隣人が通路を突然ふさいだ!今すぐできる3つの対処法【仮処分で数日解決も】

突然、こんな状況になったら——あなたはどうしますか?

ある朝、目が覚めたら昨夜のうちに隣人が通路に金属フェンスを設置していた。袋地に住んでいる自分にとって、この通路は「外に出る唯一の道」。つまり、家に閉じ込められたようなものです。

「法律的に通行権があるはずなのに、具体的に何をすればいいの?」
「裁判をすると時間もお金もかかりそうで、先が見えない…」
「相手が話を聞いてくれない。自分でフェンスを壊してもいい?」

このような緊急の状況に直面している方、またはいつかこんな事態が起きたら心配という方に向けて、この記事では話し合いから仮処分申立てまでの具体的な対処フローを、実際に起こりうるストーリー形式でご紹介します。法律の専門知識がなくても、読み終えれば「次に何をすべきか」が明確になります。特に「仮処分」という強力な手段については、費用・期間・効果を含めて徹底的に解説します。

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【実例ストーリー】突然通路がふさがれた朝

Aさん(60代・仮名)は、30年以上前に都市郊外の袋地を購入し、自宅を建てて家族と暮らしてきました。公道に面したBさんの土地を通らないと外に出られない状況でしたが、初代のBさんとは長年良好な関係を築き、口約束で「自由に通ってよい」という取り決めがありました。

ところが数年前、Bさんが高齢で施設に入り、息子のCさんが土地を相続しました。Cさんは初対面の挨拶もなく、ある秋の夜、突然金属フェンスと南京錠つきの門扉を設置しました。翌朝Aさんが気づいたとき、自宅の前は完全に封鎖されていました。

Aさんが「通らせてほしい」と申し出ると、Cさんは「ここは私有地だ。通行料として毎月10万円払え。払えないなら出ていけ」と要求しました。

これは明らかに不当な要求です。しかしAさんは法律のことがわからず、当初はCさんの言いなりになりそうでした。しかし、弁護士に相談した結果、Aさんには強力な法的権利があることがわかり、わずか3週間で通路を取り戻すことができました。Aさんが取った行動こそ、この記事でご紹介する「4ステップ対処法」です。

まず知ってほしい:あなたには法律上の強力な権利がある

対処法に入る前に、最も重要なことをお伝えします。

袋地の所有者には、民法第210条に基づく「囲繞地通行権(いにょうちつうこうけん)」という法律上の権利があります。これは隣人との契約や合意がなくても、法律によって当然に認められている通行の権利です。

囲繞地通行権の重要ポイント5つ

  • 隣人の同意なしでも成立する(法律上当然の権利)
  • 登記がなくても新しい所有者(相続人・購入者)に主張できる
  • 隣人が通路をふさいだ場合、撤去を求める権利がある
  • 撤去に応じない場合、裁判所の仮処分命令で強制的に開放させられる
  • 仮処分命令を無視し続けると、1日あたり数万円のペナルティ(間接強制)が課される

Cさんが「毎月10万円払え」と言っても、それは法律上の根拠がない要求です。通行料(償金)は確かに発生しますが、その金額は当事者間の協議か裁判所が決めるものであり、一方的に高額を要求することはできません。

「権利がある」という事実をしっかり認識した上で、以下の対処法を取ってください。

STEP1:まず証拠を残す・冷静に話し合う

【最初にやること】証拠を保全する

トラブルが発生したら、感情的になる前にまず証拠を残してください。これが後のすべての対処の土台になります。

📸 今すぐ記録すべきもの

  • 写真・動画:フェンス・塀の全体像・設置位置・日時が記録された状態で撮影(スマートフォンのGPS機能付き写真が有効)
  • 通路の状況:封鎖前に使えていた通路の写真(過去の写真も探しておく)
  • 相手とのやりとり:口頭でのやりとりは直後にメモ(日時・場所・発言内容を詳細に)、LINE・メールのスクリーンショット
  • 過去の通行実績:以前から通行していた証拠(近隣住民の証言・古い写真・地図など)
  • 土地の権利書・登記簿:自分の袋地の所有権を示す書類

話し合いを試みる(冷静に・記録しながら)

証拠を確保したら、まず冷静に話し合いの場を設けましょう。相手が法律を知らずに行動している場合、「民法上の囲繞地通行権があること」「通行を妨害することは違法であること」を穏やかに伝えるだけで解決するケースも少なくありません。

話し合いの際のポイントは以下の通りです。

  • 感情的にならない:怒鳴り合いになると状況が悪化します。法的事実を淡々と伝えることが重要
  • 要求の内容・金額を記録する:相手の不当な要求(「月10万円払え」など)はその場でメモ
  • 「考える時間をほしい」と言って即決しない:その場でサインや合意をしてしまうと後で不利になることがある
  • 可能なら第三者に同席してもらう:信頼できる人に立ち会ってもらうと後の証言にもなる
💡 Aさんのケース:Aさんはまず写真と動画でフェンスの状況を記録し、Cさんに「法律的に通行権があるはずなので確認させてほしい」と穏やかに申し出ました。しかしCさんは「弁護士を通してくれ」と言い張り、話し合いには応じませんでした。

STEP2:内容証明郵便で法的通知を送る

話し合いが進まない場合、次のステップは内容証明郵便による書面通知です。

内容証明郵便とは?

内容証明郵便とは、「いつ・誰が・誰に・どんな内容を送ったか」を郵便局が公的に証明してくれる書面です。ポイントは以下の3点です。

  • 証拠になる:後の法的手続きで「事前に通知した」という客観的証拠として使える
  • 心理的プレッシャーになる:相手に「本気で法的手段を取る気がある」と伝わり、態度が変わることがある
  • 弁護士名義で送ると効果的:弁護士名義の内容証明は「すでに弁護士に依頼している」というメッセージになり、相手に対するプレッシャーが増す

内容証明に記載すべき内容

📝 記載事項チェックリスト

  • 袋地・囲繞地それぞれの所在・地番・所有者
  • 民法第210条の囲繞地通行権に基づき通行する権利があること
  • いつ・どのような形で通路が封鎖されたか(具体的な日時・方法)
  • 通路の妨害をやめ、フェンス等を撤去するよう求めること
  • 回答・対応の期限(例:「本書到達後7日以内に」)
  • 期限内に対応がない場合は法的手続きを取ることを予告
依頼先 費用目安 期待できる効果
自分で作成(書式が市販されている) 郵便代のみ(数百円) 内容が不十分だと効果が低い
司法書士に依頼 1〜5万円程度 法的に正確な内容で作成可能
弁護士に依頼(推奨) 3〜10万円程度 弁護士名義でプレッシャー大。その後の対応も一貫して依頼可能
💡 Aさんのケース:弁護士に依頼して内容証明を送付。Cさんは受け取りましたが、「弁護士と相談した結果、通行は認めるが通行料の交渉が必要」と返答し、フェンスは撤去しませんでした。通路がふさがれた状態が続いたため、次のステップへ進みました。

STEP3:弁護士交渉・民事調停の活用

内容証明でも解決しない場合、弁護士を立てた交渉や民事調停という選択肢があります。ただし、通路をふさがれている緊急事態が続く場合は、このステップを飛ばして直接STEP4(仮処分)に進むことを検討してください。

弁護士による交渉

弁護士が相手方と直接交渉します。法的根拠を示しながら「通路の解放+適正な通行料の合意」を目指します。相手方が弁護士を立てている場合は弁護士同士の交渉となり、感情的な対立を避けながら合理的な解決が期待できます。

  • 費用の目安:着手金10〜30万円+成功報酬(解決内容による)
  • 期間の目安:数週間〜数ヶ月
  • 注意点:相手が交渉に応じない・誠実に対応しない場合は解決しない

民事調停(裁判所での話し合い)

裁判所に調停を申立て、調停委員(中立の第三者)が仲介する形で当事者間の合意を目指します。

  • 費用の目安:申立手数料は数千円(収入印紙代)。弁護士に依頼すると別途10〜20万円程度
  • 期間の目安:数回の期日を経て数ヶ月
  • メリット:費用が比較的安い、第三者が入るので感情的対立が緩和される
  • デメリット:相手が調停に出席しない・合意しない場合は不成立となり解決に至らない
手段 費用目安 期間 成否の条件
弁護士交渉 10〜30万円〜 数週間〜数ヶ月 相手の交渉姿勢次第
民事調停 数千円〜20万円 数ヶ月 相手の出席・合意が必要
💡 Aさんのケース:Cさんの弁護士は「通行権自体は認めるが、幅と通行料について折り合いがつかない」と主張。通路は封鎖されたままで生活への支障が続いていたため、弁護士の勧めで仮処分申立てを行うことにしました。

STEP4:仮処分申立て——最強・最速の解決手段

通路をふさがれて外に出られない状況は、「今日・明日の生活」に直結する緊急事態です。通常の裁判(本訴)では判決が出るまでに数ヶ月〜1年以上かかることもあります。そこで活用したいのが「仮処分(仮の処分)」という裁判所の手続きです。

仮処分とはどんな手続き?

仮処分とは、本格的な裁判(本訴)を待たずに、緊急・暫定的な状態の保全を裁判所に求める手続きです。「一刻を争う緊急状態なので、まず通路を開けてください」という申立てです。

袋地の通行権に関しては、主に以下の2種類の仮処分が使われます。

  • 通行妨害禁止の仮処分:「フェンスを撤去し、通行を妨害するな」という禁止命令
  • 通路開設の仮処分:「通路として一定幅を開設せよ」という作為命令

仮処分の手続きの流れ

  1. 弁護士に依頼・申立書作成(1〜2週間)
    弁護士が申立書・証拠書類(登記簿・写真・内容証明等)を準備します
  2. 裁判所に申立て
    管轄裁判所(土地の所在地を管轄する地方裁判所)に申立書を提出します
  3. 審尋(意見聴取)
    裁判所が申立人(袋地所有者)と相手方双方から事情を聴取します(書面審理が中心)
  4. 担保の提供
    仮処分が認められる場合、申立人は担保金を裁判所に預けます(後で返還されます)
  5. 仮処分決定の発令(申立てから数日〜数週間)
    裁判所が「フェンスを撤去せよ」「通行を妨害するな」という決定を発令します

仮処分の3大メリット

  • 圧倒的な速さ:早ければ申立てから数日〜2〜3週間で裁判所の決定が出る(通常裁判の数ヶ月〜1年超と比べて格段に早い)
  • 強力な命令:裁判所から相手方に「フェンスを撤去せよ」「通行を妨害してはならない」という公的な命令が下る
  • 間接強制という最終手段:命令を無視し続けると「1日あたり〇万円のペナルティ」を課すことができる(詳しくは次章)
💡 Aさんのケース:弁護士が仮処分申立書を提出してから16日後、裁判所が仮処分決定を発令。「フェンスと門扉を撤去し、Aの通行を妨害してはならない」という命令がCさんに送達されました。

「間接強制」という最終兵器を知っておこう

仮処分命令が出ても、「無視すればいい」と思う相手がいるかもしれません。そのとき使えるのが「間接強制(かんせつきょうせい)」という制度です。

間接強制とは何か?

間接強制とは、裁判所の命令(仮処分決定)に従わない相手に対して、「命令に違反する状態が1日続くごとに〇万円を申立人に支払え」という追加制裁命令です。

例えば「仮処分命令発令後、命令に違反した1日につき5万円を支払え」という間接強制決定が出れば、

  • 1日撤去しない → 5万円の損害
  • 10日無視する → 50万円の損害
  • 1ヶ月無視し続ける → 150万円の損害

この経済的プレッシャーは非常に強力で、大多数の相手はこの命令が出た時点で従わざるを得なくなります。実際、間接強制が申立てられた段階でフェンスを撤去するケースがほとんどです。

間接強制の申立て方法

間接強制は、仮処分決定が出た後に相手が従わない場合、同じ裁判所に「間接強制申立書」を提出することで行います。弁護士が引き続き対応できます。

段階 内容 相手の典型的な行動
仮処分決定の送達 裁判所から「撤去命令」が届く 無視する、または撤去を渋る
間接強制申立て 「1日〇万円のペナルティ」命令を申立て ほぼ全員が撤去・従う
間接強制決定後も無視(稀) ペナルティが積み上がり続ける 財産差し押さえ(強制執行)へ
💡 Aさんの結末:仮処分命令の送達翌日、Cさんは弁護士を通じて「フェンスを撤去する」と連絡。翌々日にはフェンスが撤去され、Aさんは通路を取り戻しました。その後、弁護士同士の交渉で通行料を年間3万円で合意し、正式な通行地役権の設定登記を行いました。申立てから通路開放まで、わずか3週間の出来事でした。

仮処分の手続きについて、まず状況を聞かせてください


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費用の全体像を把握しよう

「法的手段を取りたいけれど、費用が心配」という方は多いです。各手続きの費用目安を一覧にしました。なお、弁護士費用は事務所・案件によって異なります。

手続き 弁護士費用目安 その他費用 合計目安
初回相談 無料〜5,500円/30分 無料〜1万円
内容証明(弁護士名義) 3〜10万円 郵便代数百円 〜10万円
弁護士交渉(示談) 10〜30万円 10〜30万円
民事調停 10〜20万円 申立費数千円 10〜20万円
仮処分申立て 30〜50万円 担保金30〜100万円※後で全額返還 60〜150万円
本訴(通常裁判) 50〜100万円〜 印紙代等 100万円〜

💡 費用を抑えるためのヒント

  • 法テラス(日本司法支援センター)を利用すると、一定の収入・資産要件を満たす場合、弁護士費用の立替制度が利用可能(収入要件あり)
  • 仮処分の担保金は後で全額返還されます(あくまで一時的な預け金)
  • 多くの弁護士が初回相談無料または低額で受け付けています
  • 早期相談が費用を抑える:問題が深刻化する前に相談することで、内容証明だけで解決できるケースもあります

よくある疑問 Q&A

Q. 通路をふさいだのが最近のこと。仮処分を使える?

A. はい、使えます。むしろ「最近塞がれた」という事実が緊急性の証拠になります。仮処分は「緊急性がある」ことが要件の一つなので、塞がれた直後であればあるほど申立ての説得力が増します。塞がれた日時・状況を写真で記録した上で、早急に弁護士に相談してください。

Q. 「ここは私有地だから通れない」と言われた。それでも通行できる?

A. はい、通行できます。囲繞地通行権はまさに「相手が私有地の所有者であっても、袋地の所有者が通行できる」という権利です。相手の「私有地だ」という主張は、囲繞地通行権の前では通りません。民法第210条を根拠に法的に対応できます。

Q. 自分でフェンスを壊してもいい?

A. 絶対にやめてください。自分でフェンスを壊す行為は「自力救済」として民事・刑事の両面で違法です。器物損壊罪(刑法261条)に問われる可能性があります。「法律上の権利があるから」という理由は免責になりません。緊急な状況でも、必ず法的手続き(仮処分)を取ることが重要です。

Q. 仮処分が認められるか不安。認められない場合もある?

A. 袋地の通行権に関する仮処分は、一般的に認められやすい類型です。ただし、以下の点が認められるかどうかによって結果が変わります。

  • 袋地であることの疎明(証拠による一応の証明)
  • 通行の必要性(現在の生活に支障が生じていること)
  • 保全の必要性(今すぐ対応しないと回復困難な損害が生じること)

弁護士に依頼すれば、これらを的確に主張するための証拠収集と申立書作成を行ってくれます。

Q. 仮処分で通路が開放された後、本訴(通常裁判)は必要?

A. 必ずしも必要ではありません。仮処分で通路が開放された後、多くのケースでは弁護士同士の交渉で通行料・通路の幅・通行地役権の設定について合意が成立し、本訴なしで解決します。本訴が必要になるのは、仮処分後も通行料の金額等で折り合いがつかず、最終的な確定判決が必要な場合です。

弁護士の選び方・相談の仕方

初めて弁護士に相談する方にとって、「どの弁護士に頼めばいいのか」は大きな疑問です。以下のポイントを参考にしてください。

弁護士選びのポイント

  • 不動産・隣地トラブルの実績があるか:袋地・囲繞地通行権の事案は専門性が高いため、不動産関連の実績がある弁護士を選ぶことが重要です
  • 初回相談で説明がわかりやすいか:法律用語ばかり並べる弁護士より、わかりやすく状況を整理してくれる弁護士の方が信頼できます
  • 費用の見積もりを明示してくれるか:着手金・成功報酬・その他費用を事前に明確にしてくれる弁護士を選びましょう
  • 仮処分に積極的かどうか:緊急事態なのに「まず調停から」とのんびり対応する弁護士より、状況の緊急性を理解して迅速に動いてくれる弁護士が望ましいです

相談時に伝えるべき情報

  • 自分の土地(袋地)と囲繞地の所在・地番
  • 通路がふさがれた日時・状況・相手の言動
  • これまでの通行の経緯(いつから、どのルートで)
  • 通行地役権の設定・登記の有無
  • 現在の生活への影響(毎日の外出、緊急車両のアクセス等)

まとめ:通路をふさがれたら迷わず専門家へ

突然通路をふさがれた場合の対処法を、STEP1〜4の流れで詳しく解説しました。最後に要点を整理します。

✅ 対処フロー まとめ

  • STEP1:証拠を保全し、冷静に話し合いを試みる
  • STEP2:内容証明郵便で法的通知(弁護士名義推奨)
  • STEP3:弁護士交渉・民事調停(通路封鎖中は並行またはSTEP4へ)
  • STEP4:仮処分申立て(最速数日〜数週間で決定・間接強制で強制力あり)
  • ⚠️ 絶対にNG:自力でフェンスを壊す行為(器物損壊罪になりかねない)

通路をふさがれている毎日の不安・ストレスは計り知れません。しかし、法律はあなたを守っています。適切な手続きを踏めば、多くのケースで数週間以内に通路を取り戻すことができます。

「まず何をすればいいかわからない」「どのくらい費用がかかるか知りたい」という段階でも、ぜひLINEからお気軽にご相談ください。状況を伺った上で、最適な対処法をご提案します。

通路封鎖のパターン別・対応の優先順位

一口に「通路をふさがれた」といっても、背景・状況によって取るべき対応が変わります。自分のケースを確認してください。

パターン①:新しい隣人(相続人・購入者)が突然封鎖した

状況:長年付き合いのあった隣人が高齢施設入居・死亡し、新しい所有者が「うちの私有地だから通るな」と主張してきたケース。

法的ポイント:囲繞地通行権は土地の所有者が変わっても継続します。新しい所有者が前の取り決めを知らなくても、法律上の権利は消えません。

優先アクション:

  1. 封鎖状況を写真・動画で記録(日時記録必須)
  2. 弁護士に即時相談(仮処分申立ての準備開始)
  3. 過去の通行実績(古い写真・近隣証言)を収集
パターン②:長年の隣人が関係悪化をきっかけに封鎖した

状況:境界争い・騒音問題などをきっかけに関係が悪化し、嫌がらせ的に通路を封鎖された。

法的ポイント:感情的対立があっても通行権は法的権利です。他のトラブルと複合しているケースが多く、弁護士に一括して依頼するのが効率的です。

優先アクション:

  1. 感情的な直接交渉は避ける(悪化リスクが高い)
  2. 弁護士に依頼して内容証明→仮処分申立て
  3. 通路問題と他の紛争を並行して一括解決するよう弁護士に依頼
パターン③:開発・建設工事に伴う一時的な封鎖(工期延長で長期化)

状況:囲繞地で建物工事が始まり、「工事期間中だけ」という口約束で通路が使えなくなったが、工事が大幅遅延して長期化した。

法的ポイント:工事期間中であっても通行権は継続します。「口約束」だけでは将来の保証になりません。代替通路の確保と工期の明確な書面告知を求めることが重要です。

優先アクション:

  1. 工事業者・土地所有者に代替通路の確保を書面で要求
  2. 工事終了予定日を明記した誓約書を取り付ける
  3. 応じない場合は仮処分で代替通路の確保を命じる決定を求める
パターン④:法外な通行料を要求され事実上通行できない状態

状況:「月10万円払わないと通させない」など不当に高額な通行料を要求され、支払えないので事実上通行できない。

法的ポイント:通行料(償金)の金額は当事者間の協議か裁判所が決めるものです。一方的な高額要求に応じる必要はなく、法的手続きで適正額を確定させることができます。

優先アクション:

  1. その場で合意・サインはしない
  2. 弁護士に相談して適正な償金額の根拠を整理
  3. 弁護士を通じた交渉→折り合わなければ調停・訴訟で適正額を確定

仮処分で開放後:通行地役権設定で永続的解決を

仮処分で通路が開放されたとしても、それだけでは「暫定的な解決」に過ぎません。仮処分はあくまでも「緊急の状態を一時的に解消するもの」です。長期的・永続的な解決のためには、仮処分後に次のステップを踏むことが重要です。

仮処分後の流れ

  1. 仮処分決定(通路の開放):緊急の状態は解消されるが、通行料・通路幅等の最終合意はまだ
  2. 弁護士間交渉(通行条件の詰め):通行幅・方法・時間帯・通行料の金額・支払い方法等を協議
  3. 通行地役権設定契約の締結:合意内容を「通行地役権設定契約書」として書面化(公正証書にするとより安心)
  4. 通行地役権の登記(永続的解決):司法書士に依頼して登記簿に記録。土地が売却されても新所有者に効力が及ぶ

契約書に盛り込むべき主な内容

  • 対象土地の特定:要役地(袋地)・承役地(囲繞地)の所在・地番・面積を明記
  • 通行できる区域・幅:図面を添付して通行できる場所・幅を具体的に特定
  • 通行の方法:徒歩のみ・自転車可・自動車可など
  • 通行料(対価):金額・支払い方法・改定条件
  • 維持管理の費用負担:通路の舗装・照明等の管理費用はどちらが負担するか
  • 紛争解決条項:将来トラブルになった場合の管轄裁判所等

法的手続き中の生活上の工夫と心の持ち方

通路をふさがれてから解決するまでの期間、日常生活に大きな不便とストレスが生じます。法的手続きを進める傍ら、生活面・精神面でできることも考えておきましょう。

  • 緊急車両のアクセス確保:救急・消防のアクセスが困難な状態であれば、最寄りの消防署・救急センターに事前に連絡しておきましょう。緊急時の対応方法について相談できます
  • 近隣の一時的な協力:別の隣人に一時的な通行の協力をお願いできる場合があります(あくまでお願いであり、法的義務ではありません)
  • 記録の継続:手続き中も日々の通行妨害状況・相手とのやりとりを継続して記録しておくことで、損害賠償請求の根拠を積み上げることができます
  • 精神的なダメージへの対処:長引く隣人トラブルは、当事者の精神的消耗が大きいものです。弁護士に依頼することで「専門家に委ねた」という安心感が生まれることが多いです。一人で抱え込まず、早めに相談することが精神的な意味でも重要です

相手が不動産業者・法人の場合の注意点

囲繞地が不動産業者や法人に購入された場合、個人の隣人よりも交渉が複雑になります。業者は法律知識があり、組織的に対応してくることが多いため、こちらも弁護士を立てた対応が必須です。

  • 高額な通行料要求の戦術に乗らない:業者は最初に高額な要求をしてから値引きしていくという交渉戦術を使うことがあります。最初の金額に惑わされず、弁護士と共に適正額を主張しましょう
  • 開発計画への介入:業者が開発のために囲繞地を購入した場合、建築確認申請段階で行政に「袋地の通行権が侵害されている」と申し出ることができる場合があります
  • 担当者との個人交渉を避ける:業者の担当者と個人的に話し合うと「合意した」と後から主張されるリスクがあります。すべてのやりとりは書面で記録し、弁護士を通じて行いましょう
  • 通行地役権の一時金買取交渉:業者側が「通行地役権の設定対価として〇〇万円一括払いでどうか」と交渉してくることがあります。金額の妥当性は弁護士・不動産鑑定士に確認した上で判断してください

解決事例集:こんなケースでも解決できました

事例1:新しい隣人が通行拒否→仮処分で16日後に解決

状況:60代のAさん。30年間通行していた通路が、隣地相続を機に新所有者から封鎖された。月10万円の通行料を要求された。

対応:弁護士が内容証明を送付後、無視されたため仮処分申立て。申立て16日後に仮処分決定、翌日フェンス撤去。

解決:通行料年間3万円・通行地役権設定登記で永続的解決。弁護士費用の一部を相手からの損害賠償で回収。

事例2:開発業者が通路計画を変更→交渉で幅3mの通路を確保

状況:不動産開発会社が隣の土地を購入し、マンション建設計画の中で従来の通路を縮小しようとした。

対応:弁護士を通じて通行権の確認と建築計画変更を要求。建築確認申請への異議申立ても並行検討。

解決:業者が設計変更に応じ、幅3m・自動車通行可の通行地役権設定。一時金200万円を受領。

事例3:工事中の通路封鎖が長期化→仮処分で代替通路を確保

状況:隣地建替え工事中に「工事期間中だけ」という口約束で通路閉鎖。工事が大幅遅延し6ヶ月以上通行不能に。

対応:書面での催告→無視されたため仮処分申立て。代替通路の確保を命じる仮処分決定。

解決:工事業者が迂回ルートを整備、工事完了後は元の通路に復旧。維持管理費の一部負担も合意。

通路をふさがれた・隣人トラブルのご相談

状況を伺って最適な対処法をご提案します。お気軽にどうぞ。


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