金額の根拠が不明確
慰謝料の額を「なんとなく」で書いてしまうと、後の交渉や裁判で不利になることがあります。治療費・休業損害・精神的苦痛の程度など、根拠を明示することが重要です。
よくある失敗④:宛先を間違えた・正式名称でなかった
会社に送る場合は、登記上の正式な会社名・本店所在地を調べて記載する必要があります。略称や通称ではなく、登記事項証明書で確認した正確な情報を使いましょう。
よくある失敗⑤:文字数・行数のルールを守らなかった
前述のとおり、内容証明には厳格な文字数・行数ルールがあります。ルールを守らないと郵便局に受け付けてもらえず、せっかくの証拠力が失われてしまいます。
⚠️ これらのリスクを避けるためにも、内容証明の作成は専門家への依頼をおすすめします。
一度送った内容証明は取り消しができません。誤った内容を送ってしまうと、その後の交渉や裁判で不利になる可能性もあります。
内容証明の郵送方法・費用
郵便局での手続き
- 同じ内容の文書を3部用意する(差出人用・受取人用・郵便局保管用)
- 「配達証明」もセットで申し込む(到達した証拠が得られる)
- 郵便局の窓口で「内容証明郵便で送りたい」と伝える
- 文字数・行数・形式のチェックを受けて、郵便局印を押してもらう
- 封筒に入れて発送(その場で封をする)
| 費用の種類 | 金額の目安 |
|---|---|
| 封書(定形)基本料金 | 110円〜 |
| 内容証明料金(1枚) | 440円(2枚目以降260円追加) |
| 書留料金 | 435円〜(重量による) |
| 配達証明料金(推奨) | 320円 |
| 合計目安(1枚の場合) | 約1,300円〜1,500円程度 |
e内容証明(電子内容証明)という方法も
日本郵便が提供する「e内容証明サービス」を使えば、インターネット上で文書を作成・送付できます。24時間365日申し込み可能で、窓口に行く手間が省けます。ただし、所定のフォームへの入力が必要で、複雑な書式には対応が難しい場合もあります。
内容証明を送る前に準備しておくべきこと
集めておくべき証拠の例
- 日記・メモ:被害を受けた日時・場所・内容・自分の気持ちを記録したもの
- メッセージ・メール:加害者からの性的な内容のLINE・メール・SNSのメッセージ
- 録音:加害者の発言を録音したもの(スマホのボイスメモなど)
- 目撃者の証言:同僚など、被害を目撃した第三者の証言
- 診断書:精神科・心療内科での診断書(抑うつ状態・PTSDなど)
- 会社への相談記録:人事・上司への相談内容と会社の対応を記録したもの
📌 ポイント:証拠はできるだけ多く、早めに集めておきましょう。被害を受けた直後から記録を残し始めることが大切です。後からでは記憶が曖昧になったり、証拠が消えてしまうことがあります。
専門家(行政書士・弁護士)に依頼するメリット
| メリット | 詳細 |
|---|---|
| 法的に有効な文書作成 | フォーマット・表現・請求内容を適切に整え、後の法的手続きに使える文書に仕上げてもらえる |
| 精神的負担の軽減 | 被害の状況を整理するサポートを受けながら、冷静に手続きを進められる |
| プレッシャー効果 | 専門家名義(行政書士・弁護士)で送ると相手へのプレッシャーが増し、解決が早まることがある |
| その後の手続きへの連携 | 示談交渉・訴訟・労働局申告などに移行する場合もスムーズに対応してもらえる |
| 間違いのリスクを回避 | 自分では気づきにくい記載ミスや法的な落とし穴を防げる |
行政書士は内容証明の作成・送付を代行できます。弁護士は交渉代理・訴訟対応まで一貫してサポート可能です。適切な専門家に依頼することで結果的に有利な解決を得やすくなります。
よくある質問(Q&A)
Q. 内容証明を送ったら、会社や加害者との関係が悪化しませんか?
A. 確かに関係が変わる可能性はありますが、セクハラを放置したまま働き続けることで受ける精神的・身体的ダメージを考えると、行動することのメリットの方が大きいケースがほとんどです。また、内容証明を送ったこと自体が、相手の言動を抑制する効果も期待できます。まずは専門家に状況を相談した上で判断しましょう。
Q. 証拠がなくても内容証明を送れますか?
A. 法律上は証拠がなくても内容証明を送ること自体は可能です。ただし、その後の示談交渉や裁判では証拠が非常に重要になります。証拠が少ない場合でも、日記・メモ・録音など、今から集められるものを用意することをおすすめします。専門家に相談すれば、証拠の集め方もアドバイスしてもらえます。
Q. 時効はありますか?
A. セクハラ被害による損害賠償請求権は、被害を知った時から3年(不法行為による損害賠償の場合)が時効です。ただし、継続的な被害の場合は最終の被害行為から起算される場合もあります。時効が迫っている場合は特に早めの行動が必要です。
Q. 退職後でも請求できますか?
A. はい、退職後でも損害賠償請求は可能です。退職を余儀なくされた場合、その退職自体が損害(逸失利益)として請求できる場合もあります。時効の範囲内であれば、退職後であっても積極的に請求を検討してください。
Q. 費用はどれくらいかかりますか?
A. 自分で作成・郵送する場合は1,500円前後の郵便費用のみです。専門家に依頼する場合は、行政書士であれば2万円〜5万円程度、弁護士の場合はそれ以上になることが多いです。ただし、依頼先や内容によって大きく異なるため、まずは相談してみることをおすすめします。
まとめ:一人で抱え込まないでください
この記事では、セクハラ被害における内容証明郵便について、書き方・例文・注意点・送付後の流れまで詳しくお伝えしました。最後に要点を整理します。
- 内容証明は「いつ・誰が・誰に・何を送ったか」を公的に証明できる強力な手段
- 加害者個人・会社のどちら(または両方)にも送ることができる
- 感情的な表現を避け、事実を客観的・具体的に記載することが重要
- 送付前に証拠(日記・録音・診断書など)を集めておくことが大切
- 自分で作ることも可能だが、専門家に依頼するとより確実で有利
- 退職後でも、時効の範囲内であれば請求できる
セクハラ被害は、あなたのせいでは決してありません。「これくらい我慢しないといけないのかな」「波風を立てたくない」と感じて、泣き寝入りしている方がたくさんいます。でも、あなたには正当に被害を訴え、救済を求める権利があります。
内容証明の作成は、その最初の一歩です。一人で抱え込まず、専門家のサポートを受けながら前に進んでいきましょう。
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