不倫・慰謝料請求の内容証明を自分で書く!文例・書き方・送り方を完全解説
はじめに|不倫の慰謝料請求、内容証明は自分で送れる
「パートナーの不倫が発覚した」「相手に慰謝料を請求したいが、弁護士費用をかけられない」「内容証明を自分で作って送れないだろうか」——そんな状況に追い詰められて、この記事を読んでいる方もいるのではないでしょうか。
不倫による慰謝料請求の内容証明は、弁護士に依頼しなくても自分で作成・送付することができます。書式ルールを守り、必要な事実と請求内容を正確に記載すれば、法的効力は弁護士が作成したものと変わりません。
ただし、不倫・慰謝料請求は感情的になりやすく、書き方を誤ると後の交渉・訴訟で不利になるリスクもあります。この記事では、不倫慰謝料請求の内容証明の文例・書き方のポイント・送り方・送った後の対応まで、自分で進めるために必要な知識を丁寧に解説します。
まず確認|慰謝料請求の内容証明を送る前に知っておくこと
誰に対して請求できるか
不倫による慰謝料は、不貞行為を行った配偶者と不倫相手の両方に請求できます(民法709条の不法行為)。ただし、請求できる慰謝料の総額は一定であり、両者から二重に取れるわけではありません。誰に・いくら請求するかを事前に整理しておきましょう。
慰謝料請求に必要な条件
- 婚姻関係が存在していたこと:法律上の婚姻関係にある配偶者が不倫した場合に請求できます。事実婚・内縁関係でも認められる場合があります。
- 不貞行為があったこと:肉体関係があったことが必要です。精神的な浮気・プラトニックな関係のみでは認められないことがほとんどです。
- 不倫相手が既婚者であることを知っていたこと:不倫相手が「相手が既婚者とは知らなかった」と主張できる状況では、請求が認められにくくなります。
- 時効に注意:慰謝料請求権の消滅時効は、不貞行為および不倫相手を知った時から3年(または不貞行為から20年)です。時効が近い場合は早急に行動しましょう。
内容証明を送る前に証拠を確保する
内容証明を送る前に、不貞行為の証拠を確保しておくことが非常に重要です。証拠がなければ、相手が事実を否定した場合に請求が認められにくくなります。
- 有効な証拠の例:不貞行為を認めるLINE・メッセージのスクリーンショット、ホテルへの同行写真・領収書、探偵・興信所の調査報告書、クレジットカードの明細(ホテル・旅行の記録)
- 注意:パートナーのスマホを無断で操作して取得した証拠は、証拠能力が認められない場合があります。合法的な方法で収集しましょう。
不倫慰謝料の相場はいくらか
内容証明に記載する請求金額を決めるために、慰謝料の相場を把握しておきましょう。
| 状況 | 慰謝料の目安 |
|---|---|
| 不倫が発覚したが婚姻関係が継続する場合 | 50万〜200万円程度 |
| 不倫が原因で離婚に至った場合 | 100万〜300万円程度 |
| 不倫期間が長期・子どもがいる・精神的被害が大きい場合 | 200万〜500万円程度 |
慰謝料の金額は、不倫期間の長さ・不倫相手との関係性・婚姻年数・子どもの有無・精神的被害の程度・相手の経済状況などによって変わります。相場を参考にしつつ、実態に即した金額を設定しましょう。根拠のない高額請求は、後の交渉・訴訟で認められにくくなります。
内容証明の書式ルール(基本)
不倫慰謝料の内容証明でも、郵便局が定める書式ルールを守る必要があります。
| 項目 | ルール |
|---|---|
| 文字数(横書き) | 1行あたり26文字以内 |
| 行数(横書き) | 1枚あたり26行以内 |
| 作成通数 | 3通(相手用・自分用・郵便局保管用) |
| 訂正方法 | 修正液・修正テープは不可。二重線+訂正印 |
| 送付方法 | 郵便局窓口のみ(ポスト投函不可) |
| 配達証明 | 合わせて依頼することを強く推奨 |
【コピペOK】不倫慰謝料請求の内容証明文例4選
状況に合わせた文例を4パターン用意しました。太字の【 】部分を自分の情報に書き換えてください。すべて横書き1行26文字以内の書式ルールに準拠しています。
文例①【不倫相手への請求・婚姻継続の場合】標準テンプレート
不倫相手(配偶者ではなく第三者)に対して慰謝料を請求する場合の最も基本的な文例です。
慰謝料請求書
【相手の住所】
【相手の氏名】殿
私は、【自分の配偶者の氏名】の配偶者です。本書は、貴殿と私の配偶者との不貞行為について、慰謝料を請求するものです。
【事実の説明】
貴殿と私の配偶者は、【期間:例「令和〇年〇月頃から令和〇年〇月頃まで」】の間、継続的に不貞行為に及んでいたことが判明しました。貴殿は私の配偶者が既婚者であることを知りながら、上記行為に及んだものです。
【請求内容】
貴殿の行為は民法709条の不法行為に該当し、私に多大な精神的苦痛を与えました。よって、本書面到達後【14日】以内に、慰謝料として金【 】円を下記口座へお振り込みいただくよう請求します。
振込先
金融機関:【金融機関名・支店名】
口座種別:【普通・当座】
口座番号:【口座番号】
口座名義:【口座名義】
【対応いただけない場合】
上記期限内にお支払いいただけない場合は、民事訴訟を提起します。
以上
【年 月 日】
【自分の住所】
【自分の氏名】 印
文例②【不倫相手への請求・離婚を視野に入れた場合】
不倫が原因で離婚を検討している場合、または離婚が決定している場合の文例です。離婚による精神的損害も含めて請求します。
慰謝料請求書
【相手の住所】
【相手の氏名】殿
私は、【自分の配偶者の氏名】の配偶者です。本書は、貴殿の不貞行為により生じた損害について慰謝料を請求するものです。
【事実の説明】
貴殿と私の配偶者は【期間】の間、継続的に不貞行為に及んでいました。貴殿は私の配偶者が既婚者であることを承知の上で上記行為に及んだものです。この行為により私たちの婚姻関係は破綻し、離婚を余儀なくされました。
【請求内容】
貴殿の行為は民法709条の不法行為に該当します。婚姻関係の破綻・離婚に伴う精神的損害を含め、本書面到達後【14日】以内に慰謝料として金【 】円を下記口座へお振り込みいただくよう請求します。
振込先
【金融機関名・支店名・種別・番号・名義】
期限内にお支払いいただけない場合は、訴訟を提起します。
以上
【年 月 日】
【自分の住所】
【自分の氏名】 印
文例③【配偶者本人への請求】
不倫相手ではなく、配偶者本人に対して慰謝料を請求する場合の文例です。
慰謝料請求書
【配偶者の住所(別居中の場合)】
【配偶者の氏名】殿
本書は、貴殿の不貞行為に対する慰謝料請求の通知書です。
【事実の説明】
貴殿は【期間】の間、【不倫相手の氏名(任意)】と継続的な不貞行為に及んでいたことが判明しました。私は貴殿の行為により多大な精神的苦痛を受けており、婚姻生活の継続が著しく困難な状況です。
【請求内容】
貴殿の行為は民法709条の不法行為に該当します。本書面到達後【14日】以内に慰謝料として金【 】円を下記口座へお振り込みいただくよう請求します。
振込先
【金融機関名・支店名・種別・番号・名義】
なお、本書面は離婚協議の申し入れを兼ねるものではありません。
期限内にお支払いいただけない場合は、訴訟を提起します。
以上
【年 月 日】
【自分の住所】
【自分の氏名】 印
文例④【不倫相手への接触禁止と慰謝料の両方を求める場合】
慰謝料請求と合わせて、不倫相手に配偶者への接触禁止を求める場合の文例です。
通 知 書
【相手の住所】
【相手の氏名】殿
私は、【自分の配偶者の氏名】の配偶者です。本書は、貴殿の不貞行為に対する慰謝料請求および今後の接触禁止を通知するものです。
【事実の説明】
貴殿と私の配偶者は【期間】の間、不貞行為に及んでいたことが判明しました。
【要求事項】
一、慰謝料として金【 】円を本書面到達後【14日】以内に下記口座へお支払いいただくこと
振込先:【口座情報】
一、本書面到達後、私の配偶者との一切の連絡・接触を禁止します
【対応いただけない場合】
慰謝料のお支払いがない場合は訴訟を提起します。接触禁止に違反した場合は、追加の損害賠償請求を行います。
以上
【年 月 日】
【自分の住所】
【自分の氏名】 印
不倫慰謝料の内容証明を書くときの重要ポイント
① 感情的な表現は一切使わない
不倫が発覚した直後は怒り・悲しみ・混乱で頭がいっぱいになり、感情的な言葉を書きたくなる気持ちはよく理解できます。しかし、「絶対に許さない」「人生を台無しにしてやる」などの感情的・脅迫的な表現は、脅迫罪・強要罪として自分が法的責任を問われるリスクがあります。事実と請求内容を冷静・客観的に記述することが、あなたの権利を守ることにつながります。
② 証明できる事実だけを記載する
「おそらく不貞関係にある」「〜に違いない」などの推測・憶測は記載しないでください。証拠がある事実のみを具体的に記載しましょう。証明できない事実を記載すると、相手に「事実無根だ」と反論され、名誉毀損として逆に訴えられるリスクがあります。
③ 請求金額には根拠を持たせる
慰謝料の請求金額は、相場・不倫期間・精神的被害の程度などを根拠に設定しましょう。根拠なく極端に高額な請求をしても、交渉・訴訟では認められにくく、かえって交渉を難しくします。前述の相場を参考に、現実的な金額を設定してください。
④ 「不貞行為を知っていたか」を明記する
不倫相手への請求では、「貴殿は私の配偶者が既婚者であることを知りながら」という一文が重要です。不倫相手が「既婚者と知らなかった」と主張した場合、慰謝料請求が認められにくくなります。相手が既婚であることを知っていた証拠(メッセージ・SNSでの夫婦写真の共有など)があれば、その事実も記載しましょう。
⑤ 離婚の意思と慰謝料請求は切り離して記載する
「慰謝料を払えば離婚に応じる」などの条件を内容証明に混在させると、内容が複雑になり後の交渉が難しくなります。慰謝料請求と離婚協議は、別々の手続きとして進めることをおすすめします。
郵便局での送付手順
- 同じ内容の文書を3通用意する(相手用・自分用・郵便局保管用)
- 最寄りの郵便局の窓口へ持参する(ポスト投函は不可)
- 「内容証明郵便で送りたい」と伝え、書式チェックを受ける
- 「配達証明」を必ず合わせて依頼する(相手が受け取った証明が残る)
- 料金を支払い、控えと追跡番号を受け取る
費用の目安
| 料金の種類 | 目安金額 |
|---|---|
| 基本郵便料金+書留料金 | 約555円〜 |
| 内容証明料金(1枚目) | 440円 |
| 内容証明料金(2枚目以降) | 1枚ごとに260円追加 |
| 配達証明(推奨) | 320円 |
| 合計目安(1枚・配達証明あり) | 約1,300円〜 |
【潜在ニーズに応える】内容証明を送った後どうなるか
相手から返答があった場合
相手から「支払います」「話し合いたい」などの返答が来た場合は、口頭での約束は避けて書面(合意書・示談書)で内容を確認することが重要です。示談書には「今後一切の請求を行わない」旨も記載するのが一般的です。示談書の作成に不安がある場合は弁護士に相談しましょう。
相手が無視した場合・支払いを拒否した場合
期限内に返答がない・支払いを拒否された場合は、以下の法的手続きへ進むことになります。
- 民事調停の申し立て:裁判所に調停を申し立てることで、調停委員が間に入り話し合いの場が設けられます。費用が比較的安く、弁護士なしでも申し立て可能です。
- 民事訴訟(損害賠償請求訴訟):訴訟で慰謝料の支払いを命じる判決を求めます。証拠の有無が勝敗を大きく左右するため、訴訟前に弁護士への相談をおすすめします。
- 少額訴訟:請求額が60万円以下の場合に利用できる簡易な訴訟手続きです。弁護士なしでも手続き可能で、費用が安く済みます。
相手から逆に訴えられるリスクはあるか
内容証明に感情的・脅迫的な表現が含まれていた場合、相手から「脅迫だ」と逆に訴えられるリスクがあります。また、証拠がない状態で不貞行為の事実を一方的に断定した場合、名誉毀損として反訴される可能性もあります。冷静・客観的な文書を心がけることが、自分を守ることにもつながります。
自分で進めるのが難しいと感じたら
不倫慰謝料の問題は感情的なストレスが大きく、法的手続きも複雑になりがちです。以下の状況では、弁護士への相談を検討することをおすすめします。
- 相手が弁護士を立てて対応してきた
- 証拠が少なく、不貞行為の立証が難しい
- 請求金額が高額(100万円以上)で訴訟に発展しそう
- 離婚・財産分与・親権問題が絡んでいる
- 相手から逆に訴えられた・逆請求が来た
法テラス(0570-078374)では、収入に応じた弁護士費用の立替制度があります。弁護士費用が心配な方も、まずは相談してみましょう。不倫問題に詳しい弁護士であれば、初回無料相談を行っている事務所も多くあります。
よくある質問(FAQ)
Q. 不倫の証拠がない状態で内容証明を送っても大丈夫ですか?
A. 証拠なしで「不貞行為があった」と断定した内容証明を送ることは、名誉毀損として逆に訴えられるリスクがあります。確実な証拠がある場合のみ事実として記載し、証拠が不十分な場合は弁護士に相談してから送付することをおすすめします。
Q. 内容証明を送ったことが離婚協議に影響しますか?
A. 内容証明の送付が直接的に離婚協議に影響するわけではありませんが、「正式に慰謝料を請求した」という事実が残ることで、その後の協議をより真剣に進めてもらえる効果があります。ただし、離婚協議と慰謝料請求は別々に進めることをおすすめします。
Q. 不倫相手の住所がわかりません。どうすればいいですか?
A. 不倫相手の住所が不明な場合は、弁護士を通じて調査を依頼するか、探偵・興信所に調査を依頼する方法があります。住所が判明しない場合、内容証明の送付は難しくなりますが、先に証拠収集と弁護士への相談を進めることをおすすめします。
Q. 不倫相手が「既婚者とは知らなかった」と言い張っています。どうすればいいですか?
A. 相手が「既婚者と知らなかった」と主張する場合、それを覆す証拠(既婚であることを伝えたメッセージ・SNS上の夫婦写真を相手が見ていた証拠など)があれば有利になります。証拠が不十分な場合は弁護士に相談することをおすすめします。裁判では「知らなかった」こと自体を相手が立証しなければならないケースも多くあります。
Q. 示談書なしに口約束で慰謝料を受け取っても大丈夫ですか?
A. 口約束では後から「そんな約束はしていない」「金額が違う」などのトラブルになりやすいため、必ず書面(示談書・合意書)を作成してください。示談書には支払い金額・支払い期限・「今後一切の請求を行わない」旨・「口外しない」旨なども明記しておくと安心です。
まとめ|証拠を確保してから冷静に、自分で内容証明を送ろう
不倫慰謝料請求の内容証明を自分で送るためのポイントを振り返ります。
- 不倫慰謝料請求の内容証明は弁護士不要・自分で作成・送付できる。法的効力は変わらない
- 送付前に不貞行為の証拠を確保しておくことが最重要。証拠なしで事実を断定すると名誉毀損リスクがある
- 慰謝料の相場は婚姻継続なら50〜200万円・離婚に至った場合は100〜300万円程度が目安
- 文書には感情的・脅迫的な表現を一切使わない。事実と請求内容を冷静・客観的に記述する
- 郵便局での送付時は「配達証明」を必ず合わせて依頼する
- 相手から返答があった場合は必ず書面(示談書)で合意内容を確認する
- 証拠不十分・高額請求・訴訟発展の可能性がある場合は早めに弁護士に相談する
不倫の発覚は精神的に非常につらい経験です。感情的な行動をとる前に、まず証拠の確保と冷静な状況整理を行い、この記事の文例を活用して一歩ずつ進んでいきましょう。一人で抱え込まず、必要に応じて法テラスや弁護士への相談も積極的に活用してください。

